※料金等データは2019年11月のものです。

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#ナブラはどこだ!?
#バシャバシャを見つけろ 
#見つけたら指さして叫べ
#船長猛ダッシュ、のはず

 スタイリッシュでクールでスマートなヨッシーだが、やはり海の男だ。魚沸き立つナブラには血が騒ぐ。 千葉は寒川港・守山丸からルアー五目に挑む今回のヨッシーは、目つきからして違う。 ミヨシに仁王立ちし、腰に手を当て、水平線も燃えよと言わんばかりの猛烈な目力で、魚の跳ねを探しているのだ。 猛烈な目力。それは守山丸の金子輝人船長も同じだ。ちょっとコワモテだが実は優しいその眼差しが、この日はレーザービームのような鋭さで、魚探を、海を、見据えている。

 あ跳ねたボラだなあれは! ふだんなら「あ……。跳ねた。ん〜、ボラ……だな、あれ……」とまったり気味のヨッシーが、めちゃくちゃ早口だ。 ヨッシーが見つけようとしているのは、東京湾ルアー五目の花形選手、サワラである。 サワラとボラの見分け方? カンタンだよ。ボラはビョ〜ンと跳ねたらそのまま落ちるでしょ? でもサワラは、頭から着水するんだ。イルカのジャンプみたいにね。すぐに分かるよ。 金子船長がポイントを探り、浦安〜船橋沖、船橋航路を中心とした水深10メートル前後のポイントで釣りを開始したのは6時40分。いつになくゆったり準備をするヨッシー。戦いに挑む緊張感に包まれている。 ルアー五目って言うぐらいだからね。ルアーで釣れる魚なら何でも狙う。東京湾だと浅場でのシーバスと青物が中心だ。最近ではトラフグやタチウオも釣れるみたいだよ。

 キャスティングするからハードルが高く感じる人も多いみたいだけど、マグロほどじゃない。タックルもライトだし、とにかくナブラさえ見つかれば釣れる確率が高い釣りだ。 船でのキャスティングゲームの入門にピッタリだと思うよ。 ナブラ「さえ」。ヨッシーの言葉には、どこか悲壮感が漂う。ナブラが見つかれば、チャンスはある。でも、ナブラが見つからなければ……。 この釣りが面白いのは、運の要素がかなりあるってこと。ベテランだから、ビギナーだからという腕の差よりも、運のほうが効いてる気がする。 とは言えヨッシーは、運頼みしているわけじゃない。持っている引き出しをすべて開ける、という感じだ。いつもより口数が少なく、海を見据えるときは眉間にシワなど寄せちゃっている。ピリピリとした空気……。

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#サワラは捕食ベタ#それ困る       
#しっかり食って     
#安全第一忘れずに

  今回、船に持ち込んだタックルは3セット。ぜいたくに思うかもしれないけど、チャンスは少なくて短いからね。ルアーを換える時間も惜しいんだ。コレというルアーを付けておいて、すぐ投げられるようにしてる。 今回セットしたのは、ハデに動くミノー(ジャッカル・ビッグバッカー・ナブラミノー)と、あまり大きくは動かないシンキングペンシル(ジャッカル・ビッグバッカーナブラミノー120SL)。 跳ねが少ないから、サワラは散らばってるんだと思う。濁りも強いから、アピール力の高いミノーをメインにして、少しでも魚を寄せる作戦だ。 ジギングも可能だが、ほかのお客さんもキャスティングがメインだ。今回は左舷のみ使い、オーバーヘッドキャスティングが許されている。 後ろに人はいない前提だが、ヨッシーは振りかぶっていったん動きを止め、後方でぶら下がるルアーを目視してからキャスティングしている。もちろんフックはカエシのないバーブレスだ。 目を守るために、サングラスも着用したほうがいいかな。

 この釣りは安全第一! とくにナブラが発生すると船中のテンションが高まって危ないんだ。あっちこっちからルアーが飛んでくることもある。一呼吸おいて落ち着くことが大事だよ。 ヨッシーの眼光は鋭く、テンションも高い。だが、英語での「ハイ・テンション」は、実は極度の緊張を意味する。ヨッシーが漂わせている緊張感は、魚を釣ることに対してだけではなく、安全にも向けられている。 まぁ、そんなに硬くなることもないけどね。ちゃんと船長の指示を守って、装備を整え、投げる前に周りに気を配る落ち着きがあれば大丈夫だよ。 船中では時折シーバスが上がっている。「ルアーで釣れる魚を釣る」のが、ルアー五目のコンセプト。シーバスももちろんターゲットのひとつだ。 引きが強いし、ジギングでも釣りやすいから、シーバスは船ルアー入門にはピッタリだよね。 でも、今日はシーバスよりイナダが釣れてほしいな〜。 ヨッシーと金子船長は「サワラは捕食がヘタな魚」と口をそろえる。自分たちでベイトフィッシュをまとめる能力も低いのだそうだ。 一方、イナダは捕食が上手で、ベイトをまとめる能力にも長けている。イナダが釣れるかどうかは、ベイトがまとまっているかどうかの指標になるのだ。

 台風19号が駆け抜けた3日後の10月16日、食いには影響がないレベルまで落ち着いているが、東京湾奥はかなり濁っている。散発的にサワラの跳ねはあるものの、ポツリポツリとシーバスが釣れるぐらい。もうひとつ盛り上がりに欠ける。 停滞した状況を打破したのは、ヨッシー……ではなく、金子船長その人であった。午前8時55分、操船のかたわらルアーを投げた船長が、サワラをヒットさせたのだ。 ヨッシーを差しおいてのサワラに、「やらかしちゃった」と頭を掻きつつうれしそうな船長。「5秒ぐらい沈めて、早巻きしてただけ。サワラはたいていこのパターンだね」 サワラ狙いの漁師から得た情報をもとにした、実績ある釣り方だ。巻き速度が遅くなると、イナダが釣れてくるそうだ。 そして午前9時、今度はヨッシー……の隣で淡々とルアーを投げていたイソメマン鹿島にサワラのチェイス! 船ベリギリギリまでサワラが追ってきた。 すっかりおなじみのイソメマン鹿島は、本業がエサ問屋だけあり、ルアー五目初挑戦だ。ギラリという反転の光だけ残して消えて行ったサワラに、目を丸くしている。 その直後、ついにヨッシーが叫んだ!

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#色いろ釣れた! 
#ホントに五目達成         
#ヨッシー、サワラ不発   
#チャンスはだれにでも

  サワラ跳ねたよっ! あっ、また跳ねた! 100メートルぐらい先だ。く〜っ、届かないか!「頑張って4色飛ばしちゃってよ!」と金子船長が笑う。急ぎつつ落ち着いて投げるヨッシー。 サワラいるね! いるけど釣れないのは悔しいな。ベイトを追ってるはずなんだけど……。 早巻きしたり、逆にゆっくり巻いてじっくりと見せたり、巻きを減らしてジャークを大きめにしたりと、色いろやってみてるんだけど、なかなか……。 一瞬の盛り上がり。そしてまた静まる東京湾。その繰り返しでも、決して緊張の糸を切らさずに海を見つめ続けるあたりはさすがヨッシーだ。

 別の人が投げたルアーの着水音にさえ「すわ、サワラッ!?」と鋭く反応している。ヨッシー、完璧に海の男だ。 だが、サワラは食ってこない。プロアングラーであり、苦み走った海の男でもあるヨッシーにも、サワラはそう簡単には応えてくれないのだ。 途中、タチウオのプチフィーバーなどをへて、午後2時過ぎの帰港まぎわにトリヤマ発生! にわかに色めき立つ船内。 サワラだサワラ跳ねた! ヨッシーのテンションも一気に高まる!! すごい早口だ! だが、これはシーバスがメインのナブラだったようだ。ヨッシーはビッグバッカーソフトバイブをキャストすると、目論見どおりにシーバスをキャッチ。これをもって納竿となった。

 全体的に跳ねやナブラが少なくて、厳しいコンディションだったね。でも、船としてはシーバス、イナダ、ダツ、タチウオ、そして船長が釣ったサワラと、見事に五目を達成したから、ヨシとするかな! 東京湾のルアー五目は、何かしら釣れるから楽しいよね。 今回はシブかったし、いつがイイとも言い切れないギャンブル性があるけど、今年の傾向を見てるとサワラは多いと思う。スイッチが入ると、船中40尾なんてこともあるんだよ。

 だから釣果情報を気にせず、思い立ったら出かけてほしい釣りだね。基本的にはルアーを投げて巻くだけだから、だれでもできるし、だれにもチャンスがある……んだけどなぁ……。 少なくとも2度は、それがあった。だが、ヨッシーには巡ってこなかった。眉間のシワがひときわ深くなる。こうして海の男は、よりイイ男になっていく……のだろうか。

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#テンション高まった!

今回は、帰港間際のナブラかなあ。やっぱり魚が跳ねてるのを見るとテンション高まるよね。今日はなかなか起きなかったから、時間が差し迫ったところでのナブラは盛り上がったな〜。 残念ながらオレはダツとシーバスだけで終わったけど、船中は賑やかで楽しかった。今年、サワラ自体は好調だから、みんなにもぜひこのハイテンションな釣りを味わってほしいな! ナブラを探すときは、腰に手を当ててね!


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【スピニングタックル】

ロッド=ジャッカル・GSW-68Lリール=シマノ・ツインパワー4000XGメインライン=シーガー・PEX8 ルアーエディション 1.5号リーダー=シーガー・プレミアムマックス 49lb 1ヒロバイトリーダー=シーガー・プレミアムマックス49lb 40cm

【ベイトタックル】

ロッド=ジャッカル・GSW-C60ULリール=シマノ・ベイゲーム150メインライン=シーガー・PEX8 0.8号リーダー=フロロカーボン 5号 3ヒロバイトリーダー=シーガー・プレミアムマックス 49lb 40cm


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東京湾奥千葉市寒川  守山丸

☎043・312・2640

◉料金=ルアー五目乗合1人9000円、半日便7500円(氷付き) 
◉備考=予約乗合。ほかシーバス、タチウオ(エサ、ルアー)、ライトアジ乗合へも