三浦半島のヤリイカ順調
条件そろえば大釣りも期待大

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※料金等データは2019年10月のものです。

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9月中旬にスタートした三浦半島城ケ島沖のヤリイカ。長井出船では水深100メートル前後を狙ってトップ10〜20杯前後、いい日は30杯以上釣れている。 はら丸に釣行した当日は、二枚潮でアタリが分かりにくかったうえ、シーズン初期らしい胴長15センチ前後の小型が主体で身切れによるバラシが頻発。思うように数はのびなかったが、それでも大半の人が10杯以上をキープできた。 今後シーズンが進めばサイズアップに期待できるし、潮具合など条件がそろえば大釣りもあるはずだ。

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シーズン初期のヤリイカは
小さなアタリに即合わせ!?

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猛暑が去り、今年も相模湾でヤリイカが開幕した。シーズン初期は小型が多いが、このサイズが一番美味と、この時期のヤリイカを釣りたがる人もまた多い。猛暑が去り、今年も相模湾でヤリイカが開幕した。シーズン初期は小型が多いが、このサイズが一番美味と、この時期のヤリイカを釣りたがる人もまた多い。 小型ならではの繊細なアタリと乗りに自然と集中力が高まり、ふとわれに返るとアドレナリンが出まくっていることに気づく。それだけに納竿後の充実感は大きい。

 そんなヤリイカを楽しませてくれるのが、イカ釣りで名高い長井港のはら丸だ。 9月21日、台風の影響により出船が危ぶまれる予報ではあったが、5名の釣り人を乗せ5時半に出船。ナギの海を滑るように走る第八はら丸の船上に雲の隙間から日が差した。予報は喜ばしいほうに外れてくれたようだ。

十人十色のヤリイカ釣り
 6時ごろに城ケ島沖でエンジンがスローダウンすると、釣り人はオモリを握りしめて身構える。操舵室で魚群探知機を凝視する泊幸一船長が、「はい、いいですよ。水深は108メートル。反応が底にありますよ」とアナウンスを終えると、すでに4つのオモリが放られていた。 オモリに導かれたプラヅノが次つぎと投入器から飛び出しカラカラと音を立てる。 1投目のこの音が、沖のイカ釣りのワクワクする瞬間だ。 カチッとクラッチを戻す音がいくつか聞こえた直後、左トモの河瀬さんが巻き上げ始めた。駆けつけて隣に立つと、残り30メートルあたりだろうか、竿先がクンクンと小さくおじぎをした。

 河瀬さんが竿を置き、ブブランコ仕掛けをたぐる。1本目のツノ、2本目、3本目……ドキドキしながら海面をのぞき込んでいると、最後の7本目のツノに掛かった胴長20センチほどのヤリイカが潮鉄砲を吹き上げた。 着乗りするようなら、た たいていの場合はイカの活性は高い。 しかし喜んだのもつかの間、船長がこうこぼした。「今日は二枚潮ですねぇ……。二枚潮は道糸がたわんじゃうんで、イカの触りが分かりにくいんですよ」 その後は船長の言うとおり、「今日は難しいよ」、「巻き上げてみなきゃ乗ってるかどうか分からないんだよ」と嘆く声があちらこちらから聞こえてきた。 この日の乗船者はイカ釣りのベテランぞろい。そのベテランたちは、このような状況のとき、どう釣っているのだろうか。そう思い立ちヒアリングして回ってみた。

 まずは船長。「底でしか触りがないからって、底でばっかりやってたんじゃダメなんですよ」 そう話す船長の釣り方は、ゆっくり2メートル誘い上げ、次は竿先を下げながら道糸を1メートル巻き取る。これを底から5メートルまで繰り返すという、オーソドックスな釣り方だ。「ヤリイカが底にいるときは、だいたい着底直後の誘い上げで乗ってきますから、最初は集中するんですよ」と船長は言う。そして、「ダメなら落とし直せば仕掛けの場所が変わりますから、そこからまたやり直し。この時期のヤリイカは小型ですから、落としてる最中じゃあ乗りが分からないと思いますよ」と付け加えた。

 船長と似ていて非なる釣り方をしていたのが、左ミヨシの大木さんだ。「先週も来て、この釣り方で22杯釣れたんですけどねえ」と言う。 大木さんは、1メートル誘い上げては止め、止めている最中に竿先を凝視して乗りを確認していた。 クンとか、クイッと微かな乗りを感じたら軽く聞き合わせ、竿先を下げないように電動巻き上げを開始する。大木さんはその後も終始竿先に集中し、釣果をのばしていった。 船長が教えてくれたオーソドックスな釣り方に対し、大木さんとは逆の発想で乗りをとらえていたのは左トモの河瀬さんだ。「2メートル誘い上げるじゃないですか。そのあと1メートルゆ〜っくり下ろしていくと、そこでアタリが出るんですよ」。 そう話す河瀬さんは、「今日は底でしか乗らないから上はやりません」と言って、底から2メートル以上は誘わないようだ。

ハモノ狙いも大歓迎
 これら3人の釣り方をミックスした釣り方をしていたのが右ミヨシから2番目の山坂さんだ。 山坂さんは直結仕掛けが得意なのだそうだが、当日は状況が厳しくやむなくブランコ仕掛けで釣っていると話してくれた。 山坂さんの釣り方の基本は船長と同じなのだが、「誘い上げてるときでも、落としたときでも、どこでも乗りは出ますよ。その乗りを見落とさないように注意していて、乗りが出たらカンナでイカを引っ掛けてやるんですよ」と教えてくれた。

 ちなみに、私が竿を手にした時間帯で乗りをとらえたのは投入後の着底時か、誘い上げたあとのオモリを着底させたとき。私と大木さん、河瀬さんの意見をミックスすると、山坂さんの釣り方になるように思う。 いずれにしても集中力の勝負だ。 その後は城ケ島沖で小移動を繰り返し、底付近を中心に探ってポツリポツリ。12時半に沖揚がりを迎えた。 結局河瀬さんがヤリイカ14杯とスルメイカ1杯で竿頭。大木さんが13杯で山坂さんは11杯。この僅差に加われなかったベテランのもう一人が右トモで3杯の川瀬さんだが、何か意図があったようで、最後まで直結仕掛けでやり通していた。

 サイズはシーズン初期らしく胴長15センチほどの小型主体で最大は35センチだった。「今日はダメでしたね。昨日そこそこ釣れた場所が二枚潮がひどかったんで、後半は違う所へ行ってなんとかオデコは出さなくて済みましたけど」と船長は残念がった。 その泊船長は、実はヤリイカを泳がせて狙うハモノ好き。「今日はウチではやる人がいなかったですけど、ほかの船でマダイが3枚出たみたいですよ。ウチでも四隅限定でやっていいことにしてますけど、結構な確率で釣れます。それに、ヤリイカを泳がせて釣るマダイは2〜3キロはありますから面白いですよ。ワラサが釣れることもありますし、イカがまだ浅場にいる今の時期がチャンスですね」 例年どおりなら、これから続ぞくと新しい群れが回ってくる相模湾のヤリイカ。ひと潮ごとにサイズもアップしていくだろう。また、ある程度のお土産を確保したら、ハモノ狙いにチャレンジするとより一層楽しめそうだ。


三浦半島長井港 はら丸

☎046・856・9006

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▶料金=ヤリイカ乗合一人9000円(氷付き)
▶備考=出船6時、無料駐車場あり。ほかカツオ・キハダへも出船

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