多点掛けで乗り乗り
鹿島の夜イカ佳境!

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※料金等データは2019年9月のものです。

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茨城エリアの夏〜秋の風物詩、夜イカが狙い目を迎えている。 鹿島港で乗合船がスタートした8月から、胴長30センチ級のムラサキイカを主体に連日トップ100杯以上と絶好調。当地の船長によると今年は広範囲に群れが見られるとのことで、9月後半以降も期待できるとのこと。

 夜イカのツノは布巻きウキスッテ2.5号が定番で、これを4〜5本結んだブランコ仕掛けや直結仕掛けで豪快な多点掛けを楽しめる。また当地のほとんどの船は近年人気のイカメタルも同船できるので、ぜひ!

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茨城県鹿島港出船の夜イカ
ムラサキイカ主体に絶好調

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「今年はいいですよ。満月だろうが、出船さえすれば釣れちゃうんですよ」 出船前に、茨城県鹿島港の入口にある釣具店に仕掛けを買いに行くと、店主の方がそう教えてくれた。 今回の取材は鹿島沖の夜釣りの代名詞の一つ、夜イカだ。

 夜イカ釣りは、集魚灯を煌々と灯してプランクトンや小魚を海面近くに寄せ、それらを狙って集まってくるイカを狙う釣りだ。 普通なら、快晴の、とくに満月の夜などは、月の明かりが海面を照らしてしまうので集魚灯の効果が薄れてしまい、釣果がのびないことがよくある。 店主の方が言っている「満月だろうが」とはそういう意味で、今年の夜イカはムラサキイカを主体に満月の夜でもガンガン釣れているようだ。

 すすめられた仕掛けを購入し、小躍りしたくなる気持ちを抑えて幸栄丸に乗り込んだ。 ミヨシを埋めるイカメタルの釣り人7名と、標準オモリ120号のノーマルタックルにスッテ仕掛けを準備した10名の釣り人を乗せ、17時に出船となった。

 

いきなり入れ乗り!
 航程1時間半ほどで釣り場に到着。小野馨船長と仲乗りの慧さんが、親子の息が合った共同作業でパラシュートアンカーを下ろす。 操舵室に戻った船長が開始をアナウンスした。「はい、始めていいですよ。ノーマルの人は海面から60〜80メートルでやってみてください。メタルの人は30〜60メートルです。そのうち、タナはどんどん浅くなってきます」 釣り人たちが一斉に仕掛けを下ろす。海面には早くも小サバが集まっている。

 そして10分後、右ミヨシから3番目の千葉さんが電動リールのモーター音を響かせた。竿を重そうに掲げながら、「30くらいできたよ」と教える。 竿を置き、仕掛けをたぐるとブシュッと潮鉄砲が3回吹き上がる。いきなり、胴長30センチを超えるムラサキイカの3点掛けだ。しかも30メートルで乗ったということは、早くもタナが上がっているというわけだ。「ノーマルの人が30メートルくらいで乗せたようですよ」 船長のこのアナウンスで爆釣劇の幕が開く。とにもかくにも、30メートル付近に仕掛けを下ろせば、それだけでズシッと乗ってくる。

 ノーマルタックルの人はブランコや直結式の布巻きウキスッテ4〜5本ヅノで、2〜3点掛けで次つぎと取り込んでいく。 イカメタルの人は、オモリ20号のナマリヅノと枝スに布巻きウキスッテを付けた2本ヅノでダブル連発! ゲームロッドでこの重量感を味わえるのだから、最高の釣趣であることが想像できた。 全員が満面の笑みで「入れ乗り」という言葉を口にする。船上を見渡せる位置に立つ私は、さながら職漁船の船上にいるような、そんな錯覚を覚えるほどの釣れっぷりだ。

 

仕掛けが止められる?
「そろそろ釣りのほうも楽しんでってください」 船長がそんな言葉を投げかけてくれた。我われ取材者はこの言葉に弱い。小走りで釣り座に戻り、5本ヅノのブランコ仕掛けを下ろした。 ムラサキイカの釣り方は、ヤリイカの要領と同じだと船長は教えてくれた。そこでまずは、落とし込みから試すことにする。 乗りダナは30メートルあたりなので、25メートルでサミングして仕掛けの落下を止め、そこから1メートル刻みで下ろしていく。

 サバだろうか、それともイカパンチだろうか、何かがスッテにアタックしてくるが合わせても乗らない。 続けて落としていくと28メートルで糸がフケ、合わせると乗った! 上がってきたのは胴長30センチ級の本命。 次投も落とし込みで狙ったが一番下のスッテに1杯のみ。 そこで、30メートルまで一気に仕掛けを落として誘い上げてみた。大きく竿をあおり、ゆっくりと竿先を下げ、10秒ほど止めて待つ。

 イカパンチをあえて無視し続けると、ズムッと竿先が引き込まれる。下がった竿先を元の位置に戻せないほどの重さだ。仕掛けをたぐるとしてやったりの3点掛け。 この釣り方で2〜3点掛けを連発。足元のオケはすぐに満杯になった。 21時ごろ、周囲がやや暗くなる。船長が一部の集魚灯を消したのだ。「こうすると、イカがさらに浮いてくるんですよ」と慧さんが教えてくれた。 すると慧さんが言ったとおり乗りダナが20メートルまで上ずり、3〜4点掛けで釣れてくるようになった。

 さらにその1時間後、船長が再び集魚灯を部分的に消す。すると今度は、仕掛けが20メートルまで落ちなくなる。10〜15メートル付近でイカが仕掛けを止めてしまうのだ。 私は最後にパーフェクトを2回達成して竿を仕舞った。氷を入れた35リットルのクーラーボックスに、ポリエチレンの袋に詰めたイカを収めると満タンであった。

 その後も順調に釣れて22時半に沖揚がり。トップは千葉さんで110杯、スソは船酔いの人だがそれでも20杯。スジイカが1割弱交じった。 ムラサキイカは大きいもので胴長40センチ、アベレージサイズでも胴長30センチ級が1束を超えた釣果に驚いていると、「別船は2束超えらしいですよ」と船長。まさに大爆釣だ。

「イカはひと潮ごとに大きくなります。9月中旬ごろですか? ふた回りくらい大きくなっていると思いますよ。それでもスッテのサイズは2.5号から3号ですね。4号を使って釣る一升瓶サイズは、10月に入ってからですね」 存分にイカの乗りを楽しむなら今がチャンスだ!


茨城県鹿島港  幸栄丸

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☎0299・82・2775

▶料金=夜イカ乗合一人1万2000円(氷付き)
▶備考=出船時刻は要確認。無料駐車場あり。ほか一つテンヤマダイ、アカムツ、マゴチ、フグ、ルアーへも出船

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