◎内山高典
これはデカイぞ! トルクのある引き込みを竿のためでいなし、慎重に巻き上げる。ややあって海面に浮かんだのは本命マダイ……と思いきや、カラフルな魚体がユラリ。
コマセダイや一つテンヤなどのゲストで時折釣れるオレンジ色の憎いやつ、といえば「イラ」。その姿を見てガックリ肩を落とし、早々に海にお帰り願う釣り人も多いはず。
かくいう私もその一人でしたが、
「フライにするとおいしいよ」と釣友にすすめられ、ならばと持ち帰って食べてみました。
標準和名「イラ」は、スズキ目ベラ科イラ属の魚で50センチほどに成長します。今回食べたイラは全長46センチ、重量1.4キロ。
ベラの仲間といえば身が水っぽい、小骨が多い、といった先入観がありましたが……さばいてみると大違い。三枚におろすと身が厚くモチモチと弾力があり、血合骨も少なめで可食部がたっぷりあります。
皮目はこんな感じです。
ウロコはビッグ、10円玉と同じくらいの大きさですが、ウロコ引きで簡単に落とせます。
皮を引き、血合骨と腹身を切り離してサクにした状態。きれいな白身です。
皮付きと、皮を引いた身を一口大に切り分け、それぞれフライと素揚げにして食べ比べてみました。
カリッと揚げたフライは、衣はサクサク、中はしっとりホクホク。くせがない上品な白身で家族に大好評でした。
一方、素揚げはギュッと身がしまり、鶏肉に近い食感。冷めてもおいしいのでお弁当のおかずにもよさそうです。
皮付きの身はくせがあるかも……と想像していましたが、皮なしの身と食べ比べてほとんど違いを感じませんでした。
これは血合骨をそぎ取った腹身の刺身です。透明感がある白身、モチモチした食感、淡い甘みのある上品な刺身です。
イラが釣れたら、ぜひ持ち帰って味わってください。