東伊豆の豪華リレー!
キンメ&根魚五目好況

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※料金等データは2020年2月のものです。

一度で2倍楽しいリレー釣り。東伊豆網代港の水弘丸では、早朝はキンメダイをメインに狙い、日中はカサゴの仲間やチカメキントキなど多彩な魚が顔を出す根魚五目との豪華リレーで出船中。 釣り場はいずれも初島周りで、キンメは水深240〜270メートル前後、根魚五目は水深160メートル前後を狙う。それぞれ単独でも十分楽しめる人気ターゲットを一度に狙えるのは、様ざまな魚が釣れる好ポイントの初島周りを擁する網代港出船ならでは。豪華リレーの釣期はキンメが狙える3月末までなので早めに釣行しよう。

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初島周りの豪華2本立て

キンメ&根魚五目を満喫

「トロキンメ」とも呼ばれるキンメダイの刺身はクセがなく、脂がほどよく乗っていて甘みが強い。数回そしゃくすると口の中でとろけてしまうトロキンメは、釣り魚の刺身の中でもトップクラスのうま味を誇る。

 また、ご存じのとおり、キンメは煮つけ料理も人気が高い。魚からよいだしが出るので煮汁にうま味が行きわたり、そのうま味が食材に浸み込んでいく。煮つけを食べると、身の中からじわ〜っと甘い肉汁がにじみ出てくる。この肉汁とだしのかもし出すハーモニーは絶品だ。

 出船前に、水野克行船長にそんな話を持ちかけると、「キンメは焼いてもうまいんだよ。焼いたキンメに、ご飯と味噌汁とお新香が付いただけの定食で2000円だよ。それでもみんな注文するくらい人気があるんだ」と教えてくれた。

 今回の取材は、東伊豆網代港の水弘丸のキンメと根魚五目のリレー釣りだ。

 1月25日早朝。まだ暗い網代港で、エンジンが始動された音とともに水弘丸に船上灯がともる。船の前にはすでにウエアに着替えた乗船客たちが、バッグをかつぎ、竿とクーラーボックスを手にして集まっている。そして5名の釣り人を乗せ、5時5分にもやいをほどいた。

 船長によると、静岡県の遊漁船の協定では、初島周りのキンメダイを釣り物とする場合、竿を出せるのは8名までと人数が限定されているとのこと。そのため満船でも釣り座の間隔に余裕があり、干渉のない安心感がある。

 

キンメは早朝勝負!

 漆黒の海上を進み、やがて初島周りに到着。航行中は消していた船上灯がすべてともされ、周囲を見渡すと数隻の船が浮かんでいる。そして6時半、船長から開始がアナウンスされた。

「はい、いいですよ。水深は235メートル。下から5メートル上げてやってみてください」

 乗船客たちが300号のオモリを放り投げると、7〜10本のハリが付いた胴つき仕掛けが海面に吸い込まれていった。

 約5分後、ほぼ同時に4名の釣り座から電動リールの巻き上げ音が響く。左ミヨシの水野さんが3枚、右ミヨシの栄さんが7枚、左トモの山口さんが6枚、右胴の間の下野さんには9枚のキンメが釣れる。いきなりの入れ食いだ。

 下野さんに追い食い狙いのコツを聞いてみると、

「アタリがあったらリールを1メートル巻いて待てば、次のアタリがすぐにきます。そうしたらまた1メートル巻いて、これを繰り返していくんですよ」と手を休めることなく教えてくれた。

 2投目は下野さんが5枚、山口さんが4枚とキンメが釣れ続く。周囲が明るくなり始め、本船が初島の東側に浮かんでいることが分かった。

 明るくなればさらに釣りやすくなるのかと思いきや、

「日が上がると食わなくなっちゃうんですよね」と下野さんが言う。

 そしてそのとおり、その後はアタリが遠のいていった。

 

仕掛けに一工夫

 8時前になると、

「はい、上げてください。オニカサゴに行きます。オニの仕掛けに替えておいてください」と船長がアナウンスした。

 そして5分後には、オニカサゴを主とした根魚五目がスタートする。通称「ソコネ出し」というポイントで、水深は160メートル。

 水弘丸のオニカサゴ仕掛けの装着の仕方が面白い。先ほどまで使っていたキンメの胴つき仕掛けを、ハリを3本ほど残して切って、その下にテンビンと150号のオモリをぶら下げる。そしてテンビンの先にオニカサゴ仕掛けを装着する。なぜそんなことをするのかというと、この時期オニカサゴが釣れるポイントでチカメキントキが釣れるからだ。

 8時15分、山口さんが船中1尾目のキントキを抜き上げる。その約5分後に下野さんに40センチ級のカンコ(ウッカリカサゴ)が釣れ、その後は船上のどこかでキントキが釣れているという状態になる。キントキも、キンメに勝るとも劣らず、刺身や煮つけがうまい魚だ。

 この日はオニカサゴが食い渋り、時折リリースサイズが上がる程度だった。

 そして11時に沖揚がり。船中釣果は、28〜34センチのキンメが7〜15枚。トップは下野さんだ。そしてキントキは3〜10尾。3尾の山口さんはオニカサゴ狙いに終始し、あえてテンビンの上に胴つき仕掛けを装着していなかった。

 しかしオニカサゴ仕掛けだけでも釣れてしまうのだから、このポイントのキントキの魚影の濃さを証明している。ほかクロムツが船中で数尾交じった。

「今日は潮が澄んじゃってましたね。キンメは潮が濁っていたほうがいいんですよ。いい日だと20〜30枚は釣れますからね」

 そう話してくれた船長に、もう一方のターゲットであるオニカサゴを主体とした根魚五目について尋ねると、

「オニは、最近キントキが釣れるんで、今日はこっちでやりましたけど、少し沖に出れば2キロなんていうのが釣れるポイントがあるんですよ。

 去年はいい日でトップ8〜

10尾くらいですかね。過去最高は、10年くらい前になりますけど30尾釣った人がいましたよ」と答えてくれた。

 キンメは入れ食いタイムがあったほどの魚影を確認することができた。船長によると、これからさらにサイズアップしていくとのことだ。

 そして日中には、オニカサゴやキントキなど多彩な魚が顔を出す根魚五目が楽しめる。

 初島周りのキンメは12月1日から3月31日までと期間限定なので、早めの釣行をおすすめする。


東伊豆網代港

水弘丸

☎0557・67・1083

▶料金=キンメ&根魚五目一人1万3000円(エサ、氷付き)

▶備考=5時半出船、駐車場あり。ほか夜ヤリイカ、キンメ&コマセ五目へも出船