洲ノ崎沖のヤリイカ良型ぞろい
スルメ交じりで乗り乗り!

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※料金等データは2020年4月のものです。

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日増しに暖かくなるとともに模様が上向きファンを喜ばせているのが三浦半島周辺から出船するヤリイカ。 洲ノ崎沖や沖ノ瀬、城ケ島沖の水深110〜180メートル前後を狙い、日によってスルメイカが釣果の半数近くを占めることもあるが、ヤリイカの群れの濃さは相当なもので、胴長30〜45センチ級の良型主体にトップが30〜40杯台に到達する日も見られる。 天候や潮具合などの条件がそろえば、ラストスパートに入ったヤリイカと、これから本格シーズンを迎えるスルメイカの豪快な多点掛けが楽しめるはずだ。

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多点掛けで乗り乗りヤリイカ&スルメ洲ノ崎沖で活況!

防寒着でもよかったかと、寒さを感じながら釣るヤリイカ。夏を感じさせる日差しに、ウエアの上着を脱いで釣るスルメイカ。おおまかにではあるが、プラヅノ仕掛けで釣るイカ釣りには、冬のヤリイカ、夏のスルメイカというイメージがある。 この二つのイカ釣りはいっとき釣期が重なり、とくにヤリイカ釣りでは「スルメイカ交じる」と船宿HPの釣果欄に書き込まれる時期がある。 それが冬のヤリイカから夏のスルメイカへの転換期にあたる。4月2日に三浦半島長井港・はら丸のヤリイカ船で取材したときは、ちょうどその時期だった。 ヤリイカとスルメが両方釣れたこの日、私は自信を喪失することになる。その理由は、強烈な二枚潮と猛者たちのスゴ腕だ。

 7時12分に洲ノ崎沖に到着。魚探を凝視していた原進船長は、すぐに投入のアナウンスをする。「はい、いいですよ。水深は185メートル。140メートルから下でやってみてください」 この日乗船していたのは、長年はら丸に通い続けるイカ釣りの猛者たち4名。オモリを放り投げた2分後に電動リールの巻き上げ音を響かせたのは、左ミヨシの今野さんだ。 おそらく着乗りで胴長30センチのスルメイカが上がる。そしてほぼ同時に、左トモの山坂さんも同サイズのスルメを取り込んだ。 お二人を撮影後、右舷に回ってみると右トモの加藤さんも巻き上げ中だ。隣に立ってカメラを構えると、加藤さんが竿を置いて仕掛けをたぐり始める。1杯、2杯、3杯……。なんとヤリイカ4杯にスルメイカ1杯と、いきなりの5点掛け。しかもスルメは胴長30センチ級、ヤリイカは40センチオーバーの良型だ。

 

二枚潮もなんのその

 その直後、工藤さんのヤリとスルメの2点掛けに続いて、加藤さんが再びヤリイカ4杯、スルメ1杯の5点掛けを連チャンで披露してくれた。 そこで、さっそく加藤さんに釣り方を聞いてみた。 加藤さんはプラヅノに2本のスッテを交えた計12本ヅノの直結仕掛けを使っている。「ヤリでもブランコはめったに使わないね。直結のほうが釣りやすいんだ。誘い? オレたちはあんまりやらない。 オモリが着底したら一回あおるだけ。あおって1〜2秒待って、乗りがなかったら電動でスローで巻き上げる。そうだなあ、4秒で1メートルくらいの速さかな。巻いてると途中でイカが乗った重みを感じるから、そのときに軽く合わせてゆっくり巻き上げる。そんな感じかな。 いつもなら10メートルくらい巻き上げたら再着底させるけど、今日は二枚潮でしかも潮がかっ飛んじゃってるから20〜30メートルは巻き上げてる。潮で道糸がたわんじゃってるからね」 その後もポツリポツリとイカが釣れ続く。船上を回っていると、船長から「写真撮れたんなら、釣りなよ」とうれしいお言葉をいただいた。さっそく加藤さんに教えてもらった直結仕掛けの釣り方をやってみることにする。

 しかし、この日の二枚潮のきつさと潮の速さは想像以上だった。150号のオモリの着底が分からないほどだ。 少し巻き上げて落とし直し、底ダチを取る。そして糸フケを取って1回大きくシャクリ上げ、乗りがなければゆっくりと巻き上げる。途中でグイッと重みを感じたので、電動の中速で慎重に巻き上げて仕掛けをたぐる。しかし、そこにイカはいない。そんな状況を何度も繰り返した。 首をかしげていると隣の工藤さんが、「二枚潮で潮が速いから、オモリや仕掛けが途中で引っ張られて乗ったように感じるんだよ。最初は間違いやすいけど、一杯釣れればイカの乗りと違いが分かるから」と励ましてくれた。 そうこうしている間にも、4人はイカの乗りをとらえ、着実に釣果をのばしている。こんな状況でも釣る猛者たちとの腕の違いにヘコむしかなかった。

 

ブランコでばん回

 その後船長は、このポイントと予定していた沖ノ瀬をあきらめ、城ケ島沖へと船を移動させた。ここでも、猛者たちにはヤリイカがポツリポツリと釣れている。 そこで、直結仕掛けの猛者流テクニックの習得をあきらめ、ブランコ仕掛けに替えた。釣り方も、プラヅノを踊らせるイメージで、誘い上げてはゆっくりと下ろし、乗りがなければ1メートル巻き上げる、という誘いを繰り返すいつもの釣り方にした。 このポイントでも潮はきつい。グイッと引っ張られるたびに、軽く合わせて乗りを確かめる。そんな動作を繰り返していると、シャクった竿先がクイッとお辞儀した。「それ、乗ったよ!」 操舵室から顔を出した船長が声をかけてくれた。うなずいてゆっくり巻き上げると重みがある。上がってきた仕掛けをたぐると、下から2番目のツノに抱き付いたイカが見えた。

 取り込んだのは胴長45センチを超えるパラソル級のヤリイカ。一緒に喜んでくれた船長や猛者たちに、満面の笑みをお返しすることができた。 当日の釣果は胴長25〜47センチが14〜35杯。スルメが3割ほど交じり、竿頭は加藤さんだった。「今日は二枚潮だったり潮が速すぎたりして厳しかったけど、洲ノ崎沖で中型のスルメがけっこう交じりましたよね。こうなってくると、今後は徐々にスルメに切り替わっていきます。近場の城ケ島沖でも釣れるようになりますから、そうなればいよいよスルメのシーズンですね」 今がまさにヤリイカからスルメイカへの転換期。そして間もなくスルメイカシーズンが開幕する。こう、ご期待だ。


三浦半島長井港 はら丸

1046・856・9006

▼料金=ヤリイカ&スルメイカ 乗合一人9000円(氷付き)
▼備考=5時半と6時出船の2便制。無料駐車場あり

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