◎尾川 泰将

 沖釣りで引っ掛かってくる変な生物たちの第4回は、テヅルモヅルよりわけのわからない、奇怪なやつです。

 Wednesday尾川です。

 この画像は相模湾湘南片瀬港まなぶ丸の船長さんから、
「尾川さん、これ、なんか分かる? アマダイ釣りでたまに掛かってきて、気持ちわりぃんだよね。なんかさ、牙があんのよ!」と送られてきたもの。

 

 ななな、なんじゃこれ……???
 数年前のことでしたけど、もちろん初めて見ましたよ。牙らしきものがある頭部の直径は4センチ前後のようです。
 むろん、さっぱり分からないので博物館の先生に見てもらったら、その返答に驚愕!
「ミツクリウロコムシ」という、巨大な多毛類の仲間だったのです。
 多毛類……といえばアオイソメやゴカイも、その仲間。てぇことは、この牙って、イソメの口にある牙の巨大なやつってことかい!?
 ちょっとブルッてきましたが、船上に転がっている状態は「これといって動きなし」とのことでした。

 ミツクリウロコムシの仲間は日本で4種が確認されていて、泥底に潜って、この頭部を底から出しているとか。さらにハリに掛かって上がってくるのはほぼ頭部だけで、実際の体調は1~2メートルあるのでは? と推測されています。
 詳しい生態はほとんど分かっておらず、この牙を使って、どんなふうに獲物を捕らえるのかも不明。分かっているのは、この生物の系統は「頭部を失っても、また再生する」という点でした。
 尻尾や足が再生する生物は耳目にしますけど、ちぎれた頭が再び生えてくる生物って……不気味すぎてスゴすぎるわ。
 あっ、もしも胴体も付いた1メートル級のミツクリウロコムシが釣れたら大金星! ぜひとも保存して、わたくしにご連絡ください。