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沖釣りの中では、最も深い水深1000メートル付近に生息するのがベニアコウ(オオサガ)。 関東エリアの主な釣り場は南房や相模湾にあり、取材した相模湾真鶴岩港の緑龍丸はスポットでベニアコウ乗合に出船。釣り場は港から30分ほどの真鶴沖が中心で、急深な海底地形を擁する当地は驚くほど岸に近い海域でベニアコウが狙えるのが特徴だ。 タックルはアコウやキンメ釣り用のPE10〜12号を1400メートル以上巻いてある大型電動リールと深場竿の組み合わせでチャレンジできる。 同船の釣期は12〜5月、例年7〜8キロ級の大型を交えて数が上がるようになるのは3〜4月ごろで、最盛期はまさに今。ベニアコウ乗合は2人以上で出船が確定するシステム、予約はお早めに!

 

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※料金等データは2021年3月のものです。

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意外と身近な深海の至宝真鶴沖にベニアコウを追う

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狙うフィールドは水深10狙うフィールドは水深1000メートル。ターゲットはスーパーディープの代名詞、ベニアコウ(オオサガ)だ。 関東の遊漁船でのベニアコウ釣りといえば南房エリアでごく一部のマニアに親しまれていた釣り物だった。けれども近年は相模湾エリアからも遊漁船が出るようになり、タックルの進化もあいまって、かなり身近な釣りになりつつある。 それでも船中型を見ることができれば御の字のターゲット。一粒の深海の至宝を引き当てるようなこの釣りはロマンを求めるマニアックな釣りに変わりない。

 訪れた船宿は「かながわの橋100選」に選ばれている岩大橋が架かる真鶴岩港の緑龍丸。 平成7年、深海釣りのカリスマ、ディープマスター・テル岡本氏により相模湾の遊漁で初めてベニアコウを釣り上げたのがこの緑龍丸と記憶している。 以来、そのキャリアは25年。相模湾のベニアコウ狙いにおいては、老しに舗せ中の老舗といえよう。 シケ日が多いこの時期、ようやく出船のチャンスを得られたのは3月中旬のこと。 集合時刻の5時に私を含む4名の釣り人が乗り込んだ。 右ミヨシから小倉さん、下大川さん、Hさんと並び、私は左ミヨシに入る。 西は川奈沖から東は三浦半島方面まで、相模湾全域のベニアコウポイントを知り尽くしている向笠船長が目指したポイントは、航程30分ほどの真鶴沖。

 至近の釣り場ではあるが、移動時間が少ないのはありがたい。その分、釣り時間に費やすことができ、この場所なら一日6〜7回の投入が可能とのこと。 オモリ600号(もしくは鉄筋オモリ2.5キロ)、ハリ数は10本以内が船宿のルール。 投入は掛け枠を使い、出船までに2組の仕掛けにエサを付けておく。仕掛けを上げるとき、船ベリにハリを並べなとき、船ベリにハリを並べながら回収し、次の流しの合間に掛け枠に巻き戻して再使用する。ひどいオマツリがなければ2組の仕掛けを交互に投入するのが同宿のスタイルだ。

きちゃった!!大本命

 投入は船長の合図で、右ミヨシ、左ミヨシ、右胴の間、右トモの順番。魚探に表示されている水深は915メートルだが、海底の地形は800〜1200メートルの急斜面とのこと。「オモリが着底したら糸フケを巻き取り、底タタキをしながら、たまに10メートルくらい巻き上げて底ダチを取り直してください」

勢いよく出ていた道糸のス 勢いよく出ていた道糸のスピードが徐々に遅くなり、オモリを投じてから十数分、ようやくスプールの回転が止まった。潮の流れが緩く着底は明確だ。 1流し目は船中アタリなし。潮回りしての2流し目、私の愛竿ディープインパクトが深海からのシグナルをキャッチ。

 同宿ではアタリがきてからの巻き上げは各人自由としているが、本命と確信するに乏しい小さなアタリだったので、そのままの状態で待ってみた。 20分ほど流したところで巻き上げの合図。リールのスイッチを入れると何やら魚は掛かっている気配。 外道ならハイスピードで巻き上げたいところだが、もしかしたら……という気持ちでスピードを加減し、ドラグを調整しながら巻き上げる。 巻き上げが終わり、仕掛けをたぐり始めると、浮き上がってくるほどではないが、浮力を感じる手応え。澄んだ海中に見えてきた魚影が徐々に赤くなっていく。

 えっ、もしや!? 仕掛けをたぐるにつれ、それが確信に変わる。「うわっ、きちゃった!!」 大本命のベニアコウである。ベニと称するにふさわしい艶やかな真紅の魚体は、後検量3.1キロ。10 キロ以上に成長するベニアコウとしては小ぶりではあるが、オデコ覚悟のターゲットだけに、このうえないうれしさが込み上げる。 ちなみにこれは、キモ付きのスルメイカのゲソを付けた一番下のハリに食っていた。

特エサはヤリイカ

 3流し目はトモのHさんにアタリ到来。深く澄んだ海中から浮上したのは、これまた3キロ級の大本命。 Hさんは顔出しNGとのことで、同行の小倉さんが代わってモデルに。何はともあれ、貴重な画が撮れてひと安心だ。 4流し目は胴の間の下大川さんとまたもやHさんにアタリ。先に上がったHさんは3キロ級が食っていたが下大川さんは下大川さんは途中で外れてしまったようだ。 ベニアコウは口周りが弱いため、巻き上げ途中の強い抵抗で口切れしてしまうことが多々あるといわれている。途中までは間違いなく魚が掛かっていただけに残念。 5流し目、またしてもHさんにアタリ。浮上したのは5キロ級。「やっとベニらしいサイズが上がったね」と船長もうれしそうだ。 Hさんのエサはパラソル級のヤリイカを縦にカットし、スリットを入れたもの。長さがが30センチ以上あり、潮に乗ってよく踊り、いかにも食いがよさそうなエサだ。 当日は時間一杯、7投をこなして船中4尾(3〜5キロ)とできすぎの釣果。 向笠船長によると、シーズンを通してベニアコウが一番釣れるのは4月とのこと。深海チャレンジャーよ、行くなら今だ!


相模湾真鶴岩港緑龍丸

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10465・68・1080(詳細は巻末の情報欄参照)▼料金=ベニアコウ乗合一人2万円(氷付き)、エサは各自持参。2人以上で出船確定▼備考=予約乗合、出船時間は電話確認。マダイ五目、 中深場五目、アオリイカなどへも出船

 

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