※料金等データは2019年9月のものです。

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#もどかしい!     
#アタリは小さく             
#合わせはバシッと           
#ハリ掛かりが気になる〜

 底抜けに気持ちよくて、ただ楽しいだけの釣りも、たまにはある。8月27日、鴨川沖でのテンヤタチウオは、そんな奇跡のような半日だった。

 外房の海にしては珍しくウネリがなく、ベタナギだった。勝浦松部港を出発した信照丸の吉野勉船長が鴨川沖でポイントを探り始めると、すぐにタチウオがヒットした。……ヨッシー以外に。

 ちなみにこの日、信照丸の右舷には「ヨッシーと仲間たち」が並んでいた。

 トモから、レーシングドライバーとしてスーパーGTで大活躍していながら船上ではただの小学生と化す高木真一さん、その美しき嫁でありながら船上では釣りの鬼姫と化す吉川ひとみさん、モータースポーツ界では肩で風を切って歩くも船上ではただの小学生と化す上野禎久さん、そしてイソメマンとして世界にその名を轟かす餌問屋・餌勝商店の鹿島一郎さん。

 全員がたちどころに良型のタチウオをヒットさせたが、ミヨシのヨッシーにはアタリがこない。

 群れが小さいのかな……。

 確かにトモから釣れているようだが、ヨッシーには小さなアタリが数回あるだけ。

 テンヤタチウオの魅力は、「コンッ」と竿先が戻るアタリ。タチウオが下から突き上げてきてるんだけど、これを見切ってバシッと合わせが決まったときの気持ちよさといったら、サイコーだからね!

 残念ながらその「サイコー」を味わっていないのはヨッシーだけ。

 ジギングより強めにシャクる。ショートピッチで1、2、3回。約5秒止めてアタリを待つ。アタリがなければ再び3回シャクって、約5秒のポーズ。それを繰り返しながら、130~100メートルの指示ダナを探る。

 強めにシャクるのはテンヤを飛ばすため。混雑時にはほどほどにしたほうがいいけど、タチウオへのアピールは増すと思う。

 午前7時ちょうど、ヨッシーにアタリが出まくる。隣のイソメマン鹿島にヒットした直後、ついにヨッシーがタチウオを掛けた!

 8回バイトしてきて、ようやく掛けられたよ! いや~、もどかしい(笑)。

 でも、このハリ掛かりの仕方からすると、どうも今日のタチウオは横向きに泳ぎながら食ってきてるみたいだな……。

 ヨッシーがつぶやく。ガッツリと上アゴにハリ掛かりしている様子は、シロウト目にはバツグンのフッキングに見えるが、ヨッシーは何か気になって仕方ないようだ。

 タチウオはその名のとおり、縦に泳いで下から食い上げてくることが多い魚。テンヤの場合、合わせるとタチウオの頬とか胸ビレ、体あたりにハリ掛かりするはずなんだ。

 でも、こうして口に掛かってくるってことは、横に泳いでいるんだろうね。うーん……。

 釣れればそれで満足ではない。「いかに釣るか」にヨッシーはこだわる。今、海の中はどんな状況か。魚たちはどんな様子か。常にそれを探り、答えを見つけ、蓄積し、次の釣りへと生かす。それがヨッシーのスタイルだ。

「うーん……」と難しい顔で現状を見極めようとしていたヨッシーだったが、あるモノを手にしてコロリと笑顔に変わった。子どものような笑顔に。

 

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#人生初電動リール#腰に手を当て     
#余裕しゃくしゃく   
#ハラモ参上

 あるモノ──シマノ・フォースマスター400。ヨッシー、初の電動リール体験である。

 前回このポイントでテンヤタチウオをやったとき、「テンヤで100メートルを超えると手巻きはキツいな……」と感じちゃったんだよね。それで今回はちょっと電動を試してみてもいいかなって。……ダメ?

 ダメもなにも、関東でタチウオ釣りといえばテンビン仕掛けのエサ釣りが主流で、ほとんどの人が電動リールを使っている。

 100メートル超えが当たり前のポイントで、50号、190グラムのテンヤをぶら下げての手巻きはなかなかキツい。

 初めて電動リールを使うヨッシーだったが、「なんだ操作もカンタンじゃん!」と、いきなり使いこなし始めた。スマートダイヤルにチョッチョッと触れて、さっそく誘いに最適な巻き上げ速度を見つけたようだ。

 めっちゃラク!! こんなラクな釣りがあったのか! いや~、まるでだれかがリールを巻いてくれてるみたいだ。あ、モーターが巻いてくれてるのか(笑)。

 操作性も反応もいいから、魚を掛けるまでの使い勝手は手巻きリールとまったく変わらない。なんの違和感もないよ。

 それでいて100メートル下にいたタチウオを自動で巻き上げてくれるんだから、もう腰に手ェ当てて釣りしちゃうよ!

 もうダメだ。鴨川沖のタチウオに逃げ場はない。高性能身体センサーで繊細なアタリを拾い、抜群のフッキング能力を備えるヨッシーが、巻き上げラクラク電動リールを手にしてしまったのである。

 ヨッシーのテンションが高まるに伴って、タチウオの活性も高まった。釣り開始から1時間は0本だったヨッシーだが、手巻きリールで1本を上げ電動リールに替えてから1時間で、瞬く間に4本を追加。電動リールが火を噴いた!

 いやもちろんこれは例えで、フォースマスター400は良型のタチウオも難なく巻き上げる。しかしヨッシーの勢いもタチウオの高活性も止まらなかったのは確かだ。

 誘いへの反応がめちゃくちゃいい。動いてるモノにリアクションで食ってくる、ぐらいの勢いがあるね。こうなったらエサ持ちがいいハラモでイケるかな。

 ここまでイワシ、サンマとエサを替えてきたヨッシーだったが、タチウオ高活性と見るや、カツオのハラモ(腹の身)を手に取った。

 イソメマン鹿島が、エサ問屋パワーをフルに発揮し船上に持ち込んだ特エサである。

 

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#油断大敵    
#惑わされるな高活性  
#容易に釣れるときこそ 
#細かいセッティングを

 活性が低ければイワシやサンマのようにニオイが強いエサのほうがバイト率は上がる。だが、高活性なら身持ちのいいハラモの手返しが魅力だ。はたしてヨッシーの勢いは加速し、バッタバッタとタチウオを釣り上げまくる。腰に手を当てながら……。

 仲間たちのうち、イソメマン鹿島を除き全員が電動リールになった。つまり条件はそろったわけだが、やはりヨッシーがズ抜けて釣っている。

 やっぱりタチウオが横に泳いでるのが気になる。活性が高いのにハリ掛かり率が低いのは、そのせいだ。釣り方を少し変えるか……。

 ショートピッチジャーク3回、ポーズ5秒を基本動作としていたヨッシーが、ポーズ時間を短くしていく。すると面白いほど掛かってくる。

 ポーズしているときのテンヤの水中姿勢は水平で、ハリ先も水平方向に向いている。これが合わせるとヘッドが上がってハリ先は上を向く。つまり上に向かってハリ先が動く仕組みで、上に向かって食ってくるタチウオは掛かりやすいけど、横から食ってくるとなかなかハリ掛かりしないんだ。

 ポーズ時間を短くすれば、活性の高いタチウオは常に上へ、上へと追い上げるかたちになる。つまりタチウオを上に向かせることでハリ掛かりしやすくするのが今日のコツかな。

 沖揚がりの午前11時まで、タチウオは釣れ盛った。だがヨッシーがつかんだコツは、ヨッシーのすぐ隣にいたイソメマン鹿島、さらに隣の小学生的上野さんまでにしか伝わらなかった。高木夫妻も順当に釣りはしたが、ドラゴン級を含め29本釣ったヨッシーに水を空けられた。

 帰途、勝浦担々麺を食しながらの反省会というかアルコール抜きの宴会で初めてコツを聞いた高木夫妻は、「それ船の上で教えてよ~!」とカラい表情を浮かべた。GTドライバー高木さんは辛いものが苦手なのに勝浦担々麺を頼んだから、じゃない。本気で悔しかったのだ。

 活性が高い中でも、ハリ掛かりの様子を見て誘いのセッティングを変えたヨッシーの勝利である。だが、なぜか少し浮かない顔をしている。

 電動リールのおかげで、全然疲れてないんだよね……。いや、いいことだよ? 巻き上げの手間がないから、誘いやアタリに集中できるしね。だいたいオレも、50歳過ぎたら電動リールを使おうと思ってたし(笑)。

 でもホントに疲れてないんだ。オレ、今日で大事ななにかを失ってしまったのかなぁ……。

 じゃあ、次にまた外房でテンヤタチウオをやるときは?

 迷わず電動! 水深100メートル超えたら、もう電動!!

 ヨッシー、37歳。

 

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#テンション

高まった!

◉今日イチの1本が釣れたときは、やっぱりサイコー! アタリやハリ掛かりの様子ではサイズは分からないけど、巻き上げてくるときの引きがドラゴン級は独特。細かく震えるような引きで、「コレハグッドサイズジャナイノ!?」と

分かったよ。

  テンヤタチウオは良型が釣れるから本当に面白い。中でも外房はデカイのが釣れてくるから、1発ドーンという緊張感もあって楽しいんだよね!


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ロッド=ジャッカル・アンチョビドライバータチウオテンヤ・ADT-C175MH82ロッド=ジャッカル・アンチョビドライバータチウオテンヤ・ADT-C175MH82リール=シマノ・フォースマスター400ライン=PE1.2号 リーダー=フロロカーボン5号・2ヒロバイトリーダー=ナイロン80lb・60センチテンヤ=アンチョビドラゴンテンヤ&アンチョビドラゴンテンヤ即掛け40号&50号


 外房勝浦松部港 信照丸

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☎0470・73・3483

◉料金=タチウオ乗合1人1万800円(エサ、氷付き) ◉備考=予約乗合。5時出船、11時沖揚がり。ほか午前・午後ハタ、午前カツオ乗合へも