◎尾川 泰将

 

 メリークリスマス。浄土宗のWednesday尾川です。

 ニューオータニやなき赤プリが満室だったバブル時代のド派手な盛り上がりに比べると、街の賑わいも非常に地味。今はみんな、ご自宅で質素にケンタッキーなんぞをかじるんですな。

 

 

 さて、まもなく発売の本誌1/15号。私はサンタ気分で紅白のアマダイ、つまりアカアマダイとシロアマダイを「自分にプレゼント」するための記事を書いてるんですが、涙を飲んで割愛したネタをここで紹介しておきましょう。

●その1・日本初。山口県で今夏シロアマダイ種苗の大量生産成功

 個人的に衝撃を受けた2019年のビッグニュース。

 今夏、山口県水産研究センターと山口県栽培漁業公社による共同研究により、シロアマダイ種苗の大量生産が成功しました。これは日本初(すなわちたぶん世界初!)の快挙で、研究員の苦労と喜びが伝わってまいります。
 まだ第一歩を踏み出したところで、育成、放流、さらには人工受精などの研究課題が山積。しかしそれが順調に進めば、10数年後には「山口県産シロアマダイ」がブランド化されて食の世界に流通するはずです。
 ノウハウが共有されれば、将来は日本各地で種苗生産&放流が実施され、今よりはるかによく釣れる時代がくるかもしれません。
 ちなみにアカアマダイは京都府宮津にある日本海区水産研究所宮津庁舎(旧・宮津栽培漁業センター)が昭和後期から種苗生産の研究を進め、その10数年後に人工受精による種苗の大量生産に成功。現在ではアカアマダイの主要産地である若狭湾〜山口県の山陰沿岸を中心に種苗放流が実施され、実績をあげています。

●その2・生態不明のシロアマダイも「巣穴」を掘る

 研究者のだれに聞いても「詳しくは分からない」「生態についての知見がない」とされてきたシロアマダイ。
 少し前までは、アカアマダイのように「巣穴を掘るのか?」すら明確に分かっていませんでした。
 しかし、今回お話をうかがったある研究者が、
「シロも間違いなく掘りますね。私も初めて見ました。いや〜、すごい、見てくださいYouTube!」
 その驚きの映像は、以下でどうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=PfPO5BcUt4A

 

 詳しい場所は明かされていませんが、熊本県のスキューバ・ダイバーが天草周辺で撮影したようです。これもまた「日本初」の水中映像かもしれません。

●その3・シロアマダイとアカアマダイの食味

 私を含む古〜い人間は、シロアマダイが食味も最高峰……というイメージが強いんですけど、3尾以上シロアマダイを釣り上げている釣友5名に「シロとアカのどちらが好きか?」と聞いたところ、うち4名が「アカアマダイ」と即答。アカのほうが水っぽいものの、うまみに品があるそうです。

 ちなみに両種とも、チェジュ島を中心にした韓国南部で「高級干物」の食材として定番。シロもアカも大量に水揚げされていて、現地の市場には両種が普通に並んでいます。大きなものは、アカアマダイのほうが高価……でしたね。

 そうそう、昔、チェジュ島と釜山で食べた「アマダイ焼き」は文句なしのおいしさです。その作り方も最新号で紹介してるので、ご一読ください。

 今話題の日韓会談も「チェジュ島のアマダイ焼き」と「グジの若狭焼き」をつまみながら話してほしいものですね。いずれもブラザー&シスターみたいな食べ物ですから。

 作家の司馬遼太郎さんが日本神話のルーツを朝鮮半島に求めたように、私はアマダイの干物料理って、両国の古来からの文化交流にルーツがあるのでは……とにらんでおります。

 え? お前はどっちがうまいと思ってるのか?
 うはは、どっちも異なる味わいがあり、最高です!

 大人の回答でヨロシク。