◎内山高典

 秋〜冬のカワハギは釣っても食べても最高。キモしょう油でいただく刺身は絶品です。

 キモは少量の酒にしばし浸し、サッと湯通しにし、ザルで裏ごしすると薄皮などが取れて滑らかになります。このひと手間が、おいしいキモしょう油をいただくコツです。

 さて、近年は魚を神経絞めにして持ち帰る釣り人が増えていますが、皆さんはカワハギを神経絞めしたことはありますか?

 今回は竹岡沖で釣れたカワハギを、1枚は血抜きをしてから神経絞め、もう1枚は血抜きだけして持ち帰り、食べ比べてみました。




この細い棒はカワハギなど小魚用の神経絞めアイテム、線径1.0ミリの形状記憶合金で自作したものです。



まずはエラを切り、バケツに張った海水で血抜きをします。



神経絞めをする前の魚体です。



目の前側にある魚体に空いた小さな穴に絞め具を差し込みます。

 

 


中骨に沿わせるイメージで絞め具を押し込むと、スーッと入る場所があります。深く押し込み、魚がビクビク痙攣し、魚体が白っぽくなれば神経絞め成功です。

血抜きと神経絞め、血抜きのみのカワハギをそれぞれジップ付きのビニールに入れ、クーラーボックスに敷いた砕いた氷の上に乗せて持ち帰りました。

 


左が血抜き後に神経絞めした個体、右が血抜きだけの個体です。見た目はほとんど変わりません。

 


神経絞めをしたカワハギを薄造りにすると見た目に透明感があります。また、包丁で切るとき身に弾力を感じました。

 


一方、血抜きだけをしたカワハギは、神経絞めをした刺身と比べると、若干身が白く感じます。

 


食べ比べてみると、神経絞めにした刺身は、かむとモチッとした歯応えがあり、ほのかに甘みを感じました。

一方、血抜きだけをした刺身は、とくに歯応えは感じませんでしたが、ほのかな甘みはありました。


 いずれも鮮度抜群のカワハギだけに、食味は甲乙つけがたいというのが正直なところですが、モチッとした食感を楽しみたい人は、ぜひ神経絞めにトライしてください。
 
 また、おいしい刺身を食べるには、持ち帰るとき、魚体を冷やしすぎないことも大切です。

 水氷に浸してガッチリ冷やした魚と食べ比べると、別次元のおいしい刺身が味わえますよ。