※無断コピー・転載禁止
※料金等データは2020年2月のものです。

#釣り物は   
「釣れるモノ」   
#この自由さがSLJ  
#この元気さがSLJ  
#何がくるかな……

大原漁港からクルマで約3分。バーミヤン大原店に、いかにもタチが悪そうな4人の男どもがシケ込んでいた。 だれかが食べようとしていた酸辣湯にドバドバと一味唐辛子をかけてしまったり、高校生とおぼしきアルバイト青年にくだらない話しをしたり……。 午後6時過ぎ、夕飯どきで賑わう店内にあって、そのテーブルはひときわうるさい。 元気なのだ。4人とも、外海の荒波に揺られながら半日ジギングに励んだとは思えないほど、イキイキと騒いでいる。

 これぞ、スーパーライトジギングの恩恵だよね。 やかましい男どものなかでは最年少とあって、おとなしいふりをしているヨッシーが言う。 今日使ったジグは、60グラムがメインで、80グラムまで。PEは0.8号で、それらに合わせたタックルもライト。水深は30~40メートルだったし、体は本当にラクだよ。 気軽なタックルと多彩な釣り物で、今、全国的に注目を集めているスーパーライトジギング(以下SLJ)。ヨッシーのような青年(といってもアラフォー)はもちろん、アラフィフの取材陣さえも下船後に元気いっぱいなのが、この釣りの魅力を証明している。

 1月21日の外房は強い北風が吹き、ウネリも高かった。シケ、と言ってもいいほどの厳しい海況である。 それでもヨッシーを中心とした「#テンション高まる」取材陣4名はコーナータイトルどおりにハイテンションで、意気揚々と広布号の午後船に乗り込んだのである。 ウネリは高いし風は強いしで、繊細な一つテンヤだったら、底もアタリも取るのが難しかっただろうね。 メインで使った60グラムのジグは、オモリの号数ならだいたい16号。スーパーライトとはいえそれなりの重さがあるから、今日のような荒れた海でも釣りになる。そこも魅力かな。 ただ……、残念なことに全体的に活性が低かった……。 野島幸一船長が船を回したのは、港から40分ほどで到着した岩船沖のポイントだ。水深は35メートル前後。午後0時40分に釣りが始まった。 すぐにパタパタッとアタリがありテンション高まったが、ヒットにはつながらない。1度はヨッシーの竿が大きく曲がったものの、バラしてしまった。 何だったのかな……

。 広布号のSLJは、とくに釣り物を決めていない。「釣れるものを釣る」というのが野島船長の考え方だ。何がくるか分からないというワクワク感は、SLJならではのもの。フィッシュイーターなら何でも釣れる可能性があるのだ。 その一方で、状況に的確に合わせなければ、痛い目に遭う可能性もある。竿をシャクリながら、ヨッシーは少しずつ状況を把握していった。


#クリクリ、ドカン!

#いきなりの大アタリ       
#きたか本命!?                 
#ウッカリさん…… 

あっ……。 ヨッシーが声を上げる。根掛かりだ。根を攻めている限りは、やむを得ない。 野島船長は潮と風に任せたドテラ流しをしている。根掛かりしたヨッシーは、糸の出方で船が流れる速さを測る。 だいたい1ノット、人がゆっくり歩くぐらいの速さかな。思ったよりも流れていない。 さっき、80グラムのビンビンメタルをタダ巻きしていたら、アタリがあったんだ。斜め引きに反応してきたマダイだったのかもしれないな。 まさに、何がくるか分からないSLJ! 野島船長いわく、マダイやヒラマサが食ってくる可能性があると言うから気が抜けない。

 ヨッシーは、底から5メートルほどの範囲でネチネチと誘いをかける。ゆっくりとタダ巻きして、フォールして……を2、3度繰り返してから、今度は軽快なワンピッチジャークで宙層を探ってくる。だが……。 ヒラマサじゃなくてもいいから、イナダでも釣れれば楽しいんだけど……。 宙層まで誘ってみてるし、回収の高速リトリーブも青物を意識してるんだけど、どうも今日は気配がないなぁ。 筆者・タカハシゴーの竿が曲がった。35センチほどのかわいいヒラメは、ほぼ着底と同時に食ってきた。使っていたのは、80グラムとやや重めのジグ、ラスパティーンだ。 状況を見てると、今日はとことん底だね。この冬、外房はマハタが熱い。フォールで食ってこないかな。 状況に合わせて、臨機応変にターゲットを変える。基本的に船長が流すポイントに合わせてのことだが、その中でも自分なりに戦略を練って釣りを組み立てる。これがSLJの面白さだ。

 野島船長は、「フォールで食ってくる根魚は、初心者でも釣りやすいんですよ。最近のジグはすごくよくできていて、落とし込むだけでいい動きをするってことも影響してると思います。 根魚は、今日みたいに海が厳しいときでも、そこにいれば食ってくれる。いいヤツなんですよ(笑)」 その言葉どおり、底狙いに絞ったヨッシーにドーンと大きなアタリがあったのは午後2時を回ったころだった。上がってきたのは良型のウッカリカサゴだ。ライトなタックルだけに竿を大きく曲げてのヤリトリは、端から見ていても楽しそうだ。

 底から2メートル、ジャーク中にドカンと食ってきたね。いや~、気持ちいいね~っ! やっぱり、釣りは魚が釣れるからこそ面白いよね。当たり前のことなんだけど(笑)、SLJは改めてそのことを教えてくれるんだ。

いや~、うれしい、うれしい。いや~、うれしい、うれしい。 だが、アタリは続かない。のんびりとした時間帯がしばらく続く。今や完全に当コーナーの一員となったイソメマンこと餌問屋・餌勝商店の鹿島一郎さんが、持ち込んでいた禁断の(?)アオイソメに手を伸ばす。「全然アリですよ~」と笑いながら、野島船長も興味津々だ。 遊動式テキサステンヤに餌勝商店自慢のイキのいいイソメをたっぷり装着したイソメマン鹿島だったが、外房の海はいつもイソメに甘くない。 エサ取りらしき細かいアタリはあっても、ドンという強烈な引き込みには至らない。 80グラムのジグに食ってきたヒラメ。イソメに対する反応のなさ。それらを横目に、ヨッシーは黙々と竿を振り続けた。

 

#マハタを追い詰めろ!
#状況確認からの…   
#自分の釣りを調整   
#そしてメイクドラマ! 

    午後3時前、沖藤編集長にヒット! 本命と言ってもいいマハタだ。「着底してラインスラッグ(糸フケ)を取り、タダ巻きを始めたぐらいで食ってきたよ」とうれしそうな編集長。シブイ状況で値千金の1尾だ。 そこから1時間ほどまたアタリが遠のいた。日が傾き、陽光がオレンジに染まり始めた午後4時、ついに時合が訪れた。 大サービスでいつもより多めにイソメを装餌したイソメマン鹿島にもマハタがきた。「着底してチョイ巻きしたところでした。でっへっへ」と静かに満面の笑みを浮かべる。 そしてほぼ同じタイミングで、タカハシゴーにもマハタが食ってきた。やはり着底とほぼ同時、開けていたマハタの口にスッポリとジグが入ったのではないか、というぐらいのタイミングだった。

 これで沖藤編集長、イソメマン鹿島、タカハシゴーがマハタを釣った。あとはヨッシーだ。 時間が過ぎていく。日が落ちていく。ヨッシーに焦りは感じられない。野島船長がマイクを取る。「じゃ、あと10分で揚がりますね」 その直後、だった。ヨッシーの竿が大きく曲がった。ていねいに、慎重に巻き上げて、ネットインしたのはマハタだ! ラストに見せ場を作った。 フォールスピードが速いゴーさんの80グラムのジグに、ヒラメとマハタが食った。そして、イソメマン鹿島のイソメにはなかなか食ってこなかった。つまり、今日は生きエサよりも動きに反応してるってこと。

 もう完全にフォールに焦点を絞って、80グラムのラスパティーンでマハタを食わせたんだ。最後の最後になったけど、狙いどおりの1尾。気持ちいいね! こうして周りの釣り方、そして釣れ方を確認しながら調整できるのが、乗合船のメリットだし、面白さでもある。 ハッキリ言って、今日はゴーさんとイソメマンがいなかったらマハタに届かなかったかもしれない。ふたりには感謝してるよ。ありがとう! ヨッシーの釣果は、ウッカリカサゴとヒラメとマハタが1尾ずつで終わった。だが、感動の大きさは釣果をはるかに上回っている。SLJならではの自由な空気の中、自分なりの組み立てがドンピシャにハマったからだ。 しかも、半日シャクリ通しても体力的にはかなりの余裕がある。そりゃあ、バーミヤンで多少は盛り上がっても仕方ない。

 

#テンション#テンション高まった!

◉そりゃもう、最後の最後に引きずり出したマハタ! 80グラムのラスパティーンを落とし込んでリアクションで食わせた1尾だね。 なかなか釣れなかったけど、周りが爆釣ってわけでもなかったから、焦りはなかったよ。自分ひとりだけハズしてたらヤバイけど、全体的にシブイときには焦っても仕方ないよね。 ただ、釣れない釣り方をずっと続けてても、釣れないだけ(笑)。周りの状況を見ながら、自分の釣り方を変えて、魚との間合いを詰めていく。 それが最後に決まったんだから、いや~、われながらドラマチックだったよ!


ロッド=ジャッカル・SLJ用プロトタイプリール=シマノ・ステラC3000XGメインライン=シーガー・PEX8 0.8号リーダー=シーガー・グランドマックスFX        
4号 2ヒロ


 外房大原港  広布号

☎070・3526・1091

◉料金=SLJ午前船・午後船とも一人1万1000円(氷付き)
◉備考=周年SLJでマハタやマダイ、ヒラマサなどを狙う。リクエストで一つテンヤや青物ジギングへも