◎尾川 泰将

 

 空を飛んでく爆撃機を見上げながら「釣りへ行こう」……ホントか嘘かは知りませんけど、米国の文豪アーネスト・ヘミングウェイが語った言葉、だとか。
 時は朝鮮戦争〜ベトナム戦争、米国の若い兵士が最前線で相手を殺し、死んでいった時代のようです。本土、ハワイ、オキナワ経由で空へ海へと旅立つ若い兵士たちに、戦争なんてうっちゃって、釣りに行ったほうがよほど幸せ、というメッセージなのでしょうか?

 

 Wednesday尾川です。

 Blowin' In The Windをぐるぐる頭の中でリピートさせながら、深そうな言葉の意味合いをめぐらせていたら、
「ん? なにコレ」
 寝ぼけ眼もクワッと開く、かみさんの刃のように突き刺さる声。

 


 

 手にあったのはプラ用のゴミ箱に捨てた、おっぱいスッテのパッケージ。怪しいアダルトグッズと思ったらしいんですな。よじれる腹を押さえつつも、へらへら話すと余計に誤解を招きそうな気配が……。
 なので、しごく普通に淡々と、冷静かつ真面目な声で、機能、効能、釣り方を解説してやりましたところ、釣りにまったく興味がないのでスーッと逃げていきましたよ。

 逐一書き連ねるのはやめときますが、釣りの道具や用語にはエロっぽいネーミングや隠語がたくさんあります。ケンサキイカ&ヤリイカ用ぷにゅぷにゅ素材のこのスッテもその代表。ヤマシタの企画開発担当者とゴーサインを出した上層部にあきれながらも拍手喝采、脱帽です。

 そんな言葉遊びができる釣り、そしてあのころはとても大らかでした。ハラスメントにコンプライアンスと面倒くさ〜い今なら間違いなく却下でしょう。個人的には「青年よおっぱいスッテをいだけ」と真顔で語るジジイになってやりますがね。

 さぁ、あとひと踏んばり。仕事も釣りも年末に向けてがんばりますかと思っていたら、なーんと早くも三浦半島長井の小見山丸が「本日マルイカ捜索」との報。くわしい結果は船宿HPでどーぞ。

 ま、ダメでもともと。

「釣れない時は、魚が考える時間を与えてくれたと思えばいい」


 おっぱいスッテをつまみに、フローズン・ダイキリをなめながら、再びヘミングウェイのお言葉らしきでキュッと締めさせていただきます。

↑本日ヤリイカ交じりでトップ15杯、最大水深150メートル……とのこと(画像は発射!or 潮吹き! どうぞお好きなイメージで)