東京湾のエビメバル
良型交じりで順調なスタート!

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※料金等データは2020年2月のものです。

 

2月1日、モエビエサで狙うメバル釣り、通称エビメバルが東京湾で開幕した。当日は晴天とナギに恵まれ、乗船した羽田・かみやでは川崎〜本牧沖の護岸や障害物際の水深20〜30メートル前後を狙い、18〜28センチをカサゴ交じりで5〜27尾という結果。割合は6対4でカサゴが多かった。

 ここ数年はカサゴの魚影が濃くメバル・カサゴ乗合として出船する船宿が増えているものの、生きたモエビエサを使い、標準オモリ20号の胴つき3本バリ仕掛けを用いる道具立てや釣り方は変わらない。水温が上がり、春の濁り潮が釣り場に差し込むと、メバル、カサゴともにいっそう食いが活発になり、キューンと竿を曲げる心地よい引きを楽しませてくれるだろう。

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東京湾のエビメバル開幕
カサゴ交じりで好発進!

滅茶苦茶冷え込んだかと思えば、突然にポカポカ陽気になったりして体調もスッキリしない。 毎年こんな調子で春が近づいてくるのだが、春の訪れといえば、それはもちろん「春告魚」とも呼ばれるメバルってことになる。 2月1日は、東京湾奥のメバル釣りの解禁日だ。東京湾遊漁船業協同組合では12月から1月の間、産卵期を理由に自主禁漁している。 解禁日と聞くと、やはり心が躍る。それに……毎年解禁後しばらくは、大型が期待できる。 メバル釣りは江戸前の伝統的な釣りの一つだ。目をつり上げてガツガツ狙う釣りではない。向こう合わせでのんびりと釣趣を楽しむ釣りということもあって、3本継ぎの江戸和竿を用意した。


バース周りで良型連発
 当日の朝、車を走らせたのは羽田の老舗船宿「かみや」だ。モエビエサで狙うメバル釣り、通称エビメバルにこだわりを持つ船宿だ。もともと羽田周辺は漁師町だったが、同船も羽田漁師の流れを汲む。 解禁日とあって、6時過ぎに到着したら、すでに何人もの人が乗船していた。僕は空いていた右胴の間に釣り座をセットした。 すでに準備万端の皆さんに写真撮影の了解を得ながらあいさつしたが、左胴の間の手慣れた様子の女性は釣具メーカー・ハヤブサの女性釣りプロジェクト「隼華」のメンバー、鈴木利枝さんだった。 隼華は全国各地のメンバーが女性の釣りを広げる活動をしていて、男性ファンも多いようだ。なるほどウエアもオシャレだし、釣り師としての雰囲気もなかなかのものだ。

 今は乗合船に1人で乗る女性も普通に見る時代になってきたが、いいことだよね。 さて、オケに入れたモエビを配っていた都築船長に話を聞くと、初日だから転々とポイントを探るしかないが、すでに作戦は決めているそうだ。解禁日に出船する各船宿の船長がそれぞれに作戦を立てていて、それが当たるか外れるかも興味深い。 定刻の7時半少し前に僕を含めて10名が乗船した船は、多摩川を下って空港横から東京湾に出た。やや風は強かったが、空は晴れてまずまずだ。 船長が最初に選んだポイントは扇島沖のバース付近だった。船尾のスパンカーを倒してから、バース周りを攻める。 ポイントによっては橋の下で釣りをしているような感じで、長い竿を立てると頭上のコンクリートに当たってしまう。まあ、ほかではなかなか味わえない雰囲気の釣りで、それもまたなかなか面白い。 8時前にスタートのアナウンスが出たが、初っぱなから船中あちこちでキューンと竿が大きく絞り込まれた。カサゴも交じったが、ほとんどが良型のメバルだ。 20センチ超えが中心で、時には25センチとか28センチ級も交じったから、それは迫力満点だ。 左トモの青年は大型メバルを連釣して、「しまった! 小さなクーラーを持ってきてしまった」と慌てていた。

 隼華レディの鈴木さんも、大型メバルをゲットしてご満悦だ。お見事! 右ミヨシ2番の方はメバル初挑戦。ヒットした途端に竿が極限まで曲がって、良型メバルをキャッチ。「こんなにスゴイと思わなかった」とメバルの引きに驚いていた。 朝一番の荒食いで皆さんある程度の釣果を得て写真も撮れたので、8時半過ぎに僕も竿を出してみた。 しばらくしたらククッと穂先が揺れ、続けてキューンと竿が絞られた。きれいな弧を描く和竿の曲がりを楽しみながら、ゆっくりと浮かせて取り込んだのは23センチほどのアジだった。それにしても、よく引いた。 続けて竿を絞ったのは20センチほどのメバル。突っ込みがすごくシャープでスリリングだった。

カサゴの魚影も濃厚
 その後もカサゴやメバルがポツポツ釣れたが、9時半近くになるとアタリが出なくなった。船長は、「このポイントはある程度の時間で食いが止まる。一度攻めたら2日くらい寝かさないとダメなこともある」と話す。 メバルは神経質な魚だから、落ち着くまで「いても食わない」状態になるのだろう。 そんなわけで横浜沖などいくつかのポイントを探ったがアタリはない。結果として、僚船が集まっていた南本牧埋め立て地周辺をあちこち探る流れとなった。 アタリは出るようになったが、小型のカサゴがすごく多くてリリースする。船長も、「魚が小さいと感じたら、弱らせないようにリールをゆっくりと巻いて、元気な状態でリリースしてくださいね」とアナウンスする。

 まあ、これだけたくさんのチビカサゴが順調に育ったら素晴らしい。 ポイントによっては、良型のカサゴやメバルも上がった。メバルの引きは、カサゴに比べると素晴らしく、オオッ、きたーと声が出る。もっとも、良型カサゴも食べたら絶品の高級魚だから、釣れればうれしい。 こういった釣りだから、皆さんがのんびりと食事をしたり休憩したりして釣っていた。メバル・カサゴ乗合は、そんな雰囲気がいい。 のんびりできないのは船長だけだ。船長は細かく根を拾って船を移動させ続けた。 結局、15時前に沖揚がり。カサゴ交じりでトップ27尾、スソは5尾。見た感じでは20尾前後が平均的な釣果だろう。内容的にはカサゴが6〜7割くらいだった。

 当日の水深は20〜30メートル程度だった。最初に扇島のバースを狙った船長の作戦勝ち! 最初から本牧に走っていたら、なかなか厳しい状況だったかもしれない。 暖かくなって春汐が入り、海が濁ってくるころからメバルの食いが立つのが例年の傾向だ。メバル主体に狙いたい人は、もう少しの我慢だね。 メバルもカサゴも食べたら絶品。煮つけと素揚げでおいしくいただいた。 海が穏やかな日が増えてくる早春の東京湾で、向こう合わせの釣りならではの風情を楽しんでいただきたい。


東京湾奥羽田 かみや

☎03・3742・6904

▶料金=メバル・カサゴ乗合一人9500円(エサ付き)。女性は2割引、中学生小学生は半額
▶備考=7時半出船。ほかタチウオ、オニカサゴなどへ

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