マゴチ1

東京湾奥鶴見の新明丸は周年マゴチを看板に掲げる老舗船宿。湾奥出船では、この時期の釣り場は例年海堡周り〜大貫沖が主戦場だが、新明慶樹船長によると最近は富岡〜小柴沖が好調とのこと。4月下旬の取材日も富岡沖の水深10〜20メートル前後を中心に狙い、61・5センチの特大サイズを筆頭にトップ8本と絶好調。アタリも多く今後に期待の持てる一日となった。 ただし、アタリを出すためにはエサ付けが重要。エサのサイマキ(小ぶりのクルマエビ)を海底付近で元気に泳がせることがマゴチへの最大のアピールになるからだ。 マゴチはエサの付け方一つでアタリの数も変わってくると言われている釣りだから、慣れていない人はまずは船長にエサの付け方を教わろう。

 

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※料金等データは2021年5月のものです。

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東京湾のマゴチ上昇気配富岡沖の浅場で良型連発

マゴチ2

4月下旬、早朝。13名のマゴチフリークを乗せた第十新明丸は、ゆっくりと鶴見川を下る。新明慶樹船長は、横浜ベイブリッジをくぐると西へと舵を切った。「ここんとこ、海堡周りより富岡沖のほうが調子がいいんですよ」 隣に座る常連客の三田さんが、そう教えてくれた。そして40分ほどの航程でポイントに到着すると、たしかにそんな展開になった。「はい、いいですよ。水深は約20メートルです」 船長のアナウンスが終わらないうちに、12個の仕掛けが下ろされる。

 するとその直後、三田さんが力強く合わせた。半月状に曲がり込む竿を、まるで折ろうとするかのような魚の暴れっぷり。これに対抗する三田さんは、無理せずゆっくりリールを巻く。船長にタモ取りされたのは、50センチオーバーのマゴチだ。 いきなりの良型登場に驚いていると、左トモの山田さんにも40センチオーバー。続いて舳先でワームをキャストしていた海老原さんにもマゴチ。三田さんが怒涛の4連発を見せると、山田さんも2本目を釣り上げた。 その後もアタリが止まらない。右ミヨシ2番の浜村さんが45センチを釣ると、左胴の間の岡本さん、右トモ2番の手島さん、右胴の間の大野さんと続く。 ここまでおおむね1時間。マゴチ釣りが大好きな私は、このあたりで我慢の限界を超える。仕掛けを下ろしてタナを合わせると、コツンと早くもアタリ。そっと竿先を下げながら送り込む。コツコツ、コツコツ。まだ合わせるには早い。ドキドキしながらジッと我慢していると、グイッと竿先が持っていかれた。

 今だ! ありったけの力で合わせると、ギシッと竿が悲鳴を上げた。アタリから合わせるまでの駆け引きを制したあとは、引きの強さを誇る暴れん坊との格闘。これぞまさしくマゴチ釣り。最高に楽しい瞬間だ。 三田さんが差し出してくれたタモに収まったこのマゴチも40センチオーバーだった。

頻繁なタナの取り直しが吉

 三田さんが1キロ級のヒラメを釣り上げ、その撮影中にわれに返る。今日は取材なのだ。未練たっぷりで、再び釣り座を離れる。カメラを手に船中を回り始カメラを手に船中を回り始めると、左胴の間の岡本さんが53センチの良型を釣る。この撮影を終え反対舷に回ると、右トモの西野さんがマゴチと格闘中だ。 女子大生の西野さんは大の釣り好きで、この日も単独釣行。すでに釣り歴は10年ほどで、今ハマっている釣り物がマゴチだという。数日前に60センチオーバーを釣ったというから、なかなかの猛者とお見受けした。 再び釣り座に戻り、私も2本目のマゴチを釣る。この2本目は、着底直後にアタリがきた1本目とは異なり、意図した方法でアタリを出させた会心の1本だ。 サイマキ=生きエビは、イワシや小アジなど自ら泳ぎ回る小魚と違って、それほど活発に動かない。発に動かない。なので、タナに合わせたあとジッと待ち続けているだけでは、サイマキが長い休憩時間を過ごすことになってしまう。 そこで、しつこいくらい頻繁にタナの取り直しをすることで、サイマキを刺激してできるだけ動かしてやる。 これは、ハリに付けたサイマキをオケに入れ、仕掛けをちょこんと引っ張ってみると、サイマキが足を動かす様子が見られるので簡単にイメージ見られるので簡単にイメージできる。 マゴチは海底にへばりついている魚だが、ヒラメのように宙層に浮いているエサに飛びつくケースは少ないと言われている。さらに、ポイントは必ずしも平たんではないので、マゴチの眼前となる底付近に生きエサをキープするためにも、頻繁なタナの取り直しが必要になる。こんな考え方で釣った2本目だった。

デカイのきたぞ!

 船長が慌ただしく舳先に駆けつける。見ると、海老原さんのロッドが大きく曲がり込んでいる。必死の形相でスピニングリールを巻く海老原さん。タモを手に、海面を凝視する船長。派手な水しぶきを上げて海面に現れたマゴチを、船長が絶妙なタ船長が絶妙なタイミングですくい上げる。ドサッ! と重量感のある音を立てて足元に下ろされた。「デカイ!」 周囲から声が上がったこのマゴチは船中最大61・5センチ。海老原さんは両手を強く握りしめて、歓喜のポーズを見せた。

 その後もポツリポツリとマゴチが釣れ、15時に沖揚がりを迎える。 この日の釣果は船中31本、一人0〜8本でトップは三田さん。サイズは38〜61・5センチで、食べごろサイズの40センチ級が主体だった。「今日も水深10〜20 メートルのところでやりましたけど、これからさらに浅場になってこれからさらに浅場になっていきます。アタリもより分かりやすくなりますし、マゴチ自体も活発になってきますから、もっともっと数釣りが楽しめるようになります」 鶴見川に向けて船を走らせながら、船長はそう話してくれた。東京湾のマゴチは、いよいよ浅場で釣れ盛るトップシーズンに突入する。こうご期待!


東京湾奥鶴見  新明丸

マゴチ3

1090・3519・1111(詳細は巻末の情報欄参照)▼料金=マゴチ乗合一人9500 円(エサ5匹付き)▼備考=予約乗合。7時半出船。ほかフグ、 シロギスへも出船

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