◎沖藤武彦

 先々週の土曜日に会社の前のパーキングメーターにクルマを停めてちょこっと仕事して帰ろうとしたら10分超過で駐車違反のシールを貼られてしまった沖藤です。

 法律ですからね、違反した自分が悪いっちゃあ悪いんですけど、なんでしょうかね、あの「やられた感」。

 まあ、罰金1万円振り込んで、その後は会社帰りに「ちょっと飲みに寄ってくか」と思った際に3回、ガマンして帰宅、ランニングしたのでおサイフ的にはチャラ。

 え、反省していないって? いやいや、罰金&罰走ですからね、心身ともにじゅう〜ぶんに反省してますよ。……ちっ。

 と、言ってる間に今日は『隔週刊つり情報1月1日号』の発売日。めでたい!

 

▲『隔週刊つり情報1月1日号』の特集は年の瀬に狙いたい22魚種のコツとタックル図、釣り人のための舟盛り教室。どちらも年末年始に役立つ保存版!

 

酒を飲んだけど寝たから大丈夫、じゃないんだって。

 

 てなわけで、年末年始は皆さんお酒を飲む機会が増えることでしょう。

 翌日に釣りに行くこともあると思うのですが、釣行前日に飲んだ後、どれぐらい時間を空けてクルマを運転していますか?

 これは人によって様ざまかもしれませんが、ワタクシは釣行前日はビール1杯、ハイボール1杯をリミットに、起床時間から6時間を切る場合は一切、飲まないようにしています。

 よく「一眠りしたから大丈夫」と言われますが(自分もそう思ってたクチなんですけど)、実際には就寝中は血流が緩やかになるぶんアルコールの分解は遅いんですって。

 これは以前、読売新聞の記事で読んだのですが、アルコールの90%が肝臓で分解されるから、「サウナで汗をかいてアルコールが抜ける」こともなくて、どれだけ汗をかこうがあまり変わらないそうです。

 つまり、一度アルコールを口にしたら、肝臓でちゃんと分解されるまで待たなくちゃいけないワケです。毛穴からアルコールがブァーって抜けることはないんですね。

 で、その体内から「抜ける=分解=消失」する速度ってのはアルコールの量で決まるのですが、ここでモンダイになる「量」は、純粋なアルコール量。

 

 計算式は……

◎摂取量(ml)×アルコール度数/100×0.8(0.8は比重)
※数字を入れるだけで計算してくれるウェブサイトもあります。

 

 つまり、一般的なビールであれば、500ml(中生ぐらい)でアルコール量は20グラム、ハイボールは8%として300ml(居酒屋などでの一杯)で19.2グラム。

 

▲アルコール量はハイボール1杯で約20g。2杯飲んだら「抜ける」までにどれぐらいかかる?

 

 てことは、ビール中生1杯、ハイボール1杯を目安にしているワタクシの場合、計39.2g、まあ、だいたい40gのアルコールを摂取しているわけですね、釣行前日に。

 で、ですよ。肝心なのは、そのアルコールをどれぐらいの時間で分解できるのかってこと。

 分解、つまりアルコールの消失速度は個人差が非常に大きいそうですが、平均値は男性でおよそ1時間に9g、女性で6.5g(厚生労働省e-ヘルスネット)。

 また、サントリーホームページには体重60〜70kgの人で1時間におよそ5〜7g程度とあります。

 この2つの数値を目安に計算した、釣行前日にアルコールを40g近く摂取した場合の「抜けるまでの時間」は……

 

◎(アルコール摂取量g)40÷(時間あたりの消失量g)5〜9=8〜4.44

 

 つまり、最短5時間弱、最長8時間。

 ワタクシは決して酒に強いほうではないので、消失速度5g/時間をあてはめます。……てことは、翌日2時に起きるなら、18時までには飲み終わってなくちゃいけないんですね。

 もう、お分かりの方もいるでしょうが、ワタクシが早退して、明るいうちから酒を飲んでるのも、翌日の安全のためなんです(信じて……)。

 まあ、アルコールの分解には個人差が大きいのは定説であり、その差3倍とか。数値や計算式を過信せず、用心するに越したことはありません。

 肝心なのは、違反をしないのはもちろん、交通事故を起こさないこと、他者を巻き込まないことですから。

▲缶チューハイの主力は今や6〜9%のストロング系。効きます

 

カタいハナシになりますが、

基本的に釣り船での飲酒は控えましょう

 船の上で絶対に酒を飲むなとは言えませんが、沖釣りでは基本的にアルコールは飲むべきではない。これがワタクシの考えです(もちろん屋形船は別です)。

 え? 前記の計算なら、ビールを500ml飲んだとき、抜けるまで2〜4時間なら、朝イチに飲むぶんにはいいんじゃない? と思うかもしれないけれど、それは「アルコールが体内から消失するまでの時間」。


 つまり「酔っ払っている」状態は考慮されていないわけです。

 

 船の上で危険なのは、酒に酔って判断が鈍ったり、手元が狂って「ケガをしたり、ケガをさせること」です。

 

 飲酒後血中濃度のピークは30分〜2時間後に現れる(前出の厚労省HP)ので、

「運転するまで時間があるから大丈夫」なのではなく、

「飲んだら飲むほどケガのリスクが高まる」ことを自覚しなくてはいけないわけです。

 

 ちなみに、これまで取材していて船でケガをした人(タコテンヤを全力で投げて自分の手に刺した。釣り上げたスルメイカにエンペラ側からかぶりついて数十本の精莢が唇と舌に潜り込んで口中血だらけになった。サバがごっそり掛かったサビキ仕掛けを持つ手を滑らせ数本のフラッシャー付きハリが手に深々と刺さったなどなど)を何回も見かけていますが、酒を飲んでいる人の確率は結構高いと思います。

 笑って新年を迎えるためにも、お酒は自分でコントールしましょうね。

 それでは皆さん、よい週末を!

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