◎沖藤武彦

 

東日本大震災から10年の今年、世論調査で「震災の記憶が風化しつつある」と感じている人が多いことに危機感を抱いた方も多いと思います。

 

津波の映像は今見てもつらいもので、トラウマになっている方も多いはず。できれば遠ざけておきたい記憶です。

 

ですが今、この瞬間にも、私たちは10年前と同じ災害に見舞われるかもしれない。

 

ですから、忌避しつつも、常に傍らにあるものとして認識しなくてはなりません。

 

2011年3月11日以来、港に向かうとき、もし、今、大地震が起きたらどうするか考えるようになりました。

 

単刀直入にいえば

 

「津波が来たらどこに逃げるのか」

 

考えることが非常に多くなりました。

 

ですが、土地勘のある場所でも、いざ津波から避難するとしたらどこに行けばいいか分かりません。

 

「高い所へ逃げる」としても、どこへ向かえば高い場所に出られるのか分からない場合も多い。

 

それに、その後、身を寄せる場所、食料や医療などの援助を受けられる場所が分からない。

 

そこで「ハザードマップ」や「避難所」の情報を見るわけですが、東日本大震災以降、度重なる災害に対応すべく、各自治体は情報を見やすく、整理しています。

 

中でも情報量が圧倒的に多く、全国の、各種災害のハザードマップと避難所をまとめたポータルサイトがこちら。

 

【重ねるハザードマップ ハザードマップポータル】

 

◎サイトへはこちらから

①トップ画面は地図と災害種別。スマホ版では左上にある災害種別選択画面が大きく出ます。

 

「重ねるハザードマップ ハザードマップポータル」より転載

 

②私の地元、船橋の土砂災害、高潮、津波、道路防災情報を地図上に表示させたところ。ひと目で分かるのでとても見やすい。

「重ねるハザードマップ ハザードマップポータル」より転載

 

③船橋市街の津波想定と「指定緊急避難場所」をワンタッチで表示。通勤ルートや通学路がどのような状況になるか、想定できます

「重ねるハザードマップ ハザードマップポータル」より転載

 

④ハザードマップで驚いたのが「高潮」。わが船橋は津波よりも内陸へ被害が及びます。台風シーズンは気を付けなくては……

「重ねるハザードマップ ハザードマップポータル」より転載

 

これら災害時に想定される被害を可視化して、認識しておくのは非常に有効。見たことがない人は、ぜひ、この機会にご覧になってください。

 

避難所に特化した情報という点では、こちらも非常によく整理されています。

 

 

【YAHOO! 避難所マップ】

 

◎サイトへはこちらから

 

こちらは避難所に特化して、全国の避難所の位置や対応種別などを検索・表示できるサイト。

 

①地震、津波、洪水、土砂災害、内水氾濫、高潮、火災、火山噴火から災害の種類を選び、市区町村を打ち込み、検索すると地域の避難所が表示されます。

「YAHOO! 避難所マップ」より転載

 

ですが、市町村名を正確に打ち込むのは、出かけた先ではほぼ不可能。

 

そのため下の「都道府県」→市町村で選び、地図を表示させることになるはず。

 

②これは「つり情報社」周辺の地震時の避難場所。

「YAHOO! 避難所マップ」より転載

 

③おおまかな市町村を選び、地図を表示させたらどんどんスクロールして、目的地を表示させるのが手っ取り早いと思われます。

こちらは千葉県・大原漁港周辺の「津波避難所」

「YAHOO! 避難所マップ」より転載

 

④太平洋岸の津波避難場所だけでなく三浦半島、湘南もチェック。

こちらは神奈川県・剣崎、三崎方面の「津波避難所」

 

「YAHOO! 避難所マップ」より転載

 

YAHOO! 避難所マップは地図や情報がシンプルなのが特徴で、画面のデザインも分かりやすくできています。

と、ここでクルマを運転しているとき、災害が発生して避難所へ向かうのなら、ナビと連動すると便利だと思うはず。

 

で、ナビと言えば「Googlemap」

ワタクシもいつもお世話になっております。

 

Googlemapで津波避難所を検索して、ナビゲートしてくれたら便利、と思い、試した人もいるのでは?

で、実際に試してみたのがこちら。

Googlemapより転載

 

大原漁港周辺で「津波避難所」を検索した結果です。先ほどの「避難所マップ」と比較すると、情報が異なることが分かります。

 

というわけで、現時点では、災害時に避難所を探す際は安易に頼らないほうがいい、と言えそうです。

 

なお、Googleでは「災害情報マップ」のほか「防災マップ」を提供していますので、ぜひ一度、確認してみてください。人によっては、こちらのほうが有用かもしれません。

 

情報の画像保存
またはプリントのすすめ

 

さて、避難所にしてもハザードマップにしても、いざ、必要になってから調べようとしても、100パーセント活用できる確証はありません。

 

東日本大震災のときに痛感したことですが、大規模災害時は通信がパンク、電源はダウンする確率が高いため、スマホやパソコンで調べようにも……

 

つながらない

 

表示されない

 

そのうち電池が切れる

 

ことになります。ですから、避難所などの情報は、あらかじめ頭にたたき込んでおくか、スクリーンショットにして保存、または、プリントしておくことをおすすめします。

とくにお子さん、お年寄りのご家族のいる方は、情報を形にして共有しておくことが大切だと思います。

 

そして我われ釣り人は、もし、港にいるときに地震が起き、大津波警報が出たとき、一目散に避難できるよう、よく行く港や、出かける先の避難所のデータなどを確かめておくべきです。

 

たとえ毎日でなくとも、折に触れて確認しておく、または現地で避難所の標識に目を留めておくだけでも、いざというときの行動が必ず変わります。

 

東日本大震災を経験した世代として、教訓を生かすことは責任でもあります。

 

のべ2万2200人を超える犠牲者のご冥福を祈りつつ、未来を見て備えましょう。