◎尾川 泰将

 うわわ、根掛かりかよ……(ギュンギュン、ギュイーッ)……あ、取れた!

Wednesday尾川です。

 アマダイ&オニカサゴを釣ってるときによくある「根掛かりしたけど取れたよっ」て場面で、こんなイガイガの奇妙な物体が掛かってきたことありませんか?

 

 トゲトゲに毒でもありそうな風貌なのでハリスを切って捨てちゃうのが普通でしょうが、この写真を撮ったときはマジマジと眺めまてみました。
 動きは全くなし。雰囲気としては抜け殻か?
 これまでも数回、ハリに引っ掛かってきたことがあるんですが、今回こそは正体を確めようと持ち帰り、博物館の先生に見てもらいました。かれこれ四年前のことです。
「曲がってる先端に、イガイガ。これは、深場の海底に棲むイソメの仲間です」
「え、こんな硬いイソメがいるんですか?」
「あ、いや、これは棲管と呼ぶ、いわばイソメの家ですね」

 ピンときたのは釣りエサとして有名なフクロイソメ。あの類の仲間ってことでしょう。

 して、こいつの正体はナナテイソメ科 Onuphidaeのイバライソメ Protodiopatra willemoesii (McIntosh, 1885)とのこと。イガイガを上にして海底に立ち、その中に本体のイソメがいるようです。

 もしや……その本体のイソメを付けエサにしたら、アマダイ&オニカサゴが入れ食いになるんじゃないの!?
 九分九厘入手困難な、超特エサかもしれませんね。