深場に群れが固まり上昇気配!
小田原南沖〜瀬ノ海のヤリイカ

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※料金等データは2020年1月のものです。

相模湾のヤリイカ釣りが佳境を迎えている。この釣りのメッカ、相模湾西部に位置する小田原早川港出船では、主に瀬ノ海、真鶴沖、小田原南沖(初島周り)の3カ所をその日の風向きや天候、状況で攻め分けている。 秋の初期は水深90〜100メートルの浅場をメインに狙っていたが、水温が低下し、水色が澄むこの時期はイカも深みに落ちるため、平均水深180メートルの深場が主戦場となる。 サイズは大中小の交じりで、このところのトップは20〜30杯。開幕から今ひとつの状況が続いていたが、ようやく群れが固まってきたようで、今後好転する可能性が高い。ムギイカが浅場に回遊してくる初夏まで、ロングランで楽しめそうだ。

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小田原南沖のヤリイカ
深場攻めで好転の兆し!

関東の沖釣りで狙えるイカの種類は多い。その顔触れは四季折おりで変わるけれども、冬場の主役はやはりヤリイカだろう。 1月11日は相模湾小田原早川港の平安丸へ。三連休の初日で予報もよかったことから、普段より早めに家を出る。4時半に店が開くのを待って顔を出すと、座席表には4名の名前が記されている。 その後は船着き場に移動して、のんびりと出船を待つが、座席はあまり埋まらないまま、6時に私を含め7人を乗せて岸壁を離れる。

 周年のイカ狙いが看板の平安丸。2隻出しとなった根魚船に比べると、ちょっとさみしい。 これは、昨年秋の開幕以来、今ひとつ釣果がのび悩んでいるのが原因だろう。 昨今、スルメイカの漁獲量が全国的に激減し、ニュースなどにも取り上げられている。漁業だけでなく、遊漁にも影響を及ぼしているのは周知の通り。 ヤリイカはスルメに比べて沿岸性で、産卵場所も広範囲に分散しているためか、スルメほど顕著に落ち込んではいない。しかし、やはり温暖化の影響などもあって、ひと昔前のようには釣れなくなってきているのは事実。

 とはいえ、年明け以降、徐々に上向いてはきており、これからの最盛期に向かって期待が持てる。 小田原早川港出船の場合、ヤリイカ釣り場は主に二宮沖(瀬ノ海)、真鶴沖、小田原南沖(初島周り)の3カ所。北寄りの風が強い日は二宮沖へ走り、ナギなら真鶴沖と初島沖を状況で攻め分けるのがパターンになっている。

迷ったら船宿仕掛け
 当日は弱い北風のため、港を出た船はとりあえず真鶴沖を目指して南下する。 ポイントへは30分ほどで到着。周囲には5〜6隻の僚船が集まっている。およそ20分にもおよぶ入念な探索の末、まずは水深90メートルと、この釣りとしては浅場で釣り開始となる。 オモリは120号。仕掛けは船宿で購入したプラヅノ11センチ、6本ヅノを使用した。価格は800円と通常の市販品と比べてコスパもいい。 ツノの種類やカラーは、毎日のように沖へ出ている船長が選んだものだから、まず間違いない。 ツノ数6本は少ないようにも思えるが、スルメと違ってヤリの泳層は底近くで、あまり広く探る必要はない。 それならば、少ないツノ数で手返しよく、着実に釣っていったほうがいいと考えてのこと。

 1投目は全員空振り。次の流しも乗りはなく、小林義高船長は浅場をあきらめ、水深150〜180メートルの深みに狙いを変えた。 ここで右舷2番にようやく乗りがあり、巻き上げにかかるが、途中でガツガツとハモノに横取りされた模様。回収すると、頭と足だけになった小型のヤリの残骸が、下のほうのツノに引っ掛かっていた。 再び水深90メートルの浅場を流すと、竿の先に微妙な重みと動きを感じる。この日は極端な先調子のイカ専用竿ではなく、7:3調子の汎用竿を使った。 微妙な乗りは多少取りにくいかもしれないが、少しくらい海が悪くても、船の上下動を吸収してくれるのでバラシ防止に役立つと思ったからだ。 中速で巻き上げると、上のほうのツノに25センチほどのヤリイカが2杯乗っていた。 その後も船中では小型主体にポツポツとは乗るものの、なかなか調子は上がらない。

多点掛けのだいご味
 9時20分、船長は真鶴沖に見切りをつけ、船団を離れて小田原南沖に望みを託すことに決めた。 ここまで、私の釣果は3杯。船中では上位に入り、まだ型を見ていない人もいる。 さらに南下すること30分ほどで、初島南側のポイントに到着。常連さんによれば、初島周りはポイントも広く、うまくいい群れに当たれば大釣りも可能な、魅力ある釣り場だという。 そんな相模湾でも有数の好ポイントで迎えた第2ラウンドだったが、真鶴沖同様ポツポツ乗りは変わらない。

 写真の撮れ高が心配になり、この辺りで撮影に専念しようと、投入をパスした10時20分、水深200メートルの深みを狙った流しで、大きな山場がやってきた。 オモリが底に着き、糸フケを取った途端、全員の竿が乗りを伝え、やがて苦しげな電動リールのモーター音が船上に響く。 取り込み態勢に入ると、どの仕掛けにもヤリイカが鈴なりで付いている。6本ヅノには5杯、10本ヅノには9杯と準パーフェクト状態。 しかも、それまで主体だった小型のメスではなく、35〜40センチ級の良型ばかり。さすがは初島周り、これぞ沖のイカ釣りのだいご味だ。 全員の取り込みが終了するのを待って、急いで潮回りするが、つい先ほどまで映っていた濃厚で盛り上がるような反応は消え、再びポツポツ状態に戻る。

 この状況が沖揚がりまで続き、結局釣果は25〜40センチのヤリイカが1人5〜26杯とまずまず。トップは2人で両舷のトモの方が竿頭に輝いた。 各自の釣果の半分近くを、たった1回の投入で稼いだことになる。 1〜2杯掛けが普通の現在のヤリイカ釣りでは、少ないツノ数の仕掛けで、地道に釣果を重ねていくのも手だが、濃い反応に遭遇した際、一気に数をのばせるのが、ツノ数の多い仕掛け。 やはり熟練度に応じてツノ数を増やしていくのが王道といえるのかもしれない。 相模湾のヤリイカ釣りは、ムギイカが釣れ出す初夏までロングランで続く。好転の兆しは見えてきたから、今後に大きな期待が持てる。


相模湾小田原早川港 平安丸

☎0465・22・0676

▶料金=ヤリイカ乗合一人9500円(氷付き)▶備考=6時出船、駐車場あり。マダイ、根魚五目へも出船

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