深場釣り最大級のモンスター
平潟沖のアブラボウズを釣る

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※料金等データは2020年4月のものです。

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最大100キロオーバーにもなる深場の大物・アブラボウズが茨城県平潟沖で釣れている。 アコウやマダラなど深場の釣りを得意とする平潟港・第15隆栄丸の隠れた人気ターゲットで、3月は20〜30キロ級主体にトップ3尾前後釣れており、「例年60キロ以上の大型の実績が高いのはこれからの時期なので期待してください」と船長の声も弾む。 釣り場が水深400〜600メートル前後と深いうえ、100キロ級の夢を実現するにはそれなりの準備が必要だが、竿やリールは元もと丈夫なアコウやキンメ釣りの深場タックルで狙うことができる。 大物釣りと深場釣りがミックスされた独特の釣趣を、ぜひ味わっていただきたい。

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目指すは100キロオーバー
怪魚アブラボウズに挑む

キンメやアコウ、ベニアコウなどの深場釣りで時折ゲストとして姿を見せるアブラボウズ。釣れる大きさは20〜50キロがアベレージ。大きいものになれば体長2メートル、体重100キロを超えるモンスターが出現することも。 食べても刺身や煮つけ、幽庵焼き、西京漬けなど色いろな料理でたいへんおいしい魚である。 ならば専門に狙いたくなるのが釣り人の性。3月26日、茨城県平潟港の第15隆栄丸を訪れることにした。 この船宿はオキメバルやメヌケ、マダラといった平潟沖の深場釣りを得意とし、ひと月に3〜4回のスポットでアブラボウズ専門の乗合も出している。

 極めてマニアックなターゲットにもかかわらず、しかも平日なのに総勢9名の釣り人が集まり隠れた人気の高さを改めて実感した。 クジ引きで釣り座が決められ、私は左ミヨシ2番に入る。早朝3時半、準備が整ったところで出船。広びろとしたキャビンで熟睡することおよそ2時間で釣り場に到着した。 深場釣りの仕掛けというとハリ数が多い胴つき仕掛けをイメージするが、アブラボウズは底近くを遊泳している魚なのでハリ数は2本で十分。

メインのエサはイカ

 アピールアイテムとして夜光ベイトなどの光り物もアブラボウズには有効だ。私も5.0号サイズの夜光ベイトを縦3分割にカットしたものをハリの軸に巻き付けている。 エサは各自持参だが、メインのエサはスルメイカやヤリイカの1杯掛けだ。 イカエサの付け方は、胴の先端部にチョン掛けでいいが、魚はイカの頭部を狙ってくるので、ハリ掛かりアップを狙って掛けバリ・先バリ式にしている人も多い。そのほかアナゴ、サバ、イワシ、サンマ、タコの足なども使われる。 私は下バリにスルメイカ、上バリにサンマを付けて準備完了。「後ろから投入するよ」のアナウンスに続いてブザー音が鳴り、トモから順番に投入が開始される。 3回目のブザーで私も500号オモリを海面に投げ込む。「620メートル。タナはオモリが底をトントンたたく程度だよ」とのアナウンス。

 底トントンとは船が波間に下がったときにオモリが海底をトンッとたたく程度に底を切ること。その日の波の高さにもよるが、おおよそ1〜2メートル底を切ると、オモリがトンッと着底することで仕掛けがたるみ、再び波で船が持ち上げられることによってスーッと仕掛けが持ち上がる。この動作の繰り返しでエサがフワッ、スーッと動き、誘いとなるのだ。 併せて大事なのがハリスの長さ。底トントンによる誘いはハリスが長いとうまくエサが動かない。「うちの常連さんらは、みんなハリス70〜80センチだよ」と船長が言うように、ラインテンションの張弛でエサを動かすにはハリスが短めのほうが伝わりやすいのだ。 またアブラボウズは巻き上げている途中は比較的おとなしいが、ハリ掛かり直後のトルクのある突っ込みはまさに重戦車。50キロ以上ともなればハリ掛かり直後のひとのしで40〜50号のハリスでもパチンッと切られてしまう。 したがってアタリを待つときのドラグ調節も大事なポイント。両手で道糸を強く引っ張ってドラグが滑るくらいに設定しておくこと。

1流し目で本命浮上

「きたよー!」 声を上げたのは右ミヨシ氏。おとなしく上がってくると思いきや、たびたびグイッ、グイーンッと重おもしく引き込む抵抗は本命のようだ。 ギャフが打たれ船内に取り込まれたのは後検量13キロ。釣った本人は「小さい、小さい」と謙遜しながらも表情はやっぱりうれしそうだ。 続く2流し目、3流し目は空振り。「潮が流れないからアタリが少ないよ」と船長。 活性が低いときはエサの食い込みも悪い。そこでスルメイカの胴を引き抜いたキモ付きのゲソの2本の触腕にハリを刺して付けた。一見バランスの悪い付け方だが、海中でゲソがヒラヒラと広がりよく動く。キモからもエキスが流れ出るのでコマセ効果もあり、丸ごとのイカより大きさが3分の1くらいになるので食い込みもハリ掛かりもいいのだ。

 するとグングンと小さいアタリに続き、グイーンッと竿が引き込まれ、ズルズルーッと10メートルほど道糸が引き出された。 魚が止まったところでコマンド15の巻き上げスイッチをオン。巻き上げ中に襲ってくる重おもしい抵抗を、レバードラグの調節で交わしながら慎重に巻き上げる。 やがて海中に白っぽい魚影が見えてきてギャフが打たれる。二人がかりで引き上げた魚体は28キロ。まだまだ序の口のサイズだが狙いが的中、してやったりの1本だ。 この流しでは先に1本釣り上げた右ミヨシ氏が2本目となる15キロを取り込み、トモ側ではスッポ抜けのバラシもあったようだ。 それにしても、潮が流れないとこうも魚の活性が下がるものなのか。

 その後の流しで船中2回アタリがあったものの、1回は巻き上げ中にハリ外れ、もう1回はハリ掛かりしなかった。 大きくポイントを移動してみたりもしたが、その後はアタリがなく沖揚がりとなった。 当日の釣果は船中9名で13〜28キロが3本。 潮さえよければ船中2ケタ釣果も珍しくない平潟沖のアブラボウズ釣り。一年中狙えるので船宿HPの出船予定を確認のうえ、100キロオーバーを目指してチャレンジしてみてはいかがだろう。


茨城県平潟港 第15隆栄丸

10293・46・3980

▼料金=アブラボウズ予約乗合 一人2万円〜(料金は釣り場 までの距離による。氷付き)
▼備考=出船時間は要電話確認。中深場五目、ヤリイ カへも出船

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