◎尾川 泰将

 

 Wednesday尾川です。

 寒くなったり暑くなったり、もはや異常気象が日常の時代。
 海のなかもそう。カワハギ釣りの最中、南方に多いメイチダイやら小型のハマフエフキ(沖縄の人気魚タマン)がけっこうな頻度で釣れています。
 
 厄介なことに、猛毒のテトロドトキシンを持つヒョウモンダコも姿を現しました。つい先日も三浦半島長井の船長から、
「この前さ、カワハギ釣りでヒョウモンダコが掛かったよ。いやだねぇ」と聞きました。ほかにも佐島天神島の磯で確認されていて、横須賀市が注意を呼びかけています。

 

↑ヒョウモンダコ。横須賀市HPより転載

 

 最大でも体長10センチ程度のヒョウモンダコは、興奮するとブルーを交えた斑紋が浮きあがるのが特徴。釣り上げられた直後は興奮度MAXなので、この紋様ですぐ分かります。

 テトロドトキシン(TTX)を唾液腺に有し、噛みついた相手に注入する……とされていますが、さらに昨年、長崎大学の研究チームが新たな研究結果を発表。

「日本国内で採集された13個体のヒョウモンダコを分析したところ、過去に報告されているオーストラリア産個体と同様に、全ての個体からTTXが検出されました。TTXは唾液腺だけでなく筋肉や表皮からも検出されており、ヒョウモンダコがTTXをカニや貝等の餌生物を採餌する際に利用しているだけでなく、捕食者からの防衛や反撃にも利用していることが示唆されました。」

 これは同大学のプレスリリースの一部抜粋。筋肉や表皮、つまり「身にもTTXがある」ということです。TTXの濃度は唾液腺が最高レベルでしょうから、まずは「咬まれないこと」が一番ですが、加えて触ったり、そして当然、身の部分だけを食べる行為もリスクがある……ということになりました。

 ヒョウモンダコは他のイカ&タコ類と同様、一年で一生を終えると考えられています。

 初夏に生まれ、盛夏までの期間は小さくて目立たない稚ダコ。その後、晩秋〜春に大きく育った個体が釣りバリに掛かることがある……そんなサイクルを繰り返しているようですから、これから来春までは十分注意しましょう。

 

 ヒョウモンダコの主な棲息地は「浅い根周り」とのこと。沖釣りではカワハギやアオリイカ、カサゴ釣りなどで交じってくる可能性がありますし、陸っぱり釣り全般も要注意。

 もしもヒョウモンダコが釣れたら触れずにリリースし、各自治体の農林水産部へ報告してください。見つけた場所を知らせ、それを自治体やメディアが広く報じることで被害を防げます。