◎沖藤武彦

◉取材:写真協力/大西釣具工房 ☎︎090・5405・1850

※修理など注文の際はまずお問い合わせください

 

 

ども。先週の金曜版を更新しなかったら「何かあったんですか?」と友人に心配された沖藤です。いやはや。

 

 

実は先週の日誌、書き終えたところでシステムエラーで2度も飛んじゃったんです。で、症状が改善される気配すらなく夜8時になったところで、翌日が2時起きなので諦めたんです。週末を前に落ち着いて夕食もとれずドタバタするし、寝不足になるしで、ほんと、今思い出しても腹が立ちますわ。

 

 

まあ、腹を立てたといえばその3日前の8月末日、つまらないミスでお気に入りの竿を折ってしまい、自分に腹を立てたばかりでした。

 

 

そのつまらないミスというのが、これ。

 

 

お気に入りのSLJロッドの竿先を折っちゃったんですね。

 

原因は単なる不注意で、クルマの後部座席から出す時に竿先を引っ掛けて、ポキン。

 

 

4年前にステーションワゴンからハッチバックに換えたんだけど、やっぱり竿は運びにくいよなあ……でも、ワインディングは圧倒的に楽しいんだよなあ……という悩みはさておき

 

 

この竿、カーボンチューブラー(中空素材)のワンピースなので、元通りにはなりません。メーカーさんに修理できるか聞こうと思うものの、それなら新品を購入しようと思います。

 

 

とはいえ竿そのものに愛着があるので、折れたままにしたくないし、ましては捨てたり、他の使い方はしたくない……。そこで思い立ったのが、

 

ソリッドチューン!

 

簡単に言うと、ソリッド(=ムク、中身の詰まった素材)の穂先を継いで、破損前と同様、またはそれ以上、あるいは自分好みの竿に生まれ変わらせてもらおうと考えたワケです。

 

 

お願いしたのは大西釣具工房さん

 

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「なるほどぉ、結構、パキッと折っちゃいましたねw」

 

 

カワハギ、マルイカ、シロギス、イイダコの名手であり、マニアックなオリジナルロッドビルダーである大西了路さんの工房で、わが愛しのSLJロッドを生まれ変わらせてもらうことにしました。

 

 

大西さんには

 

 

●大鯛や青物も掛けるので、できるかぎり同じカーブを再現

 

●キャスト重視の竿なので、同じガイド系とピッチ(位置)を再現

 

●できれば以前より食い込みのよい感じに

 

●予算は1万円前後で

 

 

と、相談。二つ返事で

 

 

「一週間ぐらいで仕上がると思います」と請け負っていただけました。

 

 

その途中経過がこちら。

 

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折れた竿先とブランクスを検証、新たに移植するソリッド素材を選ぶ。今回はカーボンソリッド(比較的低反発かな?)

 

 

ソリッドを継ぐ位置を決めてカット!ぎゃー。(新しく継ぐ素材の太さと調子から、全長の5分の3の位置=ガイド8個中4個目の位置。コレ、ワタクシはおっかなくて絶対に切れないわ)

 

 

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旋盤で回転させながら継ぎ部を加工。今回はワンピースロッドで接着なので0.1ミリ単位だけど、脱着の場合は0.01ミリ単位での加工になるそうです。ひえー。

 

 

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で、繋ぎます(この間かなりの手間があるはず)元のブランクスに、ソリッド部が3センチほど入ります。

 

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接着したら研磨してガイドを取り付けたり下地を塗ったりエポキシ塗って、それぞれの工程でしっかり乾燥させていき……

 

 

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ピッタリ一週間で完成!

 

 

仕上げはもちろん

 

 

カーブもまったく違和感なし!

 

いやあ〜早くこの竿で釣りたいですわ。

 

大西さんによると「以前より、少し食い込みがよくなっているかもしれません」とのこと。そうなんです。今回のソリッドチューンの狙いは、

 

●大鯛&イサキを狙うときに、アタリだけで終わっていたショートバイトを掛けることができるか?

 

●アクションさせつつ、ジグを跳ね上げない(変な表現でごめん)

 

 

さてさて、どうなるか。むふふふ。

 

 

といった感じで、すっかり自分のミスで破損したことを忘れて楽しみが増えてしまったワケですが、道具との付き合い、これも釣りの楽しみです。

 

ちなみに、今回の修理代はコミコミで1万450円。

 

 

価値観は人それぞれですが、お気に入りの竿が生まれ変わる楽しみや、大西さんと直接やりとりができるのでアフターケアも迅速なことを思えば、全くもって高くはありません。

 

大西釣具工房では、オリジナルのカワハギ、シロギス、マルイカ(ゼロテンロッド)の製作・販売のほか、今回のような修理や、チューンナップも受け付けております。

 

 

個人的には、次は10年前に購入したお気に入りだけど今となっては感度に難があるティップラン専用竿のティップをギリギリまで削り込んだソリッドに交換してもらおう、とか、ガチガチに硬いカワハギ竿の穂先を、ほんの少し曲がるようにチューンしてもらおうか、などと考えております。

 

 

プロ野球の「野村再生工場」ではありませんが、読者の方から「この竿を蘇らせたい!」という希望者を公募して、

 

 

船釣りロッド「大西再生工場」

 

 

なんて連載をやっても面白いな、なんて思ったりもするのでした。まあ、道具は壊さず、ていねいに扱うことが一番大切ですけどね。

 

さて。 

 

 

緊急事態宣言が延長されたものの、明らかに状況は前進しつつあるように思います。もし、ワクチンを打っていても、引き続き感染予防に気をつけて、焦らず、マイペースで、よい週末をお過ごしください。

 

では、また来週!