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※料金等データは2020年1月のものです。

#タチウオ猫論     
#気まぐれ       
#気むずかしい     
#どう気を引くか 

 タチウオは、猫なんだよ。 ヨッシーが言った。真顔で言った。真剣そのものである。 タチウオジギングの本質は、……えーっと、猫またぎ? 猫さわりだっけ? あれ? 猫ばらしだったかな? どうやら猫じゃらし、と言いたいらしい。 そう、それ! 猫じゃらしで猫と遊ぶような感覚なんだよ、タチウオジギングは。 サンドウィッチマンの富澤さん風に、「ちょっと何言ってるか分からない」。でも、何となく分かる。実際ヨッシーは、湾奥猫……じゃない、東京湾奥のタチウオをじゃらして遊んでいるようだった。 この冬、湾奥タチウオが熱い。船釣りはもちろんだが、なんと陸っぱりでも釣れており、有名なポイントでは真冬の夜中でも多くのヘッドランプが揺れているそうだ。 真冬にもかかわらず、東京湾の浅場で釣れ続けているタチウオ。異変……と言いたくなる事態だが、ヨッシーは別の意見だ。12月19日午前6時40分に船橋港を出発した内木丸の船上で、腰に手を当ててヨッシーが語る。

 かなりフィーバーしてる印象だけど、1、2年前の冬から湾奥でタチウオがポチポチ釣れるようになってたんだよ。だからこの冬が特別当たり年って感じはなくて、徐々によくなってるっていう印象かな。 ただ、今まではシーバスジギングに交じるぐらいだったからね。こうしてタチウオ狙いの乗合船がエサ釣り+ルアー釣りで出船するっていうのは、確かに相当熱いよね。 出発から30分ほどの幕張沖、水深15メートルのポイントで釣りを開始した直後、エサ釣りで1本釣り上げられた。それをきっかけに、バタバタと船上が賑やかになる。ジギングのヨッシーにもすかさずアタリがあったが、バレてしまった。 着底から5メートルほどゆっくりとワンピッチジャーク。フォールで食ってくるんだけど、浅いということもあってジグがアンチョビメタル・タイプ0の80グラムと軽いから、ハリ掛かりしづらいんだ。

 本来は160グラムあたりを使うから、ジグの重みで勝手にハリ掛かりする。この軽さだと、積極的に合わせていかないとダメかもしれないね。 と、言っているそばからヨッシーがスパッと軽く合わせを決めて1本目をキャッチ。そして怒とうの入れ掛かりが続いた。 底にへばりついていたタチウオが、エサにつられてどんどん上がってきてる。活性は高いけど、食ってくるのはほとんどフォールだね。 浅場は、追わせる幅が狭いぶん、食わせの間を多めに作るのがポイントだ。巻き上げで追ってきてるから、止めて「ん?」と思わせ、フォールで食わせる。 うん、今日のタチウオに遊んでもらうには、このじゃらし方だな!(笑)

 

#打倒ワンパターン
#釣れたらほかのやり方を
#暗中模索       
#五里霧中 

 ひとつひとつのアタリを詳細に分析して、今、どうするべきかを考える。それがヨッシーのスタイルだ。 アタリは多いけど、ジグに1発アタックしてやめちゃうことが多いな。タチウオはたくさんいると思うけど、食いはそれほどよくないね。 しかも全部フォール。食い上げてこない。イワシを食ってるときは真っすぐの早い巻き上げに反応するはずなんだけど……。 やる気のあるタチウオは10本に1本って感じかな。ただ、全体数がめちゃくちゃ多いから、順当に釣れ続けてるんだと思う。 釣り開始から30分で5本目をキャッチしたヨッシー。平均して6分に1本というハイペースだ。エサ釣りの人たちと比較しても決して劣らない……と思っていたが、9本目を釣ってからパタリと途切れてしまった。

 潮が動いてないね。こうなるとエサが強い。やっぱりニオイや味があるのは魅力的だよ。 ジグでの釣れ方も、ポイントを流し変える→底にタチウオがいる→エサに反応する→活性上がる→タナ持ち上がる→ジグでポイッと拾う、というパターン。エサ釣りとジギングが混在OKな内木丸の強みだね。 ジグだけで釣れないかっていうと、そんなことはない。でも、反応に着けてから活性が上がるまでに、時間はかかってしまうだろうなぁ。 ネコと遊ぶにも、ネコじゃらしだけよりもCiaoちゅーるがあったほうが素早く盛り上がれるのと同じだ。……同じだろうか? いや、同じだ。 9時27分、10本目でツ抜け。続けざまに11本目を上げたヨッシーは、うーんと唸った。 パターンはつかめたよ。今日は完全にフォールだ。このまま釣ってれば、たぶんエサ釣りにも負けないと思う。じゃ、ちょっと別のことをやってみよう。

 そう言って手にしたのは、陸式アンチョビハイブリッド20グラムだ。これに、当コーナーのレギュラーキャラ・餌勝商店のイソメマンこと鹿島一郎さんが用意してくれたキビナゴをセットした……かと思いきや、立て続けに陸式アンチョビミサイルJr. 28グラム、ビッグバッカージグ40グラムと、10分おき程度でルアーチェンジする。 さっきタチウオが吐き出したベイトを見たら、5~6センチの小ささだったんだ。マッチ・ザ・ベイトを狙ってシルエットの小さいルアーに替えてみたんだけど、反応はイマイチかな。 というより、あまりにも軽くて、いくら浅場とはいえ落ちていくのに時間かかりすぎ! これじゃネコも遊んでくれないよ。あ、タチウオか(笑)。

 

#増やせ引き出し!
#次に生きる多彩なパターン
#そして癒やしのシーバスへ
#期待を裏切らないいいヤツ

 そう言いながらも、どうにか別のヒットパターンを探ろうとするヨッシー、陸式アンチョビハイブリッド+キビナゴで粘り始めた。粘りに粘った50分後、ついにヒット! 巻いて、止めて、巻いて、止めての繰り返しで、止めた瞬間に食ってきたね。やっぱり今日のネコ……じゃない、タチウオは動きが重要みたいだな。エサ釣りの方たちも結構激しく動かして誘ってるしね。 ほら、またきたよ! じゃれついては放し、じゃれついては放しと陸式アンチョビハイブリッドと遊んでいたタチウオを掛けて2本を追加すると、今度はビッグバッカーソフトバイブの28グラムを手にした。 これもキュッ、キュッと小刻みにストップ&ゴーを繰り返す通称「デジ巻き」で止めた瞬間にドン! ヒットさせた。 再び最初のアンチョビメタル・タイプ0の80グラムに戻したヨッシーは、ヒットパターンを駆使してネコじゃらしまくりである。さらにパターンをシンプル化して、10回巻いて落とす、というだけで釣っている。「やってみ?」と言われ、不器用のカタマリである筆者も挑戦してみたが、本当に1投目で釣れてしまった。10回巻いて落とせばアタリがきて、合わせるだけ。ほぼオートマチック。これを続けていれば確実にエサ釣りに匹敵する釣果になるだろう。

 結局ヨッシーは17本。エサ釣りのトップは35本だったが、途中色いろなトライをせずにヒットパターンを続けていれば、ジグでも確実に30本は超えたはずだ。だが、ヨッシーはトライするほうを選んだ。 タチウオって、ホントにネコと同じで、何考えてるのか分かんないんだよね。その日、その時間によって反応も仕方もコロコロ変わるんだ。 だから、色いろ試しておくことが大事。今日は単純にフォールで食ってくるという分かりやすさだったけど、なかなかパターンが見つけられないときもある。色いろな釣り方を試しておけば、それぞれのメリット、デメリットがつかめて、引き出しが増えていくんだ。 ネコだっていつも同じ遊び方じゃ飽きちゃうでしょ? それと同じ。同じかなあ?(笑) 帰港がてらシーバスのポイントにも立ち寄った。バタバタと釣れ、瞬く間にタルがいっぱいになる。終盤、タチウオのペースが落ちて冷たい雨にもやられ気味だった船中が、一気に賑やかに盛り上がる。

 気むずかしいから色いろ試さなくちゃいけないタチウオに対して、シーバスはほぼ確実にフォールで食ってくる。ホントにかわいいヤツ。みんな大好き、癒やしの釣りだよね。 今は湾奥でタチウオが釣れてるけど、ヤツらは気まぐれだからいつまでいるか分からない。その点、シーバスは安心安定、ほぼ確実にいるからね。これからサイズも大きくなるし、楽しみだよ。 タチウオジギングに際しては、最初から最後まで頭を使い続けたヨッシー。次につなげる「考える釣り」だ。 ……と言いつつ、シーバスのように気軽な癒やしの釣りを楽しむのも好きだ。冷たい雨を忘れ、「ホラきたよ!」と無邪気な歓声を上げるヨッシーだった。

 

#テンション高まった!

 水深が浅いぶん落とすまでの時間が短いから、色んなことを試せるのが浅場の魅力。通常のタチウオジギングだけじゃなく、陸っぱり用も含めて色んなルアーを試せたのが楽しかった。 ずっとジギングで通せば数はもっと釣れたと思うけど、オレは色いろ試すのが好き。次の釣りにもつながるし、ショアからの釣りにも生かせるからね。 考えて、考えて、考え抜くのが楽しい。自分のイメージとタチウオの反応がバチッとハマッた瞬間は、最高にテンション高まる!


 

ベイトタックル

ロッド=ジャッカル・アンチョビドライバー

ADXT-C60ULリール=シマノ・炎月プレミアム150HGメインライン=シーガー・PEX8

ルアーエディション 0.8号リーダー=シーガー・グランドマックスFX 3号 2ヒロ(バイトリーダー 5号18~22号 2ヒロ)

スピニングタックル

ロッド=ジャッカル・プロトタイプロッド=ジャッカル・プロトタイプリール=シマノ・ヴァンキッシュC3000XGメインライン=シーガー・PEX8

ルアーエディション 0.6号リーダー=シーガー・グランドマックスFX 3号 2ヒロ(バイトリーダー 5号18~22号 2ヒロ)

サワラキャスティング

ロッド=ジャッカル・GSW-S68Lロッド=ジャッカル・GSW-S68Lリール=シマノ・ツインパワー4000XGメインライン=シーガー・PEX8 

 ルアーエディション 2号
リーダー=ナイロン50lb 1.5ヒロ

❶ビッグバッカーナブラミノー84❷アンチョビメタル・タイプ0・80グラム❸シーバスアンチョビメタル80グラム❹ビッグバッカージグ40グラム❺ビッグバッカーソフトバイブ28グラム❻陸式アンチョビハイブリッド20グラム❼陸式アンチョビミサイルJr.28グラム


 

東京湾奥船橋港 内  木

☎047・429・1354

 ◉料金=タチウオ乗合1人1万円(エサ、氷付き。ルアー可) ◉備考=ほかライトアジ、ショートアジ、近場カレイ、ライトオニカサゴほか、最初の予約の人が選択できるリクエスト乗合へ