内房金谷の誉れ
居着きの金アジ絶好調

内房金谷港出船……金谷〜竹岡沖

フィッシングライター/平林 潔
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※料金等データは2019年5月のものです。

本来アジは回遊性の魚だが、栄養豊富な瀬や海峡、湾口部、内湾などに定着する、いわゆる「居着き」や「瀬着き」と呼ばれるアジは、体色が明るくよく太り、脂が乗っていてとてもおいしい。本来アジは回遊性の魚だが、栄養豊富な瀬や海峡、湾口部、内湾などに定着する、いわゆる「居着き」や「瀬着き」と呼ばれるアジは、体色が明るくよく太り、脂が乗っていてとてもおいしい。

 内房金谷周辺は居着きのアジの名釣り場の一つで、5月中旬に取材した金谷港の忠七丸は、浅い海域の岩礁周りに群れる「金アジ」を狙って周年アジ専門で出船する船宿。 当日は金谷〜竹岡沖の水深20〜30メートル付近を中心に狙い、25〜30センチ級主体に40センチ以上の大型交じりで平均50尾ほどと絶好調。 小気味いいアジの引きを楽しんだアフターは、杯を傾けて極上の金アジを味わいたい。

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味よし、引きよしの極上魚味よし、引きよしの極上魚金谷名物〝金アジ〟快調!
◉内房金谷港発➡金谷〜竹岡沖

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「いやあ、驚いた! 感動した!」というのが、釣行後の正直な感想だ。「いやあ、驚いた! 感動した!」というのが、釣行後の正直な感想だ。 釣りの中身も、持ち帰った魚の味も素晴らしかった。 5月17日の早朝、アクアライン経由で内房金谷港の忠七丸へと車を走らせた。 金谷のブランドアジ「金アジ」と言えば、だれもが耳にしたことがあるだろう。その金アジを専門に狙い続けている船宿だ。

 豊後水道の関アジ、走水沖の大アジ、金谷の金アジなどは、いわゆる居着きのアジだ。金色に輝いて体高がありゼイゴが太いのが外見上の特徴だが、回遊性のアジとは味も全くと言っていいほど違う。 事前情報では、この船宿はそんな金アジを長年専門に狙い続けているのに、ホームページもあえて作らない、新聞社の指定船宿にもなっていない。そうなると頑固で気難しい船長をイメージしてしまうのだが、まるで正反対だった。


ピンポイントの魚礁攻め
 5時前に金谷港前の待合所に到着すると、とても気さくな船長が迎えてくれた。おかみさんの人のよさそうな笑顔も印象的だ。 初めての船宿に行くと「どんなんだろう?」と肩にやや力が入るのだが、スーッと余分な力が抜けてリラックスできた。なんとも人間味を感じる出会いだった。 さて、定刻の6時には9名が乗り込んで出船。僕は右ミヨシに釣り座をセットした。

 右トモには船宿の長男坊・井戸賢二さんも乗り込んだ。自動車整備士をしていてたまに船に乗る程度らしい。たくさんの常連さんが付いている船宿だから、跡継ぎになればいいのにと思う。 港を出た船はベタナギの海を富津方面に走り、6時15分には竹岡沖の魚礁周りにピタッと止まった。「海面から30メートルでビシを止めて、そこから2メートル上あたりを探ってください」とスタートの合図が出る。「広い魚礁だけど、下げ潮で釣れるのはここと、もう一カ所のピンポイントしかない」と船長は言う。

 底まで落としてからタナ取りすると、すぐに根掛かってしまう場所らしい。 なるほど、魚探を見ながら説明を聞いて納得。そのポイント上に船を止めるように操船してアジを狙うイメージだ。 それにしても、スタート早々よく釣れる。カメラを手にして船上を見て回ったが、35センチ前後の黄金色のアジがバタバタッと取り込まれた。 たまに小さめのアジが交じるが、それでも20〜25センチクラスのおいしそうな中アジ。メインで釣れるアジが大きいから、中アジが小さく見えてしまう。 一般に金アジというと中アジクラスが多いのだが、大アジなのに体高があって金色に輝いている個体を見るのはかなりショックだった。 そんなアジがバタバタ釣れているから「こりゃあ、僕も釣らなくちゃ」と釣り師の血が騒ぎだした。

 

40センチオーバー登場
 最初は周囲に何隻かいたアジ船は、いつの間にか姿を消して忠七丸だけになっていた。ポイントが狭いだけに、ちょっと外れると釣れないってことなのだろう。 一通り画撮りも終わった7時半ごろに竿を出す準備にかかった。ちょうどそのころには潮の加減かマサバが随分と交じるようになってきたので、船長は少しだけ船を移動させた。指示ダナは先ほどと同じだった。 仕掛けを下ろして30メートルで止め、1メートル上げてパッ、もう1メートル上げてパッとコマセを軽く振り、アタリを待つとククッ、キュンと竿先が入る。強烈な引きだ。 浮かせてタモで取り込んだのは35センチほどの黄金色のアジ。アジって青物なんだよな……と改めて認識させる引きだった。

 そんな大アジと中アジ、そしてサバが交じってポツポツと釣れ続いた。 潮がややたるんだ9時過ぎから10時ごろまでは、中アジが姿を消して大アジばかりが釣れ続いた。「なんだ! この引きは?」と、慎重に浮かせたのは後検寸41センチの大アジだった。 そんな調子だから、ほとほと疲れた。仕掛けの回収は電動で巻き上げたが、魚が掛かったときは手巻きで上げていたので腕がガタガタしてきたのだ。 滅多にない「釣れすぎで疲れた」というぜいたくな時間だった。 10時半過ぎには上げ潮が効き始めたので、船長は上げ潮時に有望なポイントへと移動した。 少し走って到着したポイントは水深21メートル。ここはビシを底まで落として、2メートルほど上げて待つ、いつものタナの取り方でいいとのこと。 水深21メートルとは、ビシアジとしてはかなり浅い。

 しばらくコマセをまいたらポツポツと食い始めて、11時前には中アジと大アジの入れ食いとなった。 なんたってスゴイ! 休む間もないんだから……腕どころか、身体全体がギシギシ言い始めた。 ここはサバは交じらず、皆さんアジがバリバリ釣れているようで、左胴の間ではクロダイも上がった。 クーラーも満タン近くになってきたので、ペースを落としてのんびり釣ることにした。若いときのように無理はしないほうがいい。 そうそう、事前に船長から、「大きなクーラーを持ってきたほうがいいですよ」とアドバイスを受けていた。 27リットルを持ってきたのだが、キャスター付きの35リットルにすべきだった。 12時に沖揚がりを迎え、皆さんクーラー満タン状態。平均して50尾くらいだろう。

 ほとんどのアジがデカイから、船から岸壁にクーラーを移すのも、車に積み込むのも重くて大変。腰を傷めそうだった。「メチャクチャ釣ってしまった」という興奮と心地よい疲労感が残った。 黄金色に輝くアジだから、お宝を掘り当てたら多分こんな気分なのだろう。 いやあ……透明感のある脂の乗った金アジの刺身は、そりゃあ絶品でしたよ。マサバもしめサバにしたらおいしかった。 当分はこんな感じで釣れ続くらしいので、今度は友人を誘ってお宝釣りに再訪しようと思っている。


内房金谷港

忠七丸

☎0439・69・2143(詳細は巻末の情報欄参照)

56 57 04

▶料金=アジ乗合一人8500円(コマセ、付けエサ、氷付き)、定員があるので要電話予約▶備考=6時出船、駐車場あり。仕掛け常備、貸しビシ無料

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