◎尾川 泰将

 ただいま午後4時。相模湾で盛り上がっている「浅場の夏マル」取材から帰ってまいりました、Wednesdayのおとこ尾川です。

うーんチビエビ3.5と比較すればお分かりのとおり戦慄のマイクロ・ビキニ……じゃなかったマイクロマルイカでしょ? これが本日の最小サイズです。始まっちゃったんですよ、こいつとの闘いが。
 で、今日のトップはシマノインストラクター、カワハギスナイパーかつマルイカ職人の鈴木孝さんで47杯。ムギが2割交じる一日でした。右舷ミヨシが有利な潮(そこにいた2番手の釣り人は26杯)でありながら、鈴木さんは左舷トモ二番で、これですよ。脱帽です。
 ちなみにスソは3という、神も仏もなんとやらの無慈悲な結果は相変わらず。鈴木さんの釣り方が知りたい人は、本誌バックナンバー6/1号(No.978)をご覧ください。デジタル版が手っ取り早いです。
 相模湾以外では沼津の夜ジンドウもとい夜マルイカ(ジンドウは沼津の地域名。個人的にはこっちのほうが風情あり)も始まりました。
 往年のボート釣りファンなら、本誌記事で何回か取り上げた「ジンドウ・爆乗りボートレポ」を覚えていらっしゃるでしょう。年によっては内房保田や館山湾、三浦半島の鴨居~小網代~葉山、東伊豆沿岸まで、色んなボート釣り場で、しかも手こぎボートでもよく釣れました。
 岸近くで釣れる「手ごろな夏イカの代表格」だったんです。もう10年以上前のことですけど、でっかいトトスッテや7cmウキスッテのブランコ仕掛けでベンケイサイズも交じったあのころは、パラダイスでしたなぁご同輩(たそがれ顔)。
 胴長25cm前後のベンケイサイズで思い出しましたが、どうしてマルイカって大きさにバラつきがあるんでしょう? 基本的に一年サイクルで死んでしまうはずなのにねぇ……。
 調べてみると西日本日本海側での研究報告、並びにイカ博士の奥谷喬司先生のお話がユニーク。
 端的に書くと通称マルイカやらアカイカを含む標準和名ケンサキイカは、
1・春、夏、秋に産卵&誕生する、3つの系群がある。
2・沿岸海域に定着し小型で成熟・再生産するメヒカリイカ型(マルイカもこれ)、大型になり南北回遊するゴトウイカ型(伊豆諸島のアカイカなど)、さほど大きくないけど胴部や腕が太くずんぐりとしたブトウイカ型(秋~初冬、山陰を中心に日本海で釣れまくる)の3型がある。
 とされているのです。
 これに基づく私の「独断的かつ超希望的釣りキチ長期予報」によれば、今年絶不調の内房エリアも真夏~初秋にいいことがあるのでは……とニラんでます。

ファンはご存じでしょうけど、今春からずーっと伊豆諸島北部のアカイカ(大きなケンサキイカ)が、職漁で獲れまくっています。その稚イカの一部が黒潮に乗り、館山から大原方面へ向かってどんどん成長しながら流れてくるのが見えるんですよ、私の脳内スコープで……!?
「何を言っとんじゃお前は!」と怒るのもごもっともな、ごく私的妄想です。でも、猛暑の真夏に釣れるに違いない!こりゃ館山のボート釣りへ海パン一丁で調査しなきゃ!と思うわけです。
 そこは20年前の8月ごろ、本誌APC石川皓章さんと胴長30~35センチのアカイカ……これまた南房~外房でよく釣れたでかマルイカの方言っす……を10杯近くボートで釣った思い出の海。水深はたったの17メートル。こんなところで憧れのケンサキイカが釣れるんだ!と、足が震えましたよ。

イカって本当に感動するんですよ、とくに初めて釣ると!

そんなわけで当時釣れた2.5~3号の布巻ウキスッテのブランコ仕掛けでトライしてみるつもり。だれか一緒に行きますか~?
 ともあれ今夏はマルイカの当たり年。大小問わず楽しく釣れて、とっても美味な1杯で一盃。よき夏の宵を。