多点掛けで乗り乗り!
内房勝山港出船のヤリイカ好況

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※料金等データは2019年12月のものです。

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冬本番を迎え各地でヤリイカの模様が上向いている。内房勝山港出船ではスルメイカ交じりでトップ30杯前後と安定して釣れており、いい日は50杯以上釣れることもある。 勝山港出船は狙えるポイントが豊富なことが強味で、目下は洲ノ崎沖でスルメを狙って土産を確保、その後に白浜沖でヤリイカというパターンが多い。

 身に厚みがある冬のヤリイカの刺身は絶品。ヤリイカの身とスルメのキモで仕込むぜいたくな塩辛が味わえるのもこの時期限定のお楽しみだ。

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白浜沖でヤリイカ多点掛け
内房勝山港出船は上昇気配

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強風が吹き荒れ、高波が立つ海上。ナギの予報は大きく外れ、12名が分かれてもぐり込んだ前方と後方のキャビンの窓には大量の波が繰り返し打ち付けられる。 取材日は12月15日。6時11分に内房勝山港を出船した第一新盛丸は、6時49分にスローダウンする。到着したのは通称「布良出し」。洲ノ崎沖の西側のポイントだ。

 

多点掛け連発

 強風がひょうひょうと音を立てて吹きつける船上。しかしキャビンを出た釣り人たちは意気揚々と釣り座に着き、オモリを握りしめて投入の合図を待つ。「はい、いいですよ。水深は170メートル。底のほうでやってみてください」 艫居正悟船長がアナウンスすると同時に、11個のオモリが放り投げられた。しかし、「ダメだ。潮が速すぎる。ちょっと上げてください」と約3分後に再びアナウンスする。 電動リールの巻き上げ音がやみ、全員のオモリが船上に取り込まれたころ、「3杯付いてた人と、4杯付いてた人がいたみたいですね」と船長が言う。 おそらく、オモリが着底しての即乗りだろう。やはり期待どおりヤリイカはいる。 しかし全員が、「触りや乗りが全然分からないよ」と口をそろえる。

 強い風が道糸をたるませることもあるが、高波によるピッチングやローリングを繰り返す船上でヤリイカの繊細なアタリをとらえるのがかなり難しいようだ。 このポイントのヤリイカの群れの濃さを確信したのは、開始から数回流し変えた約40分後。右ミヨシの加藤さんが2杯取り込むと、右舷3番と5番の釣り人にそれぞれ2杯ずつ。さらに右トモの小島さんも4点掛けを披露した。 しかし、船が強風で流されるためか、こんな状況も長くは続かない。30分ほど苦心の操船を繰り返した船長だが、ポイントを大きく移動する決断をした。 白浜沖にポイントを移して10時ごろになると、若干ではあるが風が弱まった。すると乗りをとらえやすくなったのか、船上がにわかに活気づく。 左舷のトモと4番でスルメイカが釣れ、3番の方のトリプルに続き、再投入した4番の方が今度は1本のツノにダブルで掛かるサクランボで2杯。

 さらに、左トモでヤリイカ2杯とスルメイカのトリプル。やや間を空けて、1杯、2杯、3杯、2杯と左舷だけでも連釣が続く。 撮影のために片舷をマークしていた私には確認できなかったが、右舷もほぼ同様のペースだった様子で、右ミヨシの加藤さんが1杯を釣ったあとに、4点掛けでヤリイカを釣り上げたとのことだった。 沖揚がりの時刻が近い。私も好物のヤリイカを釣りたいところだが、あえて船長にこの日のような状況のときはどうやって釣るのかを聞いてみた。そしてその答えを、実践しながら頭の中で並べてみることにした。

 

巻き落としが効果的

 まず数回の投入で、触りや乗りを感じられたのは、オモリが着底した直後だった。 何度か底ダチを取り直していると、オモリが着底した直後に、竿を持つ手に微かな重みを感じるときがある。 これがこの日のヤリイカの乗りだ。それであれば、これを繰り返せばいい。そう考えて釣った日も過去にある。 しかし船長は、底ダチの取り直しを繰り返すだけの釣り方はダメだという。オモリや仕掛けの位置がほとんど変わらないので同じ場所しか探れないうえ、船が流れるとオマツリしやすくなるからだ。 また、イカの活性が低い日にこれをやりすぎると、イカを散らしてしまうデメリットもあると船長は教えてくれた。 では、どうすればいいのか。船長は、通常のヤリイカ釣りのように、誘い上げていけばいいという。 誘い上げていけば、追いかけてくるヤリイカがいればそれを釣ることができる。追いかけてこないときも、上のタナまで誘い上げて落とし直せば、誘い始めた場所とは違うところに仕掛けが入り、新しい場所を探ることができる。

 もちろん、この日のように着底した直後に乗ってくるイカが大半であっても、新しい場所に着底するたびにチャンスがある。 ちなみに船長によると、好調な日とそうではない日の違いは誘い上げていく距離とのこと。好調なときは10メートルくらいまで誘い上げても乗ってくるが、そうでないときは5メートルくらい誘い上げたら巻き落としたほうが効率がいいとのことだ。 確かに、追いかけてこないイカをいつまでも誘い続けていても意味はないだろう。 そして船長は、やはり巻き落としは効くとも話してくれた。普通に釣っていて乗ってくるような日は、とくにテクニックは必要ない。 しかし、仕掛けが着底した直後や、誘い上げても乗らないときは、底から50メートル、または水深の半分くらいまで一気に高速で巻き上げて落とし直すと新しい場所に仕掛けが落ちて、別のイカの群れにアピールすることができる。確かにこの日も、巻き落としが効果的だった。「今日はよくはなかったですね。海が悪かったことや潮が速かったこともありますけど、まだイカが散らばっちゃってる感じですね。これがそのうち固まってきますから、そうなれば数釣りができるようになりますよ。

 勝山あたりは北からも南からもイカが集まってきますから、新しい群れが入ってきますしね。過去最高ですか? 今日右トモでやってた小島さんの207杯ですかね。たしか10年くらい前の1月の後半だったと思います。1月は毎年よく釣れるので楽しみにしてください」 勝山港に向けて船を走らせる船長が、そう話してくれた。 ヤリイカの釣果が2束超え。この情報だけでも、この日の取材は大収穫だ。 当日の釣果は胴長22〜38センチのヤリイカに、胴長30センチ級のスルメが1割ほど交じって3〜22杯。 海況の影響をモロに受けてしまったが、本誌が発売されるころは期待大。内房出船のヤリイカの釣果に注目していきたい。


内房勝山港 新盛丸

☎090・6086・3239

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▶料金=ヤリイカ乗合一人1万円(氷付き)
▶備考=6時出船、駐車場あり。ほかマダイ、ワラサ、アオリイカへも出船

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