◎沖藤武彦

 はい! 先週お伝えしたとおり、今週は2月8日(土)〜9日(日)にインテックス大阪で開催された「フィッシングショーOSAKA2020」の私的レポート。

 出展社数170、総コマ数854。4つの会場に分かれて展示されるのですが、そのうちの1会場は丸まるイベントと釣具即売会。先だって横浜で開催された「釣りフェスティバルinYOKOHAMA」とならぶ国内最大級の釣りイベントです。

 では、行ってみましょう!

 土曜日の一般公開が始まったとたん、大賑わいです。とくに釣具の即売会があるので朝イチダッシュを決めるべく並んだ人も多かったとか。ちなみにこの日、大阪は冷え込みました。 

  気になる竿やリールを手に取れる機会ってそうそうないですからね。みなさん真剣です。

 そんな中、剛竿をブチ曲げて異彩を放っていたのが「剛樹」です!

  剛樹専属フィールドテスター・金本俊哉さんが渾身の力で絞り上げている剛樹ロッドの曲がり。凄いです。もはや大阪出展というより大阪制圧、大阪上陸、大阪蹂躙、シンゴジラです(スミマセン!)。

 一見、フィールドテスター・細山和範さん(料亭「汐風」店主・本誌連載「魚料理の神髄」と同YouTube動画に出演)が指一本でラインを止めているイリュージョンのようにも見える写真ですが、実はこれ、細山さんの後ろで弦巻剛社長がこちらも渾身の力でラインを引っ張っているんです。

 つまり、伝説的大物釣り師2人が剛樹ロッドを介して引っ張り合い、テレビにも出演している一流料理人がドヤ顔を決める、というレアな構図なんですね。こんな組み合わせは剛樹以外では見られません。

 いやいや、マジメなハナシ、剛樹ロッドをズラッと並べて手に取れる機会はありませんから、来年はぜひ横浜、大阪両方で出展してほしいものです。

 また、さすが関西、テンヤタチウオ関連のタックルも大人気です。

  シマノブースでは〝ジャスティス〟立野義昭さんが新製品をアツく説明。気さくながらモノにはシビアな目を持つ関西のおっちゃんと、楽しくバチバチ質問&説明を繰り返しておりました。

 と、テンリュウブースを見てみれば、本誌根岸発行人がなにやらロッドを物色中。同社の舟木さんに色いろ質問攻め。

  発行人が注目していたのがこれ。

 「レッドフリップ リアクション-テンヤ」のNEWアイテム「RF2342S-HS」。もう、買いそうな勢いでしたよ。

 瀬戸内海・岡山県の笠岡発祥の、激しくシャクってリアクションバイトを誘う「リアクションテンヤ」に対応した一つテンヤロッドの、ざっくり言えば「硬め」のバージョン。

  で、MLとMを使ったことがあり、MLを使っている私としても気になって手に取ってみたわけです。

 むむ……この「H」、現在のテンヤのトレンドにピッタリハマる竿ですよ。

 たとえば今、外房〜茨城のテンヤ船ではその日、その時の状況で2〜18号まで幅広くテンヤを使います。そんなときに1本でこなせる竿の条件が「穂先が敏感で」「穂持の立ち上がりがよく」「胴がブレずに強く」「手の延長のように強くしなやかな元」を持っている竿。

 誤解を恐れずに言えば、トレンドは7:3から8:2に移っていると言えます。

 加えて、東京湾で一つテンヤをやろうと思えば、常時10〜20号のテンヤでシャクることになります。その際、この竿がピッタリです。

 って、おれがほしくなっちゃいましたよ。

 ちなみに岡山県の笠岡は私の父の郷里・福山のお隣で、備後文化圏。今度行ってこようっと。

 さて、横浜のときも書きましたが、個人的に気になっているのがSLJ=スーパーライトジギング。

 もうね、会場で目移りしちゃってしょうがないっすよ。

 その中でも注目したのがオリムピック。

 オリムピックは沖釣り用の「INDIVI」シリーズ(とくにキスね)やティップランエギングで超繊細超軽量のトレンドを先取りしたヘンタイチックなロッド「カラマレッティ エサゴナーレ」を世に出したメーカー。

 名前こそマイクロジギングですが、この「PROTONE」マイクロジギングモデルはファスト(先調子)とスロー(胴調子)の2タイプで、それぞれMAXジグウエイト50、100g、さらにファストは120gと絶妙なクラス分け。

 関東ではボトムを狙うことが多く、南房のマダイ狙いや外房のドテラでは80gを使うことが多いので、ファストの「GPTS-632-2-MJ」かなあ……価格は2万9500円ね、なるほど。

 なんて手に取って考えちゃうわけです。いやあ〜楽しいわ!

 といった感じで会場でSLJロッドを物色していたのですが、グッときたのが「ZENITH」の「ゼロシキ スーパーライト スペックTZ」シリーズ。

 新製品の「70SUL-FC」もメッチャいい感じなのですが、胴の間での取り回しや、ブリ系青物が食ってきたときも考えると、やはりまずは短めで粘りの強い「62SUL-SG」かな。

 右が使用ジグMAX80gの「SUL」、隣がMAX100gの「SL」。これがまた迷うのですが、バッドが強く、粘り強い竿なので、PE1.2号まで対応、ブリや大ダイも上げられる(SLはさらにパワフルです)「SUL」でいいかな!

 え? 買うような口ぶりじゃないかって、へへへ、実は注文してきちゃいましたよ!(本当です)

 とまあ、取材しているのか遊んでいるのか分からないワケですが、遊びゴコロといえばケース類もたまりません。 

  MEIHOを始め、いつもお世話になっているケースを見るのって本当に楽しい。一般公開日はケースメーカーのブースは常に人だかりでした。やっぱりみんな、ケース好きだよね!

 で、業者日である金曜日には、2階にて日本釣振興会主催・東京大学・山室真澄教授の講演会「魚はなぜ減った?〜見えない犯人を追う」が開催されました。

 淡水域で魚類が減少する主原因が外来魚とする説の矛盾点を指摘し、水草の種類によっては侵略的外来種で環境を変えてしまうこと、それを外来魚駆除と同様「よいこと」として移植を推進してしまっている例から、本来、水草や水辺の植物と魚などの生物と「人間」が(刈り取りや清掃などで)関わることで維持されてきた里川、里池と呼べる生態系の成り立ちを紹介、その関係が崩れた要因として除草剤の登場を指摘、その成分や弊害によって魚類が減っていることを科学的に紹介する、という内容です。

  レイチェル・カーソンの『沈黙の春』を思い出しつつ聞く、実に濃い講演だったのですが、予定よりも時間が長引いてしまい、私は打ち合わせのために中座、除草剤の話から先、先生がたたみかけるように結論に至る部分を聞いていないんです(配布された資料はすべて読みましたが)。いやはや、残念です。

 講演の内容は「つり人社」にて紹介していただけるはずですので、ぜひ『月刊つり人』や『つり人online』などをチェックしてみてください。

  ちなみに、会場には外房大原の船長もいました。

 帰りの新幹線、間に合ったのかな?

 というわけで、会場に話を戻しますと、バレーヒルブースにはティップランエギングの開発者・大西さんと西田さん。大西さんが手にしているのは新製品のSLJ用ジグ。

 フックを付けるだけでどのように泳ぎのバランスが変わるのか、色いろ話をうかがいました。ちなみにイケメン西田さんはブース内にてお客さんと接客中。

 で、気になるといえばSLJのほか、イカメタル(あるいはメタルスッテゲーム)ですよ。 

  ぷにぷに系メタルスッテ「ぷにりん」やオモリグ専用餌木型スッテ「おもりん」など、今年のバレーヒルは「りん」で攻めてます。

 大西さん、西田さん、関東に来たら一緒に釣り行きましょうね!

 そして大阪で出会えたタイラバのレジェンド船長が「ガイドサービス セブン」の宮崎晃船長。

  遊動式タイラバ「セブンスライド」を生み出し、数かずのメソッドを確立させてきた宮崎船長が今年、新たにリリースするタイラバが「ポルポー」。

 マダイ、とくに大ダイが、タイラバを何と認識して捕食しているか? その問いへの宮崎船長の答えが、タコ。そこで、リアルタコタイラバの登場となったわけです。

 SLJ用の新しいジグも同様に、何を食べているか? を突き詰めたリアルジグで、その名も「MAKIE マキエ」。色も形も動きもキビナゴそっくりです。

 いやあ〜、タイラバとSLJって、やっぱり同じ船で研究できるし、色んな発見があるよなあ〜!

 なんて思っていると黒山の人だかり。そこは「XESTA ゼスタ」のブースで、メタルジグやロッドが勢ぞろい。

 南伊豆下田の「下田漁具」といえばご存じの方がほとんどでしょう。その下田漁具が、新世代ルアーブランドとして立ち上げ、年々人気と知名度を獲得してきたのが「XESTA」なんです。 

  で、スロジギではいつもお世話になっている(もうね、価格がお手ごろなので助かるんですよ。これ、下田漁具のキンメダイさがりも同様で、同社のいいところですよね!)XESTAのSLJ用ジグといえば「スロービーSLJ」が定番。

 それに加え今回はオールマイティモデルの「フラップSLJ」と、スリムなシルエットでイレギュラーなフォールと小刻みなアクションを演出する「フレアSLJ」を発表。

 ちなみにこれらのジグは地元の南伊豆のほか、相模湾のホウボウ船などでもテストされているとか。そう、知っている方も多いと思いますが、今期のホウボウ船は、SLJがにぎやかで、好成績だったんです。

 開発部の奥津さんも、もちろん大の釣り好き。近いうちに誌面にも登場してくれることと思います!

 おっと、SLJで誌面に登場した方といえば、この方!

  すしざんまいの木村社長よろしくカウンターの向こうからジグをアピールする「タナジグ」の田中代表です。

  三面体を採用したユニークなメタルジグ、「あいや〜じぐ」シリーズと、イサキ狙いの元祖SLJ、そしてマダイ、青物、最近はビンチョウまで、あらゆる魚をメタルジグで楽しく釣ってしまうタナジグ。

 とにかくアイデアが豊富なメーカーなのですが、今回も出してくれました!

 タイラバ用ヘッド「あいや〜玉 ハイブリッド」。

 鉛と樹脂のハイブリッド構造で、鉛105グラムと同じ形状で、30、40、50g。つまり、「軽くて潮受けのよいヘッド」で、独特のカラートーンも演出しているというアイテム。 

 いわゆるディープのタイラバではなく、タイジグやSLJなど、キャストして斜めに引いてくるときに、この軽さとアクションが威力を発揮するわけです。

 タングステンなどの「小さく重く」とは逆の発想、さすがです。

 とまあ、色いろ見ていく中には、モビルスーツのようなルアーがあったり(昔よくありましたよね。でもこれ、全部実釣で釣れているそうです)。

 

 あ、思い出した!

 我がつり情報社もバスブームで『BBタイミムズ』を製作していたころ、ポケモンとのコラボルアー作ったんですよ。まだ自宅にピカチュウとか、カメックスだっけ?のポッパーとかあるはずなんだよねえ。 

 で、腹が減ったら昼飯、となるわけで「大阪だからよ、肉吸いにすんべえ」と発行人。

 小腹満たしてイベント会場に行ってみれば、マス釣りや体験型釣りゲームのほか、各種釣り教室も開催されています。

 これがなかなか実戦的な内容で、よく考えられていました。おれも勉強しなくちゃなあ。

 で! フィッシングショーOSAKAといえばこれ、釣具の即売会。例年のカオス度から比べると、今年はそれほどでもなかったかな。

 とはいえ値札と商品みればテンションは上がります。タレントのSさんもガン見。 

 「げ!タングステンのタイラバって、こんなにするの?」とおっしゃっていましたが、それで半額ですから!

 即売会から展示に戻って、こちらは日本釣り用品工業会の「ライフジャケット無料点検コーナー」。毎年続けているだけあって、年々持参する人が増えているように見受けられました。 

 ライジャケつながりではこちらも気になったぞ!

  これ、モバイルバッテリー式ヒーター付きの膨張式ライフジャケットなんです。

「SEA WOLF」という韓国のメーカーが展示していたもので、写真の試作品のほか、韓国では実際に発売されているモデルもあります。

 ただ、日本の船舶用には、国交省の認可を受けていない(つまり桜マークがない)ため、使えません。

 とはいえ、自由な発想を形にした商品は見ていて楽しいもの。色いろ質問してみましたが、社員の方のやる気と聡明さが実に印象的でした。

 日本でも、固形式にファンの付いた「夏も涼しいライフジャケット5000円(桜マーク付きタイプA)」なんてのを開発できないものかなあ!

 と、伸びやかなアイデアという点では、横浜にもあった「ぎょぎょウオッチ」。これも秀逸です。

  魚探とスマートウオッチを合体させた商品で、最大70メートル先に魚探を浮かべて受信することが可能。

 マグクルーズという会社が作っていて、素朴なブースで親切に説明してくれました。

 やっぱり、遊びとか趣味の「モノ」を作っている人は年齢に関係なくいいですね。話をしていて本当に楽しいです。

 これでお値段1万9800円(+税)ですから、売れてほしいなあ!

 で! 横浜にも出ていたアイデアグッズといえば、コレも外せません。

 ワンタッチで遠近が切り替わる魔法のような眼鏡、「タッチフォーカス」です。 

  これには本誌発行人もクギ付けで、ピコッとボタンを押しては「おおー」と感動。

  眼鏡をずらさなくてもスマホが見えるぞ!

 老眼街道まっしぐらの私も試してこりゃいいわい!と盛り上がったところでお値段聞いたら、25万円から、とのこと。

 ……ううむ。

 と、うなりつつ、とりあえず座って一休みしたらそろそろ帰りますか……。

 ん? なんだ!?

 ものすごく座り心地がいいぞ!

 と思ったら「サニー商事」の「フィッシングジェルシート」じゃあ〜りませんか!

 しかもコレ、形と座り心地が微妙に、いい感じに変わってますがな!

 詳しくは本誌でも現場で使ってから紹介したいと思いますが、沖釣りだけでなく通販でもメガヒットぶっぱなした「ジェルシート」が、改良を加えて新登場しました。

 使っていて「ここはこう変わればなあ〜」と思っていたトコロが変わっているらしいですよ。直感的に分かる違いとしては、手触りがサラッとして、微妙なコシがあるってことです。

 ハッキリ言っていい!

 帰りの飛行機に持ち込めば、ファーストクラスになったのになあ……と今さらながら後悔している今日このごろです。

 さてさて。

 駆け足ながらめっちゃ長く、ほぼ特集レベルの長さになってしまった今回の金曜版を最後までお読みいただいた皆様、本当にありがとうございます。

 今回のフィッシングショーOSAKAは、新型コロナウイルスの影響もあって入場者数は前年比77%の4万5907人でした。

 これが多いか少ないかは別として、わずか半月前の横浜が前年比106%であったことに鑑みれば、大阪での減少分のほとんどは「行きたかったけどやめた」人だったのだと思います。

 それら「行きたかったけどやめた」皆さんは、とても残念な思いをされたと思います。

 その思いは、主催者も、出展社の社員も、インストラクターたちも、我われメディア関係者も同じです。

 やはり残念でした。頑張ったけど、ちょっと残念だったのです。

 だからこそ来年、無事に開催された日には、皆さん、会場に行って、思い切り楽しみましょう。

「来年は6万人を目指します」

 主催者のコメントは、強がりでもなんでもありません。

 皆さんや我われ業界全員の残念な思いの先を見据えた、未来です。

 今はじっとガマンして、来年、弾けましょうね!

 

 それにしてもビールとたこ焼きが当たり前にある街っていいよなあ。

 それではみなさん、よい週末を!

 最後にごく私的な写真を。