◎沖藤武彦

 

 このたびの台風19号による被害に遭われた方がたにお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 また、被災地域の全容把握、そして一日も早い復旧を願っております。

関東周辺の各港は大きな被害なしも
川沿いの船宿で桟橋破損、流出。
内房〜駿河湾の各港に大量の漂流物

『隔週刊つり情報』編集部としては、やはり災害時には海沿いの被害について、様ざまな方法で確認をしていくわけですが、今回の台風で最も懸念された高潮による被害はほとんど見られず、遊漁船の大破などもなかったようです(本誌船宿データベース)。

 主立った被害は、河川の増水による桟橋破損、流失で、鹿浜橋、羽田の各船宿、水門解放による増水により江戸川放水路の各船宿が、台風通過後、復旧作業などに追われました。

 羽田では今週末より出船を再開、江戸川放水路も日曜日より営業再開となる予定です。

 また、河川より流れ出た木や草などの漂流物が内房富津や三浦半島東部、真鶴周辺や伊豆、沼津などの港に押し寄せ、連日の清掃で出船が遅れた地域も少なくありませんでした。

 川崎沖の貨物船沈没によって流れ出た重油が第二海堡方面へ流れ、拡散を防ぐ作業も行われていました。

 

▲漂流物が押し寄せた富津海岸と、休業日に応援に駆けつけた外房大原の若船長たち(ひらの丸・小幡船長のFacebookより)

 

 

台風通過後の海は釣れるのか?
予想を超えた釣り物とは。

 さて、釣り人として気になるのは、やはり台風後の釣れ具合でしょう。

 今回は駿河湾、相模湾、東京湾、銚子〜茨城の各地で海に注ぐ大河川から大量の濁った水が流入し、しばらく内湾や岸近くは釣りにならないのでは? と心配された方も多いと思いますが、どっこい、釣れています。

 東京湾奥では台風通過2日後、15日から出船したライトアジが絶好調、内房も、三浦半島も同様で、タチウオにいたっては深場に落ちるどころか、浅場でバリバリ釣れ始まる始末。その後、メインの釣り場は走水沖の60〜70メートルダチに落ち着いてきていますが、タチウオは勢いに乗って湾奥の浅場、浦安〜千葉の水深10メートル前後、ディズニーランドの目の前でも顔を出しちゃってます。

 

    この浦安〜千葉、木更津に至る岸近くの浅場は、場所によってカフェオレのような濁りに覆われているのですが、サワラ、イナダ、シーバス、ダツ、トラフグまで元気にルアーを追いかけています。

▲茶色く濁っていても魚は元気でした。浦安〜千葉、木更津ではスズキ、イナダ、サワラが跳ねて、タチウオまで釣れてます。いやはや

 

 思うに、比重の軽い淡水(濁り)は表層だけで、その下は健在なんでしょうね。

 また、シケの前後に爆乗りすることが多いアオリイカ、こちらは三浦半島佐島方面のティップランが台風後に上り調子、今季最高釣果をたたき出しています。

 週末からは長井沖、内房勝山も解禁。期待しましょう。

 そして毎年、秋の台風のたびに「まだ残ってる?」と気になる相模湾のキハダは、15日の出船再開日に各船で30キロオーバーが上がり、カツオを狙った船ではほぼ全員に行き渡る好調っぷり。

 さすがに数日間コマセを切らすとポイントが沖に移るようですが、アタリは多く、釣り場の海水温は24.5度とのことで、まだまだ続きそう。

 気候変動、温暖化という観点では、のっぴきならない海水温の高さですが、ことキハダに関しては恩恵をもたらしているかもしれません。

 

マダイ好調、底物は濁りが収まってから期待?

 このほか、東京湾ではタイラバも好調を持続、次回のチャンスは25日の中潮からになりますが、今年は例年以上です。
 そうそう、マダイといえば、大原〜茨城のテンヤでも大型が出ています。

 で、台風の底荒れや濁りの影響が出ると言われるヒラメなどの底物は、やはり各地で苦戦気味。今年も順調な出だしだった常磐のマダコも台風後はやや下降気味。

 とはいえ、マダコにかぎって言えば東京湾で台風後もツ抜けやら20杯やら釣れているから、濁り=不調、とは限りません。海が落ち着けば、常磐マダコは一気に急上昇の可能性アリと見ます。

 

 さてさて、台風で慌ただしかった先週から一週間、土曜日こそ雨予報が出ていますが、今週末の海は穏やかであってほしいものです。

 知らぬ間に緊張を強いられていたのか、こんなときに釣りをすると、夜、ふと肩の力が抜けて楽になったりします。

 で、しみじみ思うんですよね、大変なときだからこそ、遊びが必要だと。

 ぜひ、釣りへ出かけて、心をほぐしてくださいね。

 それではみなさん、今週こそ、よい週末を!