※料金等データは2019年10月のものです。

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#浅場タイラバは
#浅場タイラバは冒険の旅
#不利だって?     
#だからやるんだ!   
#真実を知るために

その者、エメラルドグリーンのカッパをまといて、紺碧の海に降り立つべし……。 おお、分かる人には分かるが、分からない人にはまったく分からないネタではないか。 今日のヨッシーは「風の谷のナウシカ」ならぬ、外房の海のヨッシーなのだ。狙うは、オーム(王蟲)ではなく、オーダイ(大鯛)である。 早朝4時。外房・大原漁港は新幸丸の船宿に白いメーヴェ、ではなくミニバンでやってきたヨッシーは、いきなり周囲のドギモを抜いた。

 秋、大原からの一つテンヤマダイは水深10~20メートルの浅場狙いが中心で、3~5号(おおよそ10~20グラム)と軽めのテンヤを使うのが通例だ。 だが、外房の海のヨッシーは、テンヤではなく40グラムのタイラバを用意している……。 今日のわしは頑固なのだ。 ヨッシーが不敵な笑みを浮かべる。ナウシカに登場する剣士、ユパ様になっているようだ。今回は、ヨッシーが愛好するジブリキャラで強引に押し通すことをお許しいただきたい。 今日はタイラバを巻く。そう決めてるんだ。変えないよ。今日はタイラバだ。 なぜかって? 浅場でのタイラバは不利だって言われてるじゃないか。それがホントか調べるにはどうしたらいいか分かるかい? 巻き倒すんだよ。巻くしかない。巻けば、出るんだよ。答えってやつがね。

 うーむ、今度は「千と千尋の神隠し」の強烈な偏屈ばあさん、湯婆婆になってしまったヨッシーだが、それぐらい意志は固い。 勝算なんかないよ。もしかしたらホゲるかもしれない。でも、ボクは知りたいんだ。海の中のマダイがどんな反応をするのか。本当にタイラバに食ってこないのか……。「天空の城ラピュタ」のパズーのように純粋な眼差しで、ヨッシーが言う。 タイラバは、アタリがあっても合わせることなく、ガマンし、こらえ、耐えて、確実にハリ掛かりするまで巻き続ける釣法だ。だから、マダイがタイラバを追える時間と距離が短い浅場では不向きと言われている。 だがヨッシーは、あえて挑戦しようと言うのだ。目的はひとつ。海の中の真実を知る、ただそれだけのために。 9月19日午前4時半、新幸丸は港を離れた。タイラバを巡る冒険の旅が始まろうとしていた。

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#アタリあり!     
#本人もビックリ    
#驚きが確信に     
#今日はイケる! 

すっかり当コーナーの定番キャラクターとなったイソメマンこと鹿島一郎さんは、エサ問屋の意地に懸けてテンヤにこだわる。お魚大好きなエビエサを装着するテンヤは、オモリとスカートだけの人工的タイラバに比べると、圧倒的に強力な集魚効果があるのだ。 午前5時、太東沖でマダイ釣りという名の冒険が始まった。ヨッシーの相手は、わずか15メートルの水深だ。果たしてこの浅さでタイラバが火を噴くのだろうか……。 新幸丸の右舷ミヨシに陣取ったヨッシーは、反対舷でテンヤを使うイソメマン鹿島の様子を横目でうかがっている。 見て。まだ空が暗い。しかも潮色が緑色に濁っているわ。タイラバは朝イチが有利とされているけど、あまりに暗いとタイラバに気付いてもらえないの。 この様子だと、アタリが出始めるのはもう少し空が明るくなってからかもしれない。さあ、行きましょう。

 ナウシカ化しているヨッシーに呼応してか、山口新一船長も頻繁に流し変える。 40分ほど過ぎ、ようやくカサゴやエサ取りがエビに反応し始めた。ヨッシーもタイラバでカサゴを釣った。 そして午前6時7分。すっかり明るくなった空の下で、ヨッシーがマダイと思われるアタリを引き出した。 着底とほぼ同時にドン、とアタったんだ。びっくりしたよ。そのまま巻き続けてたら、5巻きぐらいしたところで確実に食ってきたんだけど、口を放しちゃった。確実にマダイだったよ。 パズー、だろうか……? もはや何のジブリキャラかはご想像にお任せするとして、さすがのヨッシーも浅場のタイラバでマダイと思しきアタリを得たことで興奮気味だ。

 その数分後、イソメマン鹿島がチャリコを連発する。さらに15分後、またしてもヨッシーにマダイらしきアタリが出た。 同じだよ。底から3~4メートルのところで口を放してしまった。ショートバイトだったからね。合わせてもよかったかもしれないな。 悩んだよ。マダイがまとわりついてるわずかな時間だけどね。合わせるべきか、合わせざるべきか。タイラバは、いつもそれで葛藤するんだ。 アタリがあっても巻き続けるのがヨシとされるタイラバだが、ショートバイトのときなど積極的に合わせたほうがハリ掛かりするケースもある。

 そして午前6時55分、ついにヨッシーがマダイを掛けた。 ハーッハッハッハ、見たまえ、これがマダイだ。どうせ外れるなら合わせたほうがいいと、掛けにいって正解だったようだ。 ふむ、これで分かったぞ。大原の浅場の秋マダイ、タイラバでも釣れるということがな。 1枚釣ったことですっかり気が大きくなると同時にムスカ大佐になったヨッシーが、胸を張っている。 確かに、「釣れなくてもいい」とタイラバを選んだ。釣れなければ釣れないで、「浅場でタイラバは不利」という知識が実体験として証明されるからだ。 だが、やはり釣れればうれしいのだ。

しかもこの後、ヨッシーはガンゾウビラメ、ワカシ、ショゴとヒットを連発し、おおよそ30分後には2枚目のマダイを引きずり出したのである。のだ。しかもこの後、ヨッシーはガンゾウビラメ、ワカシ、ショゴとヒットを連発し、おおよそ30分後には2枚目のマダイを引きずり出したのである。 テンヤにこだわり続けているイソメマン鹿島とも互角。もはや「浅場でタイラバは不利」という定説は覆された。#タイラバでよかった!

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#タイラバでよかった!

#基本的にカンタン           

#目をつぶってもできる     

#(条件がそろえば) 

潮が流れないときは、スピニングタックルでインチク型のビンビンロケットをキャストして横引きし、できるだけ長くタイラバがアピール力を発揮するように心がけた。 潮が流れ始めたと見るや、船の真下にビンビン玉を落とし込むバーチカルな釣りに変更した。 だが、ヨッシーがやったことといえば、それぐらいだ。巻きスピードはずっと1秒間に約2回転のままだったし、オモリの色や重さを替えることも、スカートを交換することもなかった。

 タイラバって、すごく簡単な釣りなの。基本的には、一定速で巻くだけ。難しく考えることはないわ。目をつぶっていてもできる釣りなんて、タイラバぐらいじゃないかしら。 そしてアタリが出れば、それで正解。無理に何かを変える必要はない。 もちろん見ていたわ、テンヤを。イソメマン鹿島にアタリが出たとき、つまりドテラ流しで風まかせ、潮まかせの船が魚のいるポイントに差しかかったとき、私にもアタリがあった。ということは、今日はタイラバも正解なの。

 さあ、巻きましょう。マダイさん、大丈夫、怖くない……。 ナウシカ化したヨッシーは、優れたマダイ使いとなり、エメラルドグリーンのカッパをまといて紺碧の海に降り立った。 午前11時、沖揚がりの時を迎えた。テンヤで釣り切ったイソメマン鹿島は、マダイ7枚。そしてタイラバを巻き切ったヨッシーは、5枚。序盤に出遅れたことを除けば、まったく同等に釣れたと見ていいだろう。 上機嫌にムスカ大佐となったヨッシーが、言う。 ふ……、出遅れか。合わせを決めきれなかったせいだ。タイミングをつかむまでに何枚か逃したからな。 そうとも、最初から決めていれば、私はイソメマン鹿島に勝てていたのだ。はーっはっは。

 だが、勘違いしないでくれたまえ。タイラバと言えども、万能ではないのだ。今日は砂地が中心だったが、大原ではキツイ根周りを攻めることも多い。その場合、タイラバでは厳しい戦いになったはずだ。 さらに言おう。やはり浅場はマダイがタイラバを追いかけられる距離が短いのだ。 今日のように食い気があるときはよい。

 だが、食い渋った場合はかなりの苦戦も予想される。この私でさえ、ホゲることを覚悟していたようにな。 5枚という釣果はラッキーだったのかもしれない。残念ながらオーダイ(大ダイ)も出なかった。だが今日のヨッシーが、浅場タイラバの攻略法を示したのは確かだ。 少年の心を携えての冒険は、いつだって成功に終わる。

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#テンション高まった!

◉1枚目が釣れた瞬間は、さすがにうれしかったよ。合わせたらいいのか合わせないほうがいいのか決めかねていて、何枚も逃していたからね。

 合わせたほうがいいと分かってからは、海の中のマダイの様子がよく分かった。タイラバを追いかけて海面が近くなると、マダイが反転して戻ってしまうんだ。その前に合わせてしまえばいいんだよ。 ちなみにこの口調、パズーなんだけど、分かった?


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【スピニングタックル】
ロッド=ジャッカル タイラバロッド(プロトタイプ)リール=シマノ・ステラC3000XGライン=PE0.8号 リーダー=フロロカーボン3.5号・2ヒロ

【ベイトタックル】
ロッド=ジャッカル タイラバロッド(プロトタイプ)リール=シマノ・炎月プレミアム150HGライン=PE0.8号 リーダー=フロロカーボン3.5号・2ヒロ

【タイラバ】
●TGビンビン玉スライド45、60グラム&ビンビン玉 T+ネクタイ/カーリー ●ビンビンロケット30、45グラム


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外房大原港 新幸丸
0470・62・1500

◉料金=一つテンヤマダイ乗合1人1万2000円(エサ、氷付き) 
◉備考=タイラバ、タイジグOK(歓迎)。女性・子供割引あり。午前、午後便で出船。ほかヒラメ乗合へも