text by Go Takahashi

※料金等データは2019年4月のものです。

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#巻き倒す!
#ホントに倒れるかもしれないけど         
#覚悟決めた

 3月20日、茨城県鹿島港、植田丸の船上には8人のお客さんとヨッシー。9時10分、鹿島沖33メートルのポイントに着くと、8人は一つテンヤを、そしてヨッシーだけが巻きの釣りをスタートさせた。もしやこの男、あまのじゃく、なのか……? そんなことないよ、たぶん。きっと(笑)。でも、今日はタイラバ、タイジグで巻き倒すって決めてるよ。巻きのマダイ釣りはハマったときの起爆力がスゴイ。……ダメなときの徹底度合いもスゴイけど(笑)。 何の手応えもないのにひたすら巻き続けると、マジで心が折れる。「巻き倒す」って言うけど、ホントに倒れちゃうかもしれない(笑)。 でも今日は覚悟を決めて、巻く。巻きの釣りでまったく釣れてないなら意味はないけど、今の時期は一つテンヤより食うときもあるんだよね。タイラバだけが釣れることもあるんだから。巻く価値、あるでしょう? それに、巻きの釣りって、ロマンがあるんだ。一発ドンときたときのヨロコビと言ったら……!

#釣れて油断せず    
#うれしい       
#あんしん       
#けどまだ何とも

 9時48分、40グラムのジグを落としていたヨッシーが鋭い合わせを決めた! 上がってきたのは本命のマダイ。なんと、8名のテンヤ師を差しおいての船中1枚目だ。そして立て続けにもう1枚追加。 早くも答えが出たか……!? うれしいね! 着底して3巻きぐらいしたところで食ってきた! ジグが底から離れた瞬間だね。タイジグは合わせる釣りだから楽しいよ。 テンヤではまだ釣れてないみたいだから、動くモノと小さなシルエットにマダイが反応しているのかもしれない。でもまだ今日は「巻きの日」とは言えないかな〜。 マダイがいるのは分かったし、ジグでも食ってくることは分かった。でも、まだまだ。さらに同じことを続けて反応があるかどうか、だね。 ボトム付近で食ったけど、だからってマダイが底に貼り付いてたとは限らない。上から下へと追っていって食うこともあるからね。 だから、巻き回数を減らすことはしない。魚がいるタナを探すために、できるだけ幅広い層をタイジグが通るように、巻き巻きするよ!

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#釣りはパズルだ   
#巻きが正解か確かめたい 
#あまのじゃくじゃない  
#意固地でもない

 まだみんな一つテンヤかな。それならオレは巻く。巻くぞ〜ッ!! いや、意固地になってるワケじゃないよ(笑)。釣行のたびに、コンセプトを決めるようにしてるんだ。 全員が一つテンヤ。そしてオレだけが巻き。これでオレしか釣れなかったら「今日は巻きの日だった」ってハッキリする。 今のところマダイを釣ってるのはオレだけ。でも、まだそれが正解かどうか分からない。やり切らないと何とも言えないんだ。 ……と言っているそばから、右胴の間で2.6キロの中ダイが上がる。一つテンヤだ。バサーの八木脩平さんは、今回が初めての船釣り。いきなりの中ダイに「ちょ……、ちょっとヤバいですね」と茫然といった様子。沖釣り仲間が増えた瞬間だ。 おめでとうございます! いきなり中ダイ、こりゃハマりますよね(笑)。いいことだ! そっか、テンヤにもきたか〜。しかもナイスサイズ。でもオレは巻く! 知りたいのは、「巻き倒す!」というコンセプトが正解かどうか。釣れるか釣れないかより、自分の考えが正しいのかどうかを確かめたい。 ……臨機応変に色いろトライして釣果を得るのも楽しみだと思う。でもオレにとって釣りは、ひとつのコンセプトを立てて、それが正しいかどうかを実際に確かめる遊びなんだよね。パズルみたいなものかな。過程が楽しいんだ。

#海の中を想像する   
#マダイはどの層だ!?   
#ピタゴラスの定理!?  
#なんスかそれ

 昼前後、しばらく釣れない時間帯が続く。それでもヨッシーは淡々と巻き続ける。おおよそ1秒間に1回転のリズムは、朝からずっと変わらない。クルクル、クルクル、クルグゥ、グゥグゥ……。「やばい。エナジードリンク注入!」。朝のうちの風もウネリも収まり、穏やかな春のナギは眠気との戦いだ。 色や重さにもあまりこだわっていない。それよりもどの層をタイラバやタイジグが通るかを気にしている。 最初の1枚でマダイがいることは分かった。次はどの層で食ってくるかを確かめたい。今日は割とシブいから、タイラバもジグも投げて斜め引きして広く誘ってるよ。 ……うーん、ナギるほど魚ッ気が薄くなってきたな。タイラバもスピニングタックルにして、遠投しよう。 斜め引きの場合は、ジグやタイラバが今どの位置にいるかを常に意識してる。ラインがこの角度で何メートル巻いたってことは、それが三角形の斜辺ってことだから、えーと、ピタゴラスの定理的に海底から何メートル付近をジグが通ってるのかな……とか考える。ピタゴラスの定理、よく分かってないけど(笑)。 引き抵抗も意識してる。巻いてるモノが重く感じるか、軽く感じるかは、潮がどう当たってるかだから。重く感じるときのほうが潮の流れに対していい向きになってる。の流れに対していい向きになってる。 釣れるのはたいてい潮の抵抗を感じるときなんだ。ほら、今なんかすごく食いそうな重みなんだけどな〜。こないな〜(笑)。

 

#突如の早巻き     
#焦らします       
#食わせます       
#かわいいもんよ

 タイラバで釣っていたヨッシーが、突如早巻きを始めた。回収か? 巻きの釣りを諦めるのか!? 巻きすぎてどうかしちゃったのか……!? 数メートル早巻きしたら落とし、着底したらまた早巻きして、を繰り返すヨッシー。ものすごくせわしない。こんなので釣れるはずがな……釣った! 小型だが本命のマダイだ!! 早巻きを試した直後のことだった。 そう?(笑)早巻きでマダイに注目させるんだ。でも動きが早くて食えない。マダイ、「ううっ、もどかしい」ってなるでしょう? 早巻き、着底、早巻き、着底を何度か繰り返して、マダイに「ううっ、食いてえよう!」と思わせる。そしてフッといつものリズムに戻すと、さんざん焦らされたマダイが「おっ、食える!」とバックリ……! 楽しいでしょ?(笑) 海の中をイメージしながら釣るのが面白いんだよ。ホントかどうかは分かんないよ? でも、こうやって思いどおりに食ってきたときはサイコーだよね。 たぶん、海の中ではオレの想像どおりのことが起きてたはず。この小ダイも、ジレジレしたんだよ。かわいいヤツだ!

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#巻き切った!     
#ちょっとしんどい    
#でも楽しい       
#若干モヤる

「午後3時からがチャンスタイムだよ〜」と植田竜也船長。自由な釣りを楽しませてくれる、根っからの釣り好きだ。このころにはお客さんもタイラバやタイジグでマダイに挑んでいる。 タイジグでマダイを掛けたのは船長その人。そして午後4時20分、「ヨッシー、ちょっとタックル貸して〜」と、しみじみタイラバを巻いていた沖藤編集長にもマダイがヒット。 底から4、5メートルほど上。それを見たヨッシーは、「結構上まで浮いてるのかもしれない」と投げるのをやめて縦の釣りにスイッチ。タイラバの巻き量を増やし、中層まで追わせる作戦に。 これが功を奏し、マダイ……と思しきアタリはあったが、掛からず。17時過ぎ、船長の「じゃあ、これで仕舞って行きましょう」の合図に、巻き通しの一日を終えたヨッシーは「よっしゃ!」と満足げな声を上げたのであった。 よっしゃ! 巻き切った! 気持ちいい!! このやり切った感がサイコーだよ。ずっと横(斜め)の釣りだったけど、最後は縦の釣りになったね! 夕マヅメになって魚が浮いてきたんだと思う。 ただ巻いてるように見えるかもしれないけど、その中でも組み立てがあるんだよね。自分の感覚や、自分へのアタリで組み立てを変えていくのはもちろんだけど、だれがどんな釣り方で釣っているのか、周りの様子を見ながら合わせられるのが、乗合船のだいご味かな。 植田丸みたいに自由に色んな釣りができる船だと、みんなで幅広く色んな探り方を試すことになるから、余計に面白いよね。 結果は、巻きで3枚。外道も含めて飽きない程度にポツポツとアタリはあったけど、中ダイが出たのはテンヤだったしね……。「大正解」とは言い切れないけど、少なくとも間違ってたワケじゃなかったかな……。 若干のモヤッと感を残しつつ鹿島港を後にしたヨッシー。この「モヤッ」を晴らすことが、次の釣行へのモチベーションなのであった。

 

 

#テンション高まった!

 タイラバで確実にマダイのアタリ! 何と20メートルぐらい追ってきた。まとわりついて、ついばんで……の20メートル。コッチはただ巻くことしかできない。食うの!? 食わないの!? あーッ、離した〜ッ!  約20巻きのドラマ。最高。結果食わせられなかったのがまたイイ。どうすれば食わせられたのか? 途中で落とせばよかったのか……?  次だ、次! そして果てなき巻き地獄(笑)。

 

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【タイジグタックル】
ロッド=ジャッカル・ビンビンスティックエクストロ66ML-TJロッド=ジャッカル・ビンビンスティックエクストロ66ML-TJ

リール=シマノ・ステラC3000XG

ライン=シーガー・PEX8 0.8号 

リーダー=シーガー・グランドマックスFX 3号・3メートル

メタルジグ=ビンビンメタルTG 40グラム

【タイラバタックル】
ロッド=ジャッカル・アンチョビドライバー エクストロ511XSULロッド=ジャッカル・アンチョビドライバー エクストロ511XSUL

リール=シマノ・炎月プレミアム150PG

ライン=シーガー・PEX8 0.8号 

リーダー=シーガー・グランドマックスFX 3号・3メートル

タイラバ=ビンビン玉60グラム

ネクタイ=Tプラスラバー フィネスカーリー


 茨城県鹿島港   植田丸

 鹿嶋市下津273-74 0299-83-3773 080-6866-3521

◉料金=一つテンヤマダイ(タイラバ・タイジグ)一人1万2000円(エサ1パック、氷付き。午後は1万1000円)
◉備考=予約乗合。女性、子供割引あり。ほかヤリイカ乗合へも

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