◎尾川 泰将

 

「水曜どうでしょう。」

あのステッカーをいまだ貼ってる車を見るたびに「あ、編集日誌わすれてた!」と追いたてられるWednesday尾川です。

 さて先週イチ推しした復調気配の「相模灘のシロギス」が、スゴいことになりました。頭抜けているのは相模湾の茅ヶ崎沖で、大小交えてトップ100尾オーバーなんて日も。

 「万人の受け皿になるシロギスがダメになったら、湘南の釣り船業の将来にかかわりますよ。だから組合で決めてね、皆交代で海を耕してるんですよ」

 これは昨春取材した、茅ヶ崎港ちがさき丸の大親方のお言葉。

 耕すって……クワで? と首を傾げるでしょうけど「海底耕耘(かいていこううん)」と言って、砂底に耕耘桁(こううんけた)と呼ぶ専用の耕具を下ろし、それを船でゆっくり曳いて海底をかく作業のこと。そうして堆積した汚泥を拡散し、底にフレッシュな酸素をいきわたらせて、きれいな砂を好む生物たちが住みやすい海に改善するのです。

 ここ数年われら釣り人の知らないところで地道に行われてきたこの海底耕耘が、ついに成果となって現れたのでしょう。よかったね大親方! そして今夏もたっぷり産卵して、じゃんじゃん増えてくれよ、シロギス!

 と、私は先日三浦半島の佐島つね丸で、ボートシロギスをちょこっと楽しんできました。

 探るは小田和湾内の水深3〜5メートルの浅場、狙いは数じゃなく、ずばり巨ギス!佐島はジャンボシロギスが潜む穴場で、私も29センチという人生2番手のデカギスを釣ってます。

 結果は23センチどまりでした。でもさすがは夏の旬魚、いんや〜太い! そして改めて感激したのがコ、コココココッキュイン! と竿先をひったくるシロギス特有の引きです。一体なんなのでしょうか、お尻の穴がキュッとすぼまるあのエクスタシーは……。

     皆様もぜひ、女王様にもてあそばれて悶絶してくださいませ。

※追記=まさに「毛なし」……だ。この時期、小田和湾内の沖磯・毛無島の周りにびっしり繁茂するはずのタチアマモが今年はまったくなく、ホンダワラ類もほとんど生えていない。本当に砂漠のようでショックだった。

 地元ではこの磯やけを食い止めるため藻場の再生エリアを設定。付近は釣り禁止とのことなので、我慢、そして応援のほどを。