真冬は数も型も期待度◎
南房のシマアジ絶好調!

※無断コピー・転載禁止
※料金等データは2020年1月のものです。

釣り人憧れの高級魚「シマアジ」を専門に狙える数少ない釣り場の一つが南房白間津。取材した白間津港の海正丸は周年シマアジ一筋の船宿で、今冬は1キロ前後をメインに3〜4キロ級を交えていい日はトップで5尾以上釣れている。 釣り場は港至近の水深15〜25メートル。今後水温が下がるとシマアジの引きが弱まり大型を取り込みやすくなるとのことだから、船宿記録14・5キロ超えのオオカミを狙ってチャレンジしていただきたい。

船宿データベースはこちら。


南房白間津沖のシマアジ
オオカミ獲得の好期到来

突然ですがここで問題です。高級寿司ネタとして知られる食味のよさと、大型はオオカミと呼ばれるほど強烈な引き込みを見せる魚の名前は? 正解はシマアジ。そんなシマアジ専門で周年出船している船宿が南房白間津港の海正丸。ここのところ連日3〜5キロ級が上がり絶好調とのことで12月22日、期待を胸に釣行した。 事前に酒井正和船長に仕掛けのアドバイスを伺ったところ、「仕掛けはハリス6号が基本だけど、いつ大型が食ってくるか分からないから8号以上も用意したほうがいいですよ」とのことで私のテンションはマックス。 また同船は電話で予約をした際に釣り座を決められるため、集合時間に到着すればいいのもうれしい。

ベテランは1本バリ
 当日は右舷に5名、左舷に4名が並び、私は左ミヨシから2番に入った。 お客さんに話を伺うと、「1年ほど前に3キロ級を2尾釣ってから病みつきになりましたよ」と左ミヨシの佐藤さん。 右ミヨシ2番の湯本さんは、「2週間前に6.4キロを釣ったので、今日は仲間も巻き込んで3人で来ました」と皆さんすっかりシマアジに魅せられてしまっているようだ。 6時20分に出船してわずか10分ほどで水深18メートルのポイントに到着、「海面から5〜10メートルの範囲でやってください」とのアナウンスで開始となった。

 白間津沖は根が点在し、海底はカジメなどの海藻が茂っており、リールのドラグが緩すぎると根に潜られてハリスを切られるので注意が必要だが、かといってドラグを締め過ぎてもハリス切れのリスクがともなう難儀な釣り場だ。 コマセも付けエサもオキアミを使い、コマセカゴの調整は上窓を全開、下窓を1〜1.5センチほど開ける。 釣り方は、指示ダナの範囲をシャクリ上げて誘う。シマアジはコマセに突っ込んでくるので、どんどんコマセをまいて、一度タナを探ったらコマセを詰め直して再投入する。 シャクリの強さや止めの時間は、その日によってヒットパターンが変わるので、色いろと試して判断してほしいとは船長の言だ。 開始早々、パタパタとシマアジが釣れ上がる。いずれも25〜30センチと小型主体ながら食いは活発だ。 右トモの小谷さんは10年前から海正丸に通い詰めているだけに、手慣れた手つきでポンポンとヒットさせていた。

 小谷さんはスピニングタックルと1本バリ仕掛けというスタイル。1本バリは誘ったときの仕掛けの動きがイメージしやすく、大物が食って根に走られても、枝バリが海藻などに絡むリスクがないため、一般的な3本バリ仕掛けよりも大物を取り込める確率が高いとのこと。 また、水深が浅い場合、スピニングタックルなら軽く投げて探れるので、船の影を警戒しているスレた魚もヒットしてくるとのこと。 海面をのぞき込むと、コマセカゴを追いかけてキラキラ光る小型のシマアジの姿が確認できた。「この小型に付けエサを取られるんですよ。大きいのはその下にいるので、小型が食わなくなったらチャンスですね」 この分析力も小谷さんの経験がなせる業だろう。「ほらっ、見てください」 小谷さんの簡易魚探・探見丸の画面を見ると、25〜30センチ前後の魚体長が示され、その下方に65センチが映し出されていた。

 しばらくすると小型のシマアジの気配がなくなり、いよいよかと思ったら40センチ級のメジナが各所で釣れ始める。 すると、右トモ2番の竹内さんが大きく竿をしならせてバトルを開始。ようやく大型シマアジのお出ましか? とかたずをのんで見ていると、ボコッと海面を割ったのは高級魚のモロコ(クエ)。後検量2.1キロ、これには船長も驚いていた。

すわオオカミ!?
 その後もメジナばかりがヒットしてくるので、8時半に小移動して再開となった。 ここは根がきついポイントとのことで、指示ダナは12〜15メートル。しかし、高根の上を船が通るときはさらに浅くなることがあるため、そのつど船長がアナウンスする指示ダナを聞き逃さないよう注意しなければいけない。 30センチ級のイサキがあちらこちらで釣れ始め、右トモの小谷さんに強烈なアタリが到来。

 ギュンギュン力強く抵抗する魚をいなしながら徐々に浮かしてくる小谷さんのテクニックは、横で見ていてほれぼれするほど。無事タモに収まったのは2.5キロのカンパチであった。 その後は一服状態が続いて、再び魚の活性が上がってきたのは10時を回ったころ。 小型のシマアジやメジナが釣れ始めると、今度は左トモの大久保さんに大物が食ってきた。 竿が大きくしなり、何度も海面に突き刺さるのを必死に耐えている。少しでも巻き上げたいところだが、そう簡単に相手は主導権を譲ってくれない。しばらく耐えていたが、ブチッと痛恨のハリス切れ。ガッカリする大久保さんに、「あれは間違いなくシマアジだったね。次はもっと太い仕掛けに替えてがんばって!」と船長がエールを送る。 今度は右トモの小谷さんが再びバトルを開始。

 今度こそシマアジでお願いします! とカメラを構えていたのだが、上がってきたのはまたもやカンパチ、2.2キロであった。 やがて11時に沖揚がり。 今回はオオカミ級のシマアジには出会えなかった。しかし、船長によれば、今後海水温が下がるとシマアジの引きが弱まり大型を取り込みやすくなるとのことだから、夢とロマンのオオカミを求めて出かけてみてはいかがだろう。


南房白間津港 海正丸

☎0470・43・1382

▶料金=シマアジ乗合1万1000円(オキアミコマセ3キロ、氷付き)
▶備考=5時半集合、無料駐車場あり。各種仕掛け販売

 

船宿データベースはこちら。