◎尾川 泰将

 Wednesday尾川です。
 仕事がら、各地域の水産研究機関のホームページをちょこちょこ見るんですが、いんやぁチェックする度に知らなかったことが盛りだくさんですよ。

 まず目を引いたのは神奈川県水産技術センターの記事にあった「小田原沖に設置される簡易パヤオ」の話題。6月中旬、小田原市漁協遊漁船部会によって根府川~酒匂川沖にかけての3地点に設置されたとか。

 

簡易浮漁礁の設置風景。神奈川県水産技術センターのHPより

 さっそく小田原早川港・坂口丸の親方、久保田源太郎船長(今や当地の「生き字引」的存在)に聞いてみたところ、
「浮魚礁はね、ずいぶん前から入れてるんだよ。水深250メートルくらいの魚道に6月半ばごろ設置して、年末に引き上げる。毎年恒例の作業だね」
 狙いはもちろん回遊魚を集めるため。具体的にはカツオやキハダの寄り場にするわけです。
 ここ数年、秋口に「オダモン」と呼ばれる巨大なキハダが釣れるのも「元々の好漁場と、パヤオの相乗効果だろうね」と親方。漁業の拠点として神奈川県下で古い歴史を持つ小田原には、漁場を活性化させる地道な努力と工夫がいくつもあるらしいんです。
「興味があるなら、作業現場を取材に来なよ」と誘ってくれたので、いつかトピックスとして本誌で紹介できたらなぁと考えてます。ともあれ小田原市漁協遊漁船部会の有志には深~く感謝、今年もそちらの海で楽しませてください。

 そうそう、肝心のカツオは「灘寄りに回ってきた」とのこと。8月のコマセ釣り開幕はカツオ・キメジに始まって、そのうちドカンとオダモン襲来となる……と期待しましょう。

 余談ながら非常にローカルなハマグリの話題。湘南ブランドの「湘南はまぐり」ってご存知? 私が在住する藤沢市の漁協が、チョウセンハマグリを種苗放流して大事に育んでいるらしいんですよ。
 昔から辻堂の海岸線にハマグリの直売所があって「なんでこんなレジャースポットのど真ん中に?」と首を傾げていました。つまり、サーファーが集まるこの海でハマグリ漁が行われていたんです。
 ちなみに神奈川県は横須賀から三浦半島を回って相模湾に至るまで、漁業において重要な魚介類の採捕を規制する「共同漁業権」が設定されています。
 アワビやサザエはもちろん、アサリやハマグリもその一つ。海水浴などで偶然拾っても逃してやってくださいね。

ハマグリの種苗放流作業。神奈川県水産技術センターのHPより