気軽にライトに楽しもう東京湾奥出船のアカムツ

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白身のトロと称されるほど脂が乗るアカムツは食にこだわる釣り人垂涎の的。通常は水深150〜250メートル台の、いわゆる中深場の釣り物でオモリ200号前後を使うのだが、東京湾のアカムツはちょっと違う。水深250メートル付近から80メートル台の浅場にいたる広範囲のポイントを、オモリ100号前後の比較的ライトな道具立てで気軽に狙えるのが特徴だ。 その先駆け的存在である金沢八景の新修丸では今シーズンも30センチ級を中心にトップで3尾前後釣れている。これから初夏に向けて釣果が上昇していくのが例年の傾向。注視していこう。

 

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※料金等データは2021年3月のものです。

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東京湾奥出船でアカムツ狙いゲストにクロムツ、ドンコetc.

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その貴重さから海の宝石と呼ばれ、最高の食味から白身の大トロとも称されて、沖釣りファンに人気急上昇中の魚がアカムツだ。 めったに魚売り場ではお目にかかることはないが、たまに売られている立派なアカムツの値札は目が飛び出してしまうほどで、とても買い物カゴに入れる勇気は湧かない。 そんなアカムツ乗合の出船エリアは遠州灘から茨城まで各地にあるが、実は東京湾でもアカムツが釣れるのをご存じだろうか。 東京湾でアカムツ乗合を出している船宿の一軒が金沢八景の新修丸だ。 都内で暮らす者としては、港が近く、釣り場までの航程も短く、出船時間も7時過ぎとゆっくりしているため気軽に釣行できるのがうれしい。

 東京湾のアカムツの主な釣期は3〜8月で、新修丸は今年も3月から乗合船をスタート。釣れるアカムツのサイズは25〜35センチ前後で、いい人で5尾釣れた日もある。 シーズン序盤は水深280メートル付近も狙うために、道糸を300メートル以上巻いた電動リールが必須。新修丸の取り決めでは、道糸はPE2号以下で、オモリは100号と120号を潮具合や水深によって使い分けているとのこと。 3月中旬、釣友の米光さんとアカムツを求めて新修丸へ。 10名の釣り人を乗せ、新明正義船長の操船で7時20分に出船。前日は首都圏で冠水した地域もあったほど大雨が降ったが、当日はウネリが多少残っているものの晴天で風もなく海は穏やかだ。 8時ごろ最初のポイントの久里浜沖に到着。「水深160メートルです、100号のオモリでやってください」とのアナウンスでスタート。 同宿はサバの切り身エサが用意されているが、受付でホタルイカも販売しており、ほとんどの方がハリにサバとホタルイカを抱き合わせで付けている。

 私たちもホタルイカはもちろん、カタクチイワシ、サケ皮、食紅に漬けたイカの切り身などを持参しやる気満々だ。 東京湾のアカムツ釣法はいたってシンプル。底付近に仕掛けをキープし、ゆっくりと竿を上下して誘うのが基本で、時折10メートルほど巻き上げ、ユルユル誘い落とす方法も有効だ。 アタリがきたら、ひと呼吸置いて大きく竿を持ち上げて合わせ、一定の速度で巻き上げる。口周りが弱く海面でのバラシが多い魚ゆえ、取り込みはタモを頼むのが賢明だ。 1投目から左ミヨシ2番の鈴木さんが巻き上げ開始。幸先よくアカムツのお出ましかとカメラを構えていたのだが、上がってきたのはキラキラと銀色に輝くタチウオ。 続けざまに右胴の間の神田さんもタチウオを抜き上げる。 船内で、ハリスが切られた! と叫ぶ声が各所で上がったところで小移動となった

きたぞ本命!
 再開した直後、右トモ2番の服部さんが30センチ級のクロムツ(ムツ)を釣り上げ、左トモ2番の石垣さんも同級をゲット。その後、船内2〜3尾のクロムツを追加したところで、「深場に行くのでオモリを120号にしてください」と船長がアナウンス。 10分ほど南下し、「水深275メートルです、どうぞ」の合図で投入。 すぐに右胴の間の神田さんがヒットさせたが、竿の曲がり方を見るとやけに重そうだ。 その魚の正体は1メートルはあろうかという特大のアナゴの仲間で私もビックリ。 このころから私も竿を出し、コツコツとくる小さなアタリに合わせを入れて巻き上げると、定番ゲストのドンコが上がってきた。 ほぼ同時に巻き上げていた米光さんも、おそらくドンコだろうと油断していたのだが、浮かび上がってきた魚影がオレンジ色でビックリ。

 アカムツだ! と確認したときにはタモが間に合わず、海面をユラユラさせるとバラシのリスクが高いので、「そのまま抜き上げて!」と米光さんにアドバイスし、無事取り込み成功。 船中1号のアカムツは30センチジャスト。イワシとサバの切り身を抱き合わせた下バリに食っていた。 その後、しばらくの間はドンコが各所で釣れ上がっていたのだが、左胴の間でオマツリをほどいていた船長が、急いでタモを手にしてすくい上げたのは33センチのアカムツ。釣り上げた高橋さんはうれしそうだ。

ムツは誘い上げが吉
 いよいよ時合到来! と色めき立ったものの、後が続かない。船長はあちらこちらとまめに移動してくれたが、アカムツからのラブコールは届かない。 原因はほとんど動かない潮と、前日の大雨も影響しているらしく、「今日は今シーズンで最低ですよ」と船長もお手上げ状態のご様子。 沖揚がりまで残り1時間となったところで、「浅場に行きましょう」と水深150メートル付近に移動。

 すると、潮もトロトロと動き出し、魚の活性もアップ。姿を現したのはムツで、あちらこちらで竿を曲げる。「底から5メー東京湾奥出船でアカムツ狙いゲストにクロムツ、ドンコetc.◉東京湾金沢八景発➡久里浜沖本誌APC(東京)/鈴木良和Yoshikazu Suzuki▲東京湾奥のアカムツの釣期は8月ごろまでトルまで誘って!」と船長の檄が飛ぶ。 これに応えて左ミヨシ2番の鈴木さんが積極的に誘い上げ、ムツをダブルで釣り上げ気を吐く。 このとき私はすでに道具を仕舞っていたので、米光さんの竿を借りて、底から5メートル上までゆっくり巻き上げ、続いてゆっくり底まで落とし込む誘い方を伝授すると、ガガガッと明確なアタリがきて40センチのムツをゲット。 米光さんはこの方法でもう1尾追加。船内それぞれ2〜3尾のクロムツを手にしたところで14時に沖揚がりを迎えた。 当日は前日のシケの影響もあり食い渋ったが、今後は水深100メートルを切る浅場でも釣れ始めるので、ぜひ東京湾のアカムツにチャレンジしていただきたい。


新修丸

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1045・784・2636

▼▼料金=アカムツ乗合一人1万500 円(サバの切り身、氷付き)。ホタルイカ1パック800 円▼備考=予約乗合、7時20 分出船。カサゴへも出船

 

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