良型交じりでアタリ活発 
東京湾のカサゴ絶好調!

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※料金等データは2019年8月のものです。

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東京湾のカサゴは周年狙えるが、浅場で食いが立つこの時期は初心者も気軽に楽しめるベストシーズン。

 周年カサゴ乗合を看板に掲げる金沢八景・新修丸では、本牧〜横須賀沖の水深15メートル付近を中心に状況で30メートルほどの範囲を攻め分け、14〜25センチ級の大小交じりでトップ30〜40尾前後と絶好調。

 淡泊でクセのない白身のカサゴはどんな料理にしても美味。定番の刺身や煮付けにホクホクの空揚げ、洋風ならブイヤベースもおすすめだ。

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手軽で手堅い安定株東京湾のカサゴ好模様

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「ふーっ、暑い」「ふーっ、暑い」 このところの殺人的な暑さだと、船上で灼熱の太陽を長時間浴びるのもつらいよね。 そこでチョイスしたのが、ショート乗合。ササッとおいしいお魚をゲットして帰ろうって魂胆だ。

 となると、グルメ派のターゲットであるカサゴが頭に浮かぶ。おまけに、カサゴ釣りは安定釣果が続いているからお土産なしの心配もない。 良型は刺身、煮つけ、空揚げが最高、ちょっと小さめのカサゴは味噌汁がうまい。いやいや、フレンチのブイヤベースにトライしてみても……などと、頭の中では色んな料理のイメージが膨らむ。


アタリがない!?
 カサゴ釣りといえば東京湾奥金沢八景・新修丸が有名だ。ずっと昔から周年カサゴ乗合を出し続けている専門船宿だ。 台風の影響が心配だったが、シケ後の8月17日の早朝、金沢八景へと車を走らせた。 愛想のよい船長とおかみさんに迎えられて、とりあえず空いていた左ミヨシに荷物を置いた。左右のトモには、すでに常連氏が入っていた。

 出船時刻は7時半だが、それまでに、親子連れや仲間連れを含めて9名の釣り人が乗り込んだ。 仲乗りの安里くんが手際よくエサやバケツを配る。まだ21歳の見習い船長だが、こういった若い人が船長として成長していくことが大切だ。とてもさわやかな青年だ。 定刻7時半に出船した船は、本牧方面へと走った。良型が出る本牧沖のピンポイントを狙い、その様子次第で横須賀方面へ走るというのが、当日の船長の作戦だ。 風は強いが、風向きのせいもあって海は比較的静かだ。

 7時50分には水深15メートルでスタートの合図が出た。カメラを手にして全体の様子を見たが、アタリがない。 3度ほど細かな移動をして探ったが、どうも当日の本牧沖はご機嫌斜めなようで、8時半には猿島の北寄りのポイントへと移動した。 横須賀沖はポイントが多く、水深15メートル前後を中心に30メートルまで状況によって攻め分ける。オモリは30号で統一してくださいとのアナウンスがあった。 ポツポツと釣れ始めたが、15〜20センチほどの中型が中心で、リリースサイズも交じる。小型は皆さんリリースしていた。カサゴのような根魚は釣りきってしまうと復活するのに時間がかかるので、小型はリリースして大きくなるまで育てる考えが大切だ。

 左胴の間氏はメバル竿に近い軟らかなロッドを使っていた。中型のカサゴが釣れても、「いったい何が掛かった?」と驚くような激しい引きを楽しんでいた。 カサゴを素早く根から離すために、7:3調子の竿が推奨されるが、軟らかめの竿で引きを楽しんで遊ぶのも悪くないと思った。


キャストで数をのばす
 すごいペースで数をのばしているのが、左トモ氏だった。カサゴ釣りでは珍しいスピニングタックルを使ってキャストする釣り方で、次つぎとヒットさせていた。 ベイトリールをセットした竿も別に用意してあって、根が荒いポイントはベイトリールで船下を狙うとのこと。 話をしながら見学すると、キャストして少しアタリを待ち、次にスーッとシャクってユラーッと仕掛けを落とす誘いを繰り返して船下までを探っている。 ご本人はあまりオープンにされたくない様子だったが、観察してこれは理にかなった釣法だと思うので、ちょっと分析させていただく。

 ユラーッとエサを落として、根の中で様子をうかがうカサゴを誘い出すわけだ。当たり前のことだが、サバの身エサはエサというよりも小魚に似せたルアーという認識が正しいと思っている。 もちろんベイトリールで船下を狙う基本的な釣り方でも、スーッと聞き上げてから落として誘うが、キャストして斜めに落とすほうがサバの身エサをよりベイトに似せることができる。それに、そういった誘いのチャンスが圧倒的に多くなる。 そうこうしているうちに、船中で20〜25センチ級の良型カサゴもちょくちょく姿を見せ始めた。 9時半過ぎになって、僕も竿を出してみた。船下狙いでククッと竿先が入ったが、取り込んだのは小型でリリース。そんなのが数回続いた後に強烈に竿を絞ったのは、丸まるとした中アジだった。

 左トモ氏は相変わらずスピニングタックルで数をのばしていたのだが、突然に強烈な引きに遭遇した。リールのドラグからラインが出る。 ご当人は「これは、サメだね」と言いながらヤリトリしていた。なんたって、カサゴ仕掛けのハリスは2号だ。 慎重に寄せて浮いてきた魚を見てビックリ! マダイだ。船長がタモですくったのは後検量2.4キロのグッドサイズ。釣ったご本人も驚いた様子。カサゴ仕掛けで取り込んだ腕は見事なものだった。カサゴ釣りでマダイとは……そんなこともあるんだね! 船中では一荷釣りも含めてカサゴの食いは続いていた。

 釣り座に戻って、ちょっと作戦変更した。ベイトリールでキャストして、手前へとシャクリ続ける釣り方へと変えた。スピニングタックルのほうが遠投できるけれど、ベイトリールだってスミイカ釣りなどでは普通にキャストしているから無理ではない。 ほほう、キャストして1シャクリ、2シャクリ程度でカサゴが飛びついてくる。

 トーンとオモリが着底してユラーッとエサが潮になじんで落ちるときに食ってくる感じだ。 着底して、少しの間を置いてスーッとシャクリ始めるとクグッと竿先が曲がる。これは面白い! この調子で良型を含めて随分と数をのばした。 終盤は良型が出ることも増えてきて、右舷の親子連れのジュニアは良型を含めての一荷釣りで、「最後にいいのが釣れてよかった」と喜んでいた。

 僕も最後に25センチ近い良型をゲットしてVサイン。この魚はトンとオモリが着底する寸前にすごい勢いで仕掛けを持っていった。引きもなかなかのものでしたよ。 ショート乗合なので13時40分ごろに沖揚がり。釣果はトップ43尾、スソで20尾は上出来すぎる。 ずっと、こんな感じで安定釣果が続いているので、おいしいカサゴを釣って、ぜひ食べてみてほしい。

 ショートカサゴ乗合は例年8月末で終え、通常の一日船に戻る。しかし暑さの状況で9月に入っても出船する可能性があるというから、事前に確認していただきたい。


 東京湾奥金沢八景 新修丸

☎045・784・2636

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▶料金=ショートカサゴ乗合7000円(エサ、氷付き)、女性5000円、中学生以下4000円
▶備考=7時半出船。駐車場500円

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