スリリングなヤリトリが魅力
東京湾のマゴチ好模様

東京湾奥鶴見出船…富津沖

フィッシングライター/丸山 利明
※無断コピー・転載禁止
※料金等データは2019年5月のものです。

05 IMG 8830

アタリからハリ掛かりさせるまでの駆け引きと、合わせが決まってからの強烈なファイトが魅力のマゴチ。東京湾では今シーズンも神奈川県〜内房の各地でマゴチ船がスタートしてファンを楽しませている。アタリからハリ掛かりさせるまでの駆け引きと、合わせが決まってからの強烈なファイトが魅力のマゴチ。東京湾では今シーズンも神奈川県〜内房の各地でマゴチ船がスタートしてファンを楽しませている。

 例年どおり、目下の主戦場は富津方面の海堡周りが中心で、水深4〜10メートル付近をメインに狙い、40〜50センチ級主体に60センチオーバーの特大サイズも交じってトップ5本ほど釣れている。 数年前から東京湾のマゴチは好模様が続いており、今期も相当魚影が濃いことは確か。これから夏へ向けてもマゴチとのスリリングなヤリトリを存分に楽しめることだろう。

船宿データベースはこちら。


 

スリル満点のファイト!スリル満点のファイト!
東京湾のマゴチ好期到来

◉東京湾奥鶴見発➡富津沖

01 IMG 8701

「あれ、根掛かり?」「あれ、根掛かり?」 前アタリはなかった。しかし下がったままの竿先が戻らない。重くなった竿を強引に持ち上げて仕掛けを引っ張ると、突然ガツンと衝撃が走って魚が暴れだした。 水深は10メートルと浅く、この魚は横に走った。右へ、左へ、立てた竿の角度を魚の向きに合わせ、竿のためでいなしながら渾身の力でリールを巻くと、ガチガチに締め込んだはずのドラグが滑る。ものすごい泳力だ。

 中オモリを竿先の近くまで巻き上げると、うす茶色の魚体が海面下に見えた。「コチだ! でけえ!!」 隣でタモを構えた仲乗りの林大地さんが叫び、無事タモに収まったのは後検寸60・5センチ、1.5キロ。当日最大となるモンスターマゴチだ。

朝イチに連続ヒット
 取材日は5月11日。20名の釣り人を乗せた第二新明丸は7時半に河岸払い。ゆっくりと鶴見川を下り、大黒沖へ出ると、新明慶樹船長は一路富津沖へと船を走らせた。 第一海堡と富津岬が右前方に見える10メートルダチに到着してスタート。 この日は納竿まで、この海域から大きく移動することはなかった。マゴチからのシグナルが途絶えることがなかったからだ。 開始間もなく、バタバタとマゴチが釣れた。

 右胴の間の高田さんと左ミヨシ寄りの中村さんがほぼ同時にヒットし、どちらもアベレージサイズの40センチ級を釣り上げた。 続いて右胴の間で1キロ弱のヒラメが上がり、左大ドモの小林さんが50センチ級のマゴチをキャッチ。 その後もアタリが続いて40〜50センチ級がコンスタントに釣れ上がり、高田さんが早くも3本目を取り込む。 50センチオーバーのスズキを釣り上げた右ミヨシの藤岡さんを撮影していると、その隣で置き竿にしていた私の竿がたたかれた。慌てて巻き上げると45センチ級のマゴチが食い付いていた。

 いったいどれだけのマゴチが東京湾に湧いているのだろう。すさまじい釣れっぷりだ。 食いが一段落すると、船長はすかさず流し変えてくれる。水深は4〜10メートル前後。 流し変えると再びマゴチが釣れ始める展開。エサのサイマキに抱き付いたスミイカが顔を見せることもあった。 マゴチ釣り初挑戦の人に仲乗りの林さんが釣り方を指南している。その声に耳を傾け、私も実践してみた。


タナの取り直しが肝心
 投入後、竿先を海面に向け、リールのスプールをサミングしながらゆっくり仕掛けを下ろし、ソッと中オモリを着底させる。 糸フケを取り、道糸に付いている1メートルごとのマークを基準に、竿先を1メートル持ち上げてタナを取る。 新明丸の標準仕掛けは1.5メートルで、中オモリを底から1メートル上げて潮がほどよく流れていると、エサが底付近を漂うイメージだ。 潮が速ければ少しタナを下げ、流れていないときは少しタナを上げて調整する。 当日はほどよく潮が流れていたので、基本どおりがちょうどよかったようだ。

 また、マゴチはまめにタナを取り直すことが肝心とのこと。タナの取り直しでエサのサイマキが動くと誘いになり、そのタイミングでアタリが出ることが最も多く、1〜2分に1回くらいのペースで繰り返すといいようだ。 この釣り方を実践して釣れたのが冒頭のモンスターマゴチだ。 その後も林さん流の釣り方を続けると、コツ、コツコツとアタリがきた。ドキドキしながら引き込みを待ち、グイッと竿先が入った瞬間に大きく合わせると……スポン。「早いよ〜」と、どこからともなく声が飛んできそうなスッポ抜けをやらかした。「アタリがきても、その全部が釣れるわけじゃないからマゴチは楽しいんだよ」と常連の内海さんがかけてくれた言葉に救われる。

 次に掛けたマゴチは30センチ未満の小型だったので自主的にリリース。そして最後に40センチ級を追加して、5打数4安打でマゴチとのスリリングなヤリトリを存分に楽しめた。 15時過ぎに沖揚がり。当日は40〜60センチ前後のマゴチが船中30本以上取り込まれ、トップは5本の小林さん、次頭は4本が2名。数名オデコが出てしまったものの、アタリは多かったようだ。 船長に今後の展望を尋ねた。「ここ数年マゴチは好調が続いてるんですけど、今年もいいみたいですよ」 そう答えた船長は、こんなことも教えてくれた。

 春〜初夏は60センチオーバーの期待が高まる大型狙いの時期で、メインの釣り場は富津〜大貫沖。 夏になると羽田沖や横浜沖、富岡沖など東京湾奥〜神奈川県側で、大中小交じりで数釣りが楽しめる。このころからエサがサイマキからマハゼに替わり、いわゆるハゼゴチのシーズンになる。 そして秋は、再び富津〜大貫沖で型狙いがメインになるとのこと。 毎年そんなサイクルのロングランで楽しめる東京湾のマゴチ。今年も視界は良好だ。


 

東京湾奥鶴見

新明丸

☎090・3519・1111(詳細は巻末の情報欄参照)

05 IMG 8617

▶料金=マゴチ乗合一人9500円(サイマキ5匹付き、氷別)

▶備考=7時半出船。ほかフグ、夜アナゴ、夜メバル&カサゴへも出船中

船宿データベースはこちら。