剣崎沖にマダイ船集結
大型の期待高まる乗っ込みモードへ!

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※料金等データは2020年4月のものです。

 

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 各地で乗っ込みへの期待が高まるこの時期、コマセダイファンには見逃せないエリアの一つが三浦半島剣崎沖。剣崎松輪港出船では、3月中旬ごろから腹回りが太った2〜4キロ級がコンスタントに上がっており、数もいい日はトップで2ケタ近く釣れている。 棒面丸で取材した3月26日は、30隻以上の大船団が剣崎沖に集結。本船は早朝のチャンスタイムにバタバタと1キロ級が上がり、一際強い引き込みを見せ当日最大4・93キロの大ダイが浮上。迫力のある黒ずんだ魚体が乗っ込み本番間近を感じさせた。 4月に入って海水温が上昇すればさらに食いが上向くとのこと。迎えるGWは乗っ込み真っ盛りとなっているはずだ。

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マダイ船ひしめく剣崎沖
いよいよ乗っ込み本番!

3月25日、乗っ込みの兆しが見え始めた三浦半島剣崎沖のマダイを狙って釣行した。 船は剣崎松輪港の棒面丸。平日とあってのんびりした釣りになるかと予想していたが、港の広大な駐車場は早朝からかなりの車で埋まっていた。 吉田純一船長の操船で6時半(4月からは6時に変更)に出船となる。 乗船者は12名。北寄りの風がそよそよと吹く中、10分ほどの航程でポイントに到着。 周囲にはざっと30隻ほどのタイ船が集まっている。それまではというと、下浦沖や城ケ島沖など思い思いのポイントに散らばって、静かに冬の釣りを展開していたのだが、数日前に乗っ込みの気配が出た途端、各船が一カ所に集中するようになったそうだ。 ここは水深が60〜70メートル。根と根の間の溝のような場所で、毎年乗っ込みの第一陣が釣れ盛るという。

元祖ライトマダイ

 さて、棒面丸のマダイ釣りは、一般的なコマセダイとは一線を画す。テンビンから先、つまり仕掛けそのものは同じでも、当地のコマセカゴの標準的なオモリ80号に対し、40号と半分。当然、タックルも通常より軽量なものを使用する。 そんなライトなタックルで大ダイの引きに耐えられるのか、と疑問に思うかもしれないが、一つテンヤを例にするまでもなく、テンビンやコマセカゴなど水中で抵抗となる付属物の体積を少なくすれば、軽い道具でも余裕で対処できるのだ。 棒面丸の鈴木俊一船長がかれこれ15年ほど前に考案したこのスタイルは、今では同宿の看板になっている。

 釣果の面で遜色ないどころか、掛けてからのスリルや楽しさは、間違いなくノーマル以上。ほかの船が追随しないのが不思議なくらいだ。 釣り場に着いて間もなく、「タナは上から50メートルです」と釣り開始のアナウンスがある。 ちなみに棒面丸ではハリスの長さを8メートルで統一している。公平性を重視してのルールだが、10メートル以上の長ハリスが当たり前のコマセダイにあって、短めなので扱いやすい。 7時過ぎ、左胴の間の竿が曲がる。ヤリトリを見守っていると、お隣さんの竿先にもアタリが出る。 やがて、1キロ級と1.5キロ級が相次いでネットに収まる。とくに2枚目の1.5キロ級は全身が美しい緋色に染まり、腹はパンパン。産卵が近いことをうかがわせる個体だった。 この連発で一気に調子が上がるかと思いきや、その後はしばしの沈黙。

 やはり、たくさんの船が集結したことでコマセが分散し、魚にも警戒心を与えているのかもしれない……などと考えていた8時過ぎ、またしても左胴の間にアタリがくる。 急いで駆けつけると、かなりの大物のようで、ドラグが作動して道糸がズルズルと引き出されている。 その後も一進一退の攻防が続くが、ギュギューンというマダイらしい引きではなく、ググッ、ググッと重みが目立つ地味な暴れ方。 およそ15分におよぶファイトに、周囲からは「エイじゃないか」「サメだろ」の声が聞こえる。そして海面近くまできてもまだ引くため、本人の口からも「タイじゃないな」の感想が漏れる。 やがて、テンビンをつかみ、ハリスをたぐり上げると、海面下に白い塊が見えてきた。ポコッと海面に浮いたのは予想を覆す4・93キロのマダイ。 オスのようで、体色はやや黒ずみ、腹が張っていた。これぞ乗っ込み期のマダイ釣りらしい1枚だ。

ライトは環境に優しい!?

 その後はトモ寄りを中心にポツリポツリとアタリが出るが、サイズはいずれも1キロ前後。しかも、昼近くになると潮も止まり、マダイの気配は薄くなる。 代わりに活性が上がったのがフグ。サバやソウダなどの青物に仕掛けをグチャグチャにされるよりはましだが、いつのまにかハリのチモトを切られ、やり場のない怒りを味わうこと数回。 それでも、黙もくと投入を繰り返していて気付いたのだが、コマセの消費量がいつもよりかなり少ない。

 ライトタックルなのでインターバルはノーマルより短いはずなのに、オケのコマセはなかなか減らない。 船長に聞いても、やはりノーマルの半分くらいしか使わないという。 これは環境面でもメリットは多いはず。別にすべてのタイ船がライト化する必要はないが、オモリ80号で従来のLサイズや近年使用者が増えているFLサイズよりもさらに小さいライト用のコマセカゴの需要はそれなりにあるのではないだろうか。 結局、一度止まった潮は再び動き出すことなく13時半の沖揚がりを迎えることになる。

 釣果は0.8〜4・93キロのマダイが船中6枚。外道はイナダやホウボウなど。 船中半分ほどが型見ずに終わったわけだが、乗っ込みもまだはしりとあって、ムラがあるのは致し方ないところ。 これから水温が上昇するにつれ、周囲の深みに分散していたマダイが松輪瀬に集結してくる。 個体の密度が上がれば食い気も上がり、安定した釣果も望めるようになる。トップ2ケタ、オデコなしの釣果が得られるのも、もうすぐだ。


三浦半島剣崎松輪港 棒面丸

1046・886・1451

▼料金=ライトマダイ乗合一人 9500円(エサ、氷別)
▼備考=6時出船、無料駐車場あり。ノーマルマダイ へも出船

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