◎尾川 泰将

 ただ今、相模湾腰越港・池田丸のイナダ五目取材から帰還した、Wednesday尾川です。
 いんや~イナダはわんさかいますぞ今秋も。しかも現時点でショゴ(カンパチ若魚)のほか知る人ぞ知る高級魚も回ってまして、腕前問わず満喫できること請け合い。秋の行楽や仲間との釣りイベントにイチオシです!

 ただしここ腰越港にも、台風15号の爪痕が……。小動岬の崖が巨木ごと崩れ、港内の倉庫にドシャッとかぶさっていました。ほか修理は進んでいるようですが数軒の船宿さんは船に損傷あり。千葉に比べればましということで神奈川や静岡の被災者は声を大にしていないものの、道を走ればあちこちで被害が見られます。

 それにしても、台風15号の大停電で、ある電気会社上層部が勇み足で発表した大ざっぱな「復旧予想」は呆れましたね。福島原発のメルトダウンが、おそろしく後に発表されたときもそうでした。現場を知らぬ本店の偉いさんが、またも机上の推論で失態を冒したのでしょう。
 結果として(その電力会社に限らず)住民から直にぶち怒られるのは、身をていして日夜作業している下部組織の現場スタッフなわけです。私の学友にも○電工の社員がいたのですが、昨夏急逝。今思えば愚痴の一つも聞いてやれば、もう少し長生きしたかもと後悔しきりです。
 台風の直後、電力会社は「被害の全容がつかめず、情報収集に奔走中」と正しく言っておけば、現場のスタッフも救われたはず。さらに各方面からの援助も、躊躇なく、早急に始まったはずです。

 一方で少しホッとしたのは、自動車メーカーがハイブリッドカーを「災害支援車」として無償提供したこと(画像は三菱自動車のHPより転載)。

 とにかく今回学んだ教訓は、電力を失って家電製品、風呂、電話(黒電話を除く)までもがお手上げになったこと、さらには山奥で孤立している高齢者や、自宅介護で医療機器の電源が遮断された人々への支援方法をどうするか、でした。
 対策の一つは小回りがきき(四駆ならなおベスト)、さらに数日間は電源車両として活用できてガソリンでもしっかり動くハイブリッド・カーであることを痛感しました。
 この災害は、EV主導の政策を進める欧米諸国に強烈な課題を提起したと思います。電気が一切使えないブラックアウトを想定すると、ガソリンでは動かないEVカーを少なくとも私は買いたくありません。

 日本の自動車メーカーが先駆者となったハイブリッド・カーは、今こそこの実例を引っ提げ、自信をもって世界に訴えかけてはどうでしょう。トヨタ、日産、ホンダに三菱。それこそ総力を結集して世界にアピールするタイミングかもしれません。個人的注目車はアウトランダーPHEV。悪路を走破でき、ガソリンエンジンで発電した電気を外部給電できるのです。

 自分がブラックアウトの被災者になったらどうするかと黙考したのですが、もしもそこにハイブリッドの災害支援車が支給されたなら、間違いなく感謝感激でしょう。そして、
「本当に助かった。このハイブリッド支援車、そのまま買い取らせてくれないか?」

 真顔でそう言うだろうと思います。