青空が似合う夏イカの筆頭 
相模湾のスルメ上昇気配!

相模湾腰越港出船…江ノ島~茅ケ崎沖 撮影

フィッシングライター/丸山 利明
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※料金等データは2019年6月のものです。

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相模湾ではマルイカが好調だが、5月中旬ごろから夏イカの筆頭・スルメイカの模様がじわりと上昇。周年イカ釣りを看板に掲げる腰越港の飯岡丸では、江ノ島~茅ケ崎沖の水深100~120メートル付近を狙い、いい日はトップ50杯以上の釣果が上がっている。相模湾ではマルイカが好調だが、5月中旬ごろから夏イカの筆頭・スルメイカの模様がじわりと上昇。周年イカ釣りを看板に掲げる腰越港の飯岡丸では、江ノ島~茅ケ崎沖の水深100~120メートル付近を狙い、いい日はトップ50杯以上の釣果が上がっている。

 シーズン初期とあって、胴長20センチほどのムギイカ級から胴長30センチ前後のスルメ級まで様ざまなサイズが交じってくるから、仕掛けはムギもスルメも対応しやすいプラヅノ14センチのほか、11センチの仕掛けも用意しておきたい。

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 夏イカのシーズン到来!
スルメの多点掛けを満喫

◉相模湾腰越港発➡江ノ島〜茅ケ崎沖

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ギラギラの日差し、連日の真夏日。梅雨入り前から夏を感じずにはいられない。ギラギラの日差し、連日の真夏日。梅雨入り前から夏を感じずにはいられない。

 相模湾では夏イカの筆頭、スルメイカの模様がじわりと上昇。直結仕掛けの電動シャクリでガンガン乗せるあの重量感と、仕掛けをたぐって最後にオモリを取り込んだときの達成感は、一度味わってしまうと忘れることはできない。 暑い日差しに滴る汗。それはまさに真夏のマリンスポーツさながら実に爽快だ。

 そんな釣れっぷりが当たり前だった平成のスルメ最盛期の再来を期待して、5月25日に腰越港の飯岡丸へ釣行した。

二枚潮もなんのその
 6時前、13名の沖イカフリークを乗せた第二十七飯岡丸は、静かに腰越港を離れた。「最近釣れているのはエボシ沖(茅ケ崎沖)ですね」と出船前に話していた三浦德人船長は、数日前にトップ57杯の好釣果が上がった釣り場へと船を走らせる。 30分ほどでポイントに到着し、魚探を凝視していた船長が合図を出す。「はい、どうぞ。底まで110メートル。底から水深80メートルあたりまで反応が出てます」 12個のオモリが一斉に投げられると、投入器に収められたプラヅノが青空に向かって飛んでいく。 しばらく粘るも乗りは遠く、オマツリが頻発。「二枚潮がひどいですねえ」と船長は言う。

 しかし、その沈黙を破ったのは右ミヨシ2番手の荒木さん。慣れた手つきで直結仕掛けをたぐり込み、潮鉄砲を浴びながら胴長25センチ級のスルメを取り込む。 この一杯を機に船上のムードが一変。右ミヨシの田中さんが同級を釣り上げ、左ミヨシの謝さんがダブル。次投で謝さんが1杯追加し、右3番手の西亀さんと荒木さんも1杯ずつ釣り上げた。

 ここまでおよそ1時間半。その間の流し変えは5回で、クルーズタイムはほとんどない。群れを探し当てる船長の経験と技術がなせる技なのだろうと思った。「どうぞ、底まで100メートル。底から水深70メートルあたりまでバッチリ反応が出てますよ」 ほどなく電動リールのモーターがうなりを上げ、荒木さんが3杯掛けで取り込み、続いて西亀さんが4杯キャッチ。 ほかの方も単発ながらスルメイカが次つぎと取り込まれ、再投入した荒木さんはダブル、西亀さんはトリプルで釣り上げた。 この状況に我慢しきれず投入した私の仕掛けにも、いきなり2杯のスルメイカが乗ってきた。

 これはスゴイことになりそうだ! と期待をパンパンに膨らませたが、どんな釣りでもいい状況は長くは続かない。 その後は二枚潮が落ち着き釣りやすくなったのだが、イカの乗りも落ち着いてしまい、「二枚潮でも潮が流れてたほうがマシだったよ」とこぼす声がどこからともなく聞こえてきた。

名手の乗り渋り対策
 乗り渋ったときは、直結仕掛けよりもブランコ仕掛けがいいはず。そう考えて船長と仲乗りの本田さんに聞くと、「どっちでも一緒ですよ」と同じ答えが返ってきた。 ここで私は迷路に迷い込んでしまう。活性の下がったスルメはなかなか浮いてこないから、船長の指示ダナも底中心。直結仕掛けでシャクリ上げていく釣り方で、底にいるスルメをどう釣るのか? これが分からなくなってしまったのだ。

 プライベートなら、迷わず底をネチネチ探れるブランコ仕掛けに替えるところだが、私もライターのはしくれ。 本田さんに、スルメが乗り渋ったときに直結仕掛けで釣る方法をご教授願った。「乗り渋ったときは、ガシャガシャやったらダメですよ」 そう前置きをした本田さんは、私の竿を手に直結仕掛けを着底させ、糸フケを取り、着乗りしていないか聞き上げて確かめた後、1メートルほど巻き上げた。 そして、小さくフワッとシャクった後に竿先を見つめて乗りを確かめ、これを3回繰り返しつつ頭上まで誘い上げる。乗りがなければ竿先を下げ、リールを1回巻いて、この一連の動作を繰り返して10メートル上まで探ったら、再着底させる。 ブランコ仕掛けの誘い方とほぼ同じように思えたが、直結仕掛けでもこの誘い方で釣れると本田さんは言う。

 しかし、スルメの反応が出ている底付近を集中して誘うことにはならないはず。「その釣り方だと、底のほうにいるスルメは釣れなくないですか?」 疑問が残ったのでそう聞くと、操舵室の船長から、目からウロコが落ちるような答えが飛んできた。「〝底〟にいるスルメを釣るんじゃなくて、〝そこ〟にいるスルメを釣るんですよ」 つまり、浮いてるかもしれない、あるいは上へと逃げていくツノを追いかけてくるかもしれないスルメを釣るイメージ。 そして、もしそういう浮いたスルメがいなかったとしても、仕掛けを再着底させるたびに、いわゆる投入後の着乗りと同じように底にいるスルメだって乗ってくる。 だから乗り渋ったときは〝そこ〟にいるスルメを底から10メートルほど探る釣り方がいいときもある、と船長はアドバイスしてくれた。 この一言に、痛く感銘を受けた。その後は教えてもらった釣り方を実践。すると、10メートル誘い上げた後、再着底させたときの着乗りで、一番下のツノに抱き付いたスルメが上がってきた。

 その後も船中ポツポツで13時に沖揚がり。 釣果は胴長20〜30センチ級が1〜15杯で船中89杯。前半は入れ乗りタイムもあったが、後半は乗り渋るスルメとの戦いだった。「今日は潮具合が今一つでした」と船長は残念そうだったが、スルメイカはこれからがシーズン本番。 ムギイカ級のスルメがひと潮ごとにサイズアップして、重量感のある乗りを楽しませてくれるはずだ。


 相模湾腰越港

飯岡丸

☎0467・31・1560

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▶料金=スルメイカ乗合一人9500円(氷付き)
▶備考=6時出船、駐車場500円。ほかカサゴへも出船

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