text by Go Takahashi

※料金等データは2019年7月のものです。

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#タマを用意しろ!
#タチウオは気まぐれ  
#武器がなければ戦えない
#全方位武装せよ!

 乗船時のタックルボックスの重さは、下船時のクーラーの重さと比例するんだぜ……。 目深にかぶったジャッカルのサンバイザー。その奥でギラリと瞳が光る。今回は妙にハードボイルドなヨッシー。いったいどうした……? 神出鬼没の幽霊魚、タチウオを狙い撃ちするんだからよ。狙い撃ちって言えば、ルパン三世に登場するガンマン、次元大介に決まってる。だから今日のオレはヨッシー次元さ! よく分からない。ヨッシーは名字からくる愛称だから、ヨッシー大介のほうがしっくりくる。いや、そういう問題ではないが、とにかく意気込みは感じる。ずっしりと重いタックルボックスには、ぎっしりとジャッカル・アンチョビメタルが詰まっている。鉛製ジグはまさに銃弾だ。そういう問題ではないが、とにかく意気込みは感じる。ずっしりと重いタックルボックスには、ぎっしりとジャッカル・アンチョビメタルが詰まっている。鉛製ジグはまさに銃弾だ。 スタイリッシュ&スマートに釣りを楽しむヨッシーにしては、やけに大荷物だが……。

 タチウオは気まぐれなんだ。ま、峰不二子みてぇなもんだな。その日によってどのジグが当たるか分からない。だから船の上にはできるだけ多くのジグを持ち込むってわけさ。 アンチョビメタルは、タイプⅠ、Ⅱ、Ⅲ、そしてZEROと全4種類。それぞれに個性派ぞろいだが、日によってどれに食ってくるか分からない。同じ日でも、ポイントや時間帯によってジグを選んでくるんだ。 この気まぐれさが不二子……じゃねえ、タチウオってヤツさ。まったく面倒な相手だぜ! タイプⅠは沈下速度が速く、タナ探索能力が高いから、パイロットルアーとして最初に使いたい。短距離でもよく動くタイプⅡは、ネチネチ攻められる。タイプⅢはハデに動かないから、スレたタチウオに有効だ。

 そしてタイプZEROはベーシックでオールマイティ。だれにでもすすめられる要素満載で、状況次第でオレも使うぜ。 各タイプごとに、重さや色もある程度そろえておきたい。そうすると、4種類×重さ違い×色違いで、大荷物になるんだ。 正直、重い。肩は悲鳴さ。でも過去に何度も、「ああ、アレ持ってくればよかった」と後悔したもんだ。それがタチウオってヤツだぜ……(遠い目)。

 

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#ドラゴンを狙え!
#ジグを替えろ     
#誘いを変えろ     
#胸張ってパクれ!

 6月28日、低気圧が接近し悪天の可能性もあった東京湾は、南西の風がやや強いものの時折初夏の強い日が差すまずまずのコンディションだった。 長浦・こなや丸の進藤通孝船長は、タチウオのベテランだ。潮や状況を読みながら、一日の中でどのポイントをどう巡るかを戦略的に組み立てる。 第二海堡周り、観音崎沖、走水沖、大津沖……。進藤船長の意図を読み解き、指示ダナにジグを泳がせ、タチウオを狙い撃ちするヨッシー次元である。 さっきも言ったが、タチウオは一日の中でもコロコロと食ってくるジグが変わる。だからタチウオの出方を読んで、こっちでジグを合わせなくちゃいけない。同じことを延々やってても、決して釣れねえ。攻めが大事だ。 でもなルパン(←だれのことだ?)、ジグの動かし方は攻めちゃいけねえ。海中でジグを飛ばしすぎると、タチウオのミスバイトが増えちまうんだ。食うのが下手な魚だからよ。

 ジグは頻繁に替えたほうがいい。でも、ジグはあまり動かさないほうがいい。気まぐれなくせに繊細。それが不二子……じゃねえ、タチウオってヤツなんだ。 ヨッシー次元は銃口……じゃない、竿先を下げたままリーリングしており、ほとんどシャクらない。リーリングスピードに速め・速め・遅めとメリハリをつけ、「追わせて、追わせて、フッと間を作って食わせる」といった工夫をしている。 序盤から快調にタチウオが上がる。ヨッシー次元にアタリはあるが、仕留めるには至らない。 釣れている人の様子をうかがいつつ、タイプⅠからタイプⅡへと変更したところでついにヨッシー次元にヒット。地味な動きに反応していると見るやタイプⅢに変更し、早撃ち連発でタチウオを釣り上げた。

 あちこちでタチウオが抜き上げられ船中は賑やかになったが、爆釣というわけではない。 少しずつ速い動きのジグに反応し始めているが、まだスイッチが入ったとは言えねえな……。アピールの強いタイプⅡに替えたほうが数は出そうだ。でも、オレのターゲットは指8本のゴン太タチウオだ。気を付けてくれ、ゴンタじゃねえ、ゴンブトだぜ。 群れの中からゴン太を狙えるかって? 正直、難しい。ただ、ジグのアクションは小さめ、色は暗めのものほど、デカいタチウオが釣れる傾向はあるようだ。 ほら、タイプⅢで再びヒットしたぜ。サイズアップしているだろう? 狙いどおりだな。 ここまでずっと130グラムで攻めてきたが、160グラムでさらに動きを抑えてみよう。

 釣れた1本に満足するのではなく、その釣れ方や、周囲の状況を判断しながら、意味を持ってジグを替えていく。さすがプロフェッショナルなガンマン。いやジグマン。いやタチウオマンか? いずれにしても真剣だ。 ……160グラムはちょっと動きが少なすぎたようだぜ。タチウオスイッチを入れられない。タイプⅠの130グラムにして、再度アピールを高めてみよう。 おっ、同行の釣り仲間、イソメマンとしておなじみの鹿島一郎さん、タイプⅠの160グラムでヒットか。オレも同じジグの色違い、ピンクに変更だ。

 いやいや、断じてパクリじゃねえ。的確な状況判断、と言ってくれ。タチウオはホントにちょっとしたことで釣れ方が変わるシビアな魚だからな。 その割に、ドスーンと強烈な引きで竿をブチ曲げる。そう、竿はとても大事だ。 ジグが跳ねないように竿先は繊細なほうがいい。だが一方で、タチウオは細身の割にトルクがあって引きが強い。だからバットは強くなければならない。タチウオの竿は、専用品をオススメしたいところだぜ。

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#セオリーを捨てろ!
#1本に満足するな   
#真逆も試せ      
#狙って獲れ!

 昼を過ぎた。ヨッシー次元は順調にタチウオを釣っている。「追い詰めている」というイメージで、微調整を繰り返しながらターゲットに迫る姿は、ガンマンそのものだ。 頻繁に流し変える進藤船長も、タチウオとの間合いを詰めていく。そして午後1時すぎ、「ここは大型が出るポイントだよ」とのアナウンスが入った。 ヨッシー次元の瞳が、ギラギラと光った。そして、動きのあるタイプⅠの黒──ステルスブラックを手にした。1秒で1回転以下のゆるやかなワンピッチジャークで、忍者のようにドラゴン級タチウオに迫る。

 すかさずヒット。しかしヨッシー次元は釣れ上がったタチウオを見て、首を傾げる。大物を狙って投入した黒だったのに、思ったようなサイズではない。 ん~、違うな……。 そう言うと、ヨッシー次元が手に取った弾丸──すなわちジグは、なんと黒とは真逆のド派手なドラゴンチャートだった。 金色をベースに、赤と緑のキャンディカラー。あまりにも派手だ。「大物を狙う」と黒を選び、とりあえず1本を掛けたのに、そのサイズを見て正反対に方向転換したのである。

 そして、すぐに1本ヒット。サイズアップを確認すると、そのままドラゴンチャートで釣り続けたわずか5分後。 ……ん? あんまり大きくないかな……。いや、コレはデカいぞ! 途中からズドドドッと引き始めた。こいつぁいいサイズが上がってきそうだぜ! その言葉どおり、ギラギラと銀色に輝きながら海面を割ったのは、指6本幅、全長120センチの見事なドラゴンだった。

 ターゲットを絞り、追い詰めて、土壇場で冷静に戦略を変え、着実に仕留める。ヨッシー次元、面目躍如であった。 完全に狙って獲ったぜ! 気持ちいいったらありゃしねえ。ジグの動きはあくまでもゆっくりと、でも黒じゃねえな……と。黒はアタリが多く出てたけど、小型がジャレついてるようだった。だから真逆のチャートを試したってワケさ。 明るい色のジグは小型タチウオ、暗い色は大型タチウオっていう一応のセオリーはある。でも今日は、その逆だった。

 タチウオってヤツはホントに不二子みてぇに気まぐれだ。何でも試してみねぇと分からねぇってこったな。ハッハハハ! 実は朝イチ、タックルボックスからドラゴンチャートを取り出して「コレが効くときもあるんだ……」とつぶやいていたヨッシー次元。最後の最後にドラゴンを引き寄せることを予感していたのか……。ハードボイルドで、ちょっとカッコいい。どこからどう見ても次元大介な、本日のヨッシーだった。

 

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 #テンション高まった!

◉狙って獲った最後の1本が最高! 何かが違うと、タチウオは決して食ってこない。逆に、狙いがビタッと合えばガッツリ食ってくる。これが気持ちいいんだ。 まず大事なのは、タナをしっかり合わせること。タナが合っているのに食ってこないときには、何かが違う。釣れてる人のパクリでも全然構わない。とにかくヒットパターンを探り当てて、ズドンとトルクのある引きを味わってほしい!


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ロッド=ジャッカル・アンチョビドライバー
エクストロ・ADXT-C70ML

リール=シマノ・オシアコンクエスト・300PG
ライン=PE0.8号
 リーダー=80lb・60センチ


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東京湾奥長浦港
こなや丸

☎0438・62・2707
◉料金=タチウオジギング1人9500円(氷付き、女性7500円、中学生以下4700円)。※3名以下の場合1人1万円。
◉備考=予約乗合。6時出船、14~14時半沖揚がり。レンタルタックル1000円。ほかアジ、シロギス、餌木タコ乗合へも

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