◎尾川 泰将

 Wednesday尾川です。

 今から二昔以上も前、20〜30代の若僧のころはアジア・太平洋各地に出かけてスキューバ・ダイビングに没頭してました。モルジブも天国だったんですが、忘れられないのは船内に寝泊まりして手つかずの海域をわたり潜りまくったパラオのダイビング・クルーズです。

 1000尾以上はいそうなこのギンガメアジのトルネードは、そのときのショット。水深20から100メートル以深に落ち込むドロップオフに群れていた各個体の全長は70センチくらいです。でかい!

     ニコノスⅤに超広角レンズ、リバーサル・フィルムを装填し、水中ならではの面倒な露出&ストロボ調整をしながらもぅ夢中で撮影しましたねぇ。私が浮いているのは崖っぷちの外れで、真下は暗闇。中性浮力の調整を誤ると、深海へ吸い込まれてブラックアウトです。あとからガイドスタッフに「お前は死ぬ気か!」と説教されました……。

     ほかにもサメの群れに巨大なグルーパー(ハタ類)、マンタやらイルカやらと当たり前のように過ごし、溶けるように水平線に沈む夕日にふるえた後は、夜の天上を埋め尽くすまばゆい星空を眺めて眠りました。

     カメラ器材だけでうん十万、ほか潜水器材にツアー代ですから、いや~金のかかる趣味でしたよまったく!でも水の星・地球をダイナミックに体感したひと時はお金になんて換算できない一生の宝です。

 しかしながら現在は、家にいながらにして世界各地の楽園やら釣りやらがYouTubeなんかで閲覧可能、疑似体験できる時代。ものによっては釣り人がかぶりつくスゴい動画もあります。


 例えばアカカマスとブリ。

https://www.youtube.com/watch?v=x6K2FV0Fc-Y&feature=youtu.be

 これは西伊豆の大瀬崎で撮影されたもの。アカカマスの大群にも目を見張るうえに、ブリがしつこくアタックする様子に驚きます。だって、周りにダイバーが数名いるのに捕食に夢中なんですから。アカカマスって最高のご馳走なんでしょうね。

 続いてヒラメの捕食シーン。

https://www.youtube.com/watch?v=MNxsm_ikV7w&feature=youtu.be

 三浦半島長者ケ崎のボート釣り場で撮影されたものです。底から2〜4メートルも泳ぎ上がって生きエサのギンパクに食いつく様子に目が釘付け。一部のヒラメ釣り師が言うところの「タナは高め」の理屈が分かる動画です。

 最後はGTの衝撃的なシーンを撮影した、背筋も凍るプロフェッショナルな動画。

https://www.youtube.com/watch?v=h4pxLHG0Wzs

 英国BBCのブルー・プラネットというネイチャー・ドキュメンタリーの一つで、いやもうドシロウトの画とは別世界ですわぃ。

 いずれにしても、これらの動画を見てイメージしながら釣りに行くと「爆釣間違いなし!」とわくわくします。そして鳥型のルアーで勝負じゃ! なんてアホなことを真剣に画策するわけですネ。

 結果、明確に分かったことが一つあります。
 こんだけ魚がいるのにですね、ハリに掛かってくるのは群れの中のごくごく一部! ほとんどの魚たちに「俺の仕掛けは無視」されているんですよ!

 つまりは見れば見るほど「魚のほうが賢い」という現実を痛感……。世界にあふれる動画を見るたび「日々精進」を思い知らされる私です。