◎尾川 泰将

「俺って何歳だっけ?」
大好きな海を眺めながらも、自分の年齢がカウントできなくなってきたWednesday尾川です。

 かみさんの計算では「54だね。もはや、おじいさん」だと。たしか昭和中期のころまでは55歳で定年でしたから、当時なら来年リタイア。気づけば自分が10代のころ大嫌いだった「老がいをまき散らす偉そうなジジイ」になってます。実際、20歳のわが娘にも、時どきマジでぶち怒られている頑固ジジイですよ(現在も冷戦中)。

 そんな私にも、梶井基次郎の『檸檬』なんかの世界に吸い込まれた、とても純なころがありました。
 ちょうど雑誌、新聞、テレビも本当に楽しかった昭和50年代のころです。今やそうした情報の発信と受信はスマホ、つまりインターネットが担う時代。子供がよく見ているYouTubeなんかをちら見すると、作り手が心から楽しんで、真剣に発信しているものもあるようですね。
 これって当時の老がいジジイから批判されながらも、何も恐れず、次から次へと新たな番組や雑誌が生まれた昭和のテレビ界や出版界(いや8ミリ映画や、同人誌・ミニコミ誌かな?)にかなり近い感覚かもしれません。若者が夢中になるのも当然でしょう。
 そんなわけで周知のとおり、出版業界はコミックや教育関連を除いて青息吐息という現状です。

 まぁうちは熱烈な読者様と関係各位様のおかげで、ま〜だまだイケます。ただし、わざわざ本を買っていただくには、より専門性の高いプロフェッショナルな取材記事および編集作業が不可欠になる時代。逆に言えば「こうるせぇジジイ」の活躍の場が、ここにあるのです。
 なので決めました。そんな本を作るため、最後まで突っ走る! と

 おもえば27年前のこの季節、本誌は復刊しました。そこにはつくづくバカバカしい編集後記を書いた27歳の若僧も。そいつがもう還暦まであと6年のジジイになったわけですけれども、活字の妙味にインクと紙の匂いが好きなご同輩は、どうかしぶとくお付き合いください。