オニカサゴ1

相模湾湘南片瀬港の「まなぶ丸」は、根魚五目乗合の看板でオニカサゴ狙いを楽しませてくれる根魚専門の船宿。 5月中旬の取材日は、江ノ島沖の水深90〜170メートルの範囲を幅広く探り、0.4〜1キロ級のオニカサゴのほかムツも交じった。▲常連の小山さんが胴の間で3尾釣り上げ竿頭 三ケ部康介船長によると、当地のオニカサゴは例年春の濁った潮が消えるころから型がよくなり数も出るようになるとのこと。今後黒潮の澄んだ潮が差し込んでくればさらなる釣果アップも望めるだろう。

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江ノ島沖のオニカサゴは積極的な誘いが効く!?

オニカサゴ2

オニカサゴ釣りは、本当に久しぶりだ。僕には冬の釣りと食味のイメージが強いのだが、相模湾湘南片瀬港の「まなぶ丸」では、秋から冬の時期はアマダイ狙い、ほかの時期は根魚五目としてオニカサゴを狙い続けている。 というわけで、5月中旬に湘南片瀬港へと車を走らせた。当日はナギ予報なので、このところのシケで泣いていた釣り人が港にいっぱいだった。 同船には僕を含めて12名が乗り込んだ。

 まなぶ丸の前身である片瀬丸のころからの常連さんたちから出船前にあれこれと情報を得た。なんと「オニカサゴは梅雨明けから夏の魚だ」という。 当日は息子の康介船長が舵を取ったが、船長も「春の濁った潮が消えるころから、オニカサゴは型もよくなって数も出る」と話していた。 ちょっと今までのイメージが狂ったけど、まあ周年狙える魚だから地域によっても狙う時期がまちまちなのだろう。ネット検索してみると、確かに夏オニで盛り上がる船宿が各地にある。 氷とサバの身エサが全員に配られて6時40分に出船。7時10分には江ノ島沖の水深140メートルでスタートの合図が出た。

デカイのきたぞ!

 しばらくはカメラを手にして画撮り。少しモヤがかかった無風ベタナギの海だ。 すぐに右胴の間で小型ながらオニカサゴが取り込まれた。続けて左トモ2番でも30センチそこそこのオニカサゴが釣れた。サバの切り身とツボ抜きしたホタルイカのゲソを抱き合わせにしてアタリがあったとのこと。 エサについては、自分で持ち込む人もいる。右ミヨシの方は、サケのハラモを用意していた。僕も冷凍のホタルイカとイカのタンザクを持ち込んでいた。 船長は「サバの切り身が一番だ!」と言っていたが、エサのアレンジもこの釣りの楽しみではある。 その後、右トモ寄りで間違いなく良型のオニカサゴと思われる魚を掛けたが、巻き上げ途中でバラシ。周囲から「あーっ」と声が上がった。

 7時半ごろには、右トモでムツが釣れた。この水深でムツが出るんだね、うらやましい。うらやましい。 その直後、左ミヨシ2番の常連さんの竿が大きく曲がった。途中の引きを見ても間違いなくオニカサゴっぽい。取り込まれたのは40センチ、1キロそこそこの良型だった。カメラのファインダーから覗いていても、メチャクチャうまそうだ。刺身、キモ、コリコリの胃袋……いいなあ。 少し走った水深160メートルで流し始めた直後に、左ミヨで流し始めた直後に、左ミヨシの常連さんがオニカサゴを浮かせたが海面でポチャッ……お隣さんが差し出したタモも間に合わなかった。こういうのって悔しいよね。

粋なサプライズ

 船長は水深170メートル付近も流したが、どこもが比較的急なカケ上がりになっている。 途中から竿を出した僕は、画撮りもあるので基本1メートルのタナを切ってアタリを待つスタイルに徹したが、頻繁にタナの取り直しが必要なほど海底が変化していた。 10時ごろに、サプライズ船上パーティーが始まった。当日は康介船長の26歳の誕生日ということで、僕の右隣の常連さんが誕生日ケーキを持参してきていた。 これには船長もビックリしたようだ。お客さんにかわいいがられている船長ってことだね。 ただ困ったことに、そのころからアタリが減ってきた。サバがポツポツと上がるのみ。僕もサバと小さなユメカサゴを釣っただけ。 気温はどんどん上がって、汗ばむ陽気になってきた。おにぎりを何個か食べたら、急に睡魔も襲ってきた。デカオニでもゲットできていたら、ウトウトしちゃえば気持ちいい。でも、型見ずではそんな贅沢もできない。

 昼過ぎに、右トモ寄りで小型のオニカサゴが2尾ほど出型のオニカサゴが2尾ほど出たと思ったが、そっくりでも大きくならない標準和名フサカサゴのようだ。見た目の雰囲気もちょっと違う。 通称オニカサゴと呼ばれる標準和名イズカサゴではない。しかしフサカサゴもとても美味らしい。ネットで検索したら、結構いい値段で販売されているようだ。 右トモ寄りで定番ゲストのムシガレイも姿を見せたが、後半はナギ倒れっぽい感じで13時半に沖揚がりとなった。 竿頭は僕の右隣の小山さんでオニカサゴ3尾。お見事でした。2尾ゲットした人が数名で、船中10余尾のオニカサゴが姿を見せた。 根魚五目ということで、ほかにカンコやアラなどのゲストも期待したが、当日は顔を見せなかった。日によっては、まずまずのカンコやアラも釣れている。 さてさて、オニカサゴにふられた僕としては再チャレ必須ということになる。 澄んだ黒潮が湾内に差し込み始めるころがベストだという話なので、再度まなぶ丸へと車を走らせよう。オニカサゴ食べたい! ただ、モヤモヤとしていることがある。オニカサゴは活発に動き回る魚ではない。あまり誘い続けるのもいかがなものか? との考えでタナを取り直す程度の誘いにとどめていた。

 ところが、ジワーッと頭上まで大きく聞き上げる誘いを続けている常連さんに釣果が出ていた。とても能動的で積極的な誘いを入れ続けていた。しょせんサバの切り身は小魚に似せた擬似餌だから、上下に似せた擬似餌だから、上下にヒラヒラ動かすことでオニカサゴにアピールするってことだろう。 再チャレ釣行のときは、釣り方を変えてみようかな。 オニカサゴ釣りはオデコ覚悟の釣りとはいえ、釣れれば最高だ。40センチ超えを釣り上げて食べるのを想像してお腹をグーと鳴らしている。捕らぬタヌキの皮算用か……。


相模湾湘南片瀬港 まなぶ丸

オニカサゴ3

1090・4543・9192(詳細は巻末の情報欄参照)▼料金=根魚五目乗合一人1万円 (エサ、氷付き)、小学生3000 円、 女性2000 円割引▼備考=7時出船。電動リールの貸し竿1500 円

 

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