カサゴ1

相模湾西部の真鶴半島周辺海域は、四季折々の魚が釣れる一級ポイント。根魚の魚影が濃いことでも知られ、地先の岩礁帯ではカサゴの仲間、アカハタやオオモンハタなどおいしいハタ類ほか様ざまな根魚が顔を出してファンを喜ばせる。 根魚五目乗合で出船する真鶴港のさい丸に釣行した当日は、真鶴沖の水深17〜20メートル付近を狙い、20〜30センチ級のカサゴをメインにアカハタやオニカサゴなどが上がり賑やかな釣果を得た。 なお同船ではサバの切り身エサが配られるが、大型のカサゴやハタ類が交じる確率が高いイワシエサを持参するのも面白い。

 

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カサゴもカサゴ&アカハタ、オニカサゴも初夏の真鶴沖で根魚五目に遊ぶ

カサゴ2

豊かな海と森林のかかわりをご存じの方は多いはず。森林の栄養分が海に流れ込むことにより、海藻や様ざまな魚介類に至るまでその恩恵を受けている。豊かな海を作るうえで森林は欠かせない存在だ。 このような森林は「魚つき保安林」と呼ばれ、真鶴半島の「お林はやし」もそれに指定されている。

 さらに真鶴半島の沖に広がる相模湾は、駿河湾、富山湾と並ぶ日本三大急深湾の一つ。つまり岸近くから急に深くなる「どん深ぶか」の海のため、海底からも豊かな栄養分が沸き上がり、タイ類や根魚を始め、シーズンになると様ざまな回遊魚が住み着く一級フィールド。魚種が豊富で、豊洲市場では、真鶴で水揚げされた魚は間違いないと言われるほどらしい。 そんな真鶴のおいしい魚を釣るべく4月下旬、釣友の渡辺さんと真鶴港のさい丸に出かけた。

出足はよかったが……

 今回の取材のターゲットはカサゴやアカハタなど浅場の根魚たち。御守船長によると、数日前には50センチ級のオオモンハタも釣れたとのこと。「うちでは付けエサにサバの切り身を用意しているけど、カタクチイワシが手に入るなら買ってきてください」と事前に船長に言われたので、カタクチイワシとワカサギを持参した。 当日の乗船者は私たち2名と、常連さん3名のグループ。船長の指示で私たちがトモ側に、常連さんグループがミヨシ側に席を取り6時に出船となった。 最初のポイントに5分ほどで到着し、お林の東側の20メートルダチでスタート。 ここは岩礁帯となっており、魚探をのぞき込むと、ノコギリの歯のようなギザギサとした海底が広がっていた。

 さっそく左ミヨシ2番の三宅さんにアタリがきて22センチほどのカサゴを釣り上げると、右ミヨシの宮川さんも同級を釣る。 この勢いでガンガン釣れると思いきや、どうしたものか、その後はポツリポツリ。 そんな渋いなかでも、ベテランの三宅さんは1尾、また1尾と数をのばしていく。 釣り方を見ると、ほかの人より小刻みに竿を動かして常に海底をリサーチしているので、この動作が誘いにもなり、また根掛かりのリスクも減らしているように思えた。しているように思えた。 7時ごろ18メートルダチに移動したがパッとせず、7時半に17メートルダチに移動となった。「やっときましたよ!」と渡辺さんが20センチ級のカサゴを釣り上げると、左ミヨシの中村さんもヒットさせて、ようやく全員型を見る。 しかし本来の調子にはほど遠い状況に、「今日は魚に食い気がないよぉー」と船長もお手上げ状態。潮具合が気に入らないのか、 潮具合が気に入らないのか、はたまた遠くで発生した台風2号の影響なのかは分からないが、我慢の時間帯が続いた。

大移動が大正解!

 8時前、船長は大移動を決断する。真鶴半島の先端にある「三ツ石」を迂回し、お林の南側の18メートルダチに船を回した。 ここのポイントの海底はさらに険しくなっていて、高低差が4〜5メートルくらいある高根が点在している。 しかし、この移動が正解だったようで、ここから一気に好転。三宅さんが24センチを釣り上げたのを皮切りに、皆さん竿を曲げ始める。「これはオニカサゴですよね」と渡辺さんが差し出した30センチ級の魚は、正真正銘の標準和名オニカサゴ(深場で釣れる通称オニカサゴは標準和名イズカサゴ)。 ここで写真撮りの合間に私も竿を出す。 私の仕掛けは自作の1本バリで、ヒラメ仕掛けのミニ版のようなもの。ハリにカタクチイワシを付けて投入すると、さっそくググッときたので、一呼吸置いて竿を立てると竿が曲がった。 心地よい引きを楽しんで取り込んだのはり込んだのは22センチほどのカサゴ。 再投入すると、すぐにアタリがきて合わせを入れると、先ほどより激しい抵抗を見せたので良型を確信。慎重に巻き上げると、なんと渡辺さんと同級のオニカサゴが上がってきた。続いて、「あちゃー、潜られちゃったよ」と宮川さんがグイグイと道糸を引っ張っているのを見た船長が、「無理して引っ張るとハリスが根にこすれて切れるから、いったん緩めて、ころ合いを見計らってたぐってみて」とアドバイス。 すると根から魚が出てきたようで、24センチのカサゴを抜き上げてニンマリ。 宮川さんはさらに25センチと30センチのアカハタも釣り上げてエンジン全開だ。「僕にも赤いのがきましたよ」と渡辺さんも30センチのアカハタを釣り上げうれしそう。 私もアカハタが釣りたくなり誘いを入れているとグググッ。「船長、デカそうです!」と声をかけて巻き上げ始めると駆け付けてくれて、32センチの真鶴サイズのカサゴが無事タモに収まる。「うぁー、切られた」と渡辺さんが悲鳴を上げる。「すんごい引きでしたよー。鳥肌が立ちました」と興奮冷めやらない彼に、「ドラグを締め過ぎていたからだよ。大型のオオモンハタだったかもね」と茶化したのだが、これが他人事ではなくなる。 好調だった食いも潮が止まるにつれて次第に落ちつき、最後は港近くのポイントに移動となる。「よし、ラストスパートだ。オオモンハタを釣って有終の美だ」と意気込む私に、ガガガッと強烈なアタリ。 しかし、うあー、重くて竿が立たない、と思った次の瞬間、プッとスッポ抜け……。「すごい引きでしたねー」と宮川さんに慰められたー」と宮川さんに慰められたところで11時の沖揚がりを迎えた。 食いが立つのが遅かったこともあり、釣果は8〜13尾と数が控えめなものの、カサゴは30センチ級の良型交じりで、アカハタ、オニカサゴも釣れてまずまず。オオモンハタはお預けとなったが、間近に新緑がまぶしい真鶴半島を眺めながらの釣りは気分爽快であった。


さい丸

カサゴ3

10465・68・2761(詳細は巻末の情報欄参照)▼料金=根魚五目乗合一人8500 円 (エサ、氷付き)▼備考=予約乗合。6時出船。 ほかアオリイカなどへも出船

 

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