良型ぞろいで乗り乗り!
南房の春ヤリ本格化の兆し

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※料金等データは2020年2月のものです。

南房のヤリイカが調子を上げてきた。布良港出船では布良〜白浜沖の水深140〜160メートル前後を狙い、胴長30〜40センチ級の良型主体にいい日はトップ50杯以上の釣果も見られ、群れの濃さは上々といえそうだ。 ヤリイカは最初の1杯を掛けてすぐに巻き上げているようでは数はのばせない。乗りがいいときはすべてのツノにイカを乗せるつもりで追い乗りを狙うのが釣果をのばす秘訣だ。

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南房は直結仕掛け必携!
サバをかわしてヤリ獲得

「またイカが食べたいなー。いつになったら持ってきてくれるのかなー?」 職場の同僚や知人たちにせがまれ続けても「そのうちにね」と返事を濁していた私。 もっとも、新鮮でおいしいイカの味を彼らに教えてしまった責任も感じていたので、ヤリイカ釣りの機会をうかがっていたところ、1月後半から南房エリアで模様が上向いてきたとの朗報が届いた。 そこで「イカちょうだい」の要望を満たすために2月8日、釣友の塙くんと布良港の良和丸へ車を走らせる。

 ちなみに良和丸と私の名前は同じ漢字。なにかいいことがありそうな予感が……。 前日に志村良一船長に状況を伺ったところ、「このところサバが多いのでプラヅノ14センチ5〜6本ヅノの直結仕掛けも用意してきてください」とのことで、スタンダードなプラヅノ11センチのブランコ仕掛けと直結仕掛けを準備。 船長がツノ数が少なめの直結仕掛けを推奨するのは、ヤリイカはスルメと違って遊泳層が底中心のため、ほとんど底付近のツノにしか乗らないからだ。

 ツノ数が8〜10本ほどの直結仕掛けと比べると、5〜6本ヅノは仕掛けさばきが楽で取り込み時のバラシのリスクも軽減できるなど、総合的に有利となるためだろう。

あえてのサバ狙い!?
 6時半になり、我われを含め乗船者7名で出船。良和丸では電話予約時に席を決める方式なので、私たちは右ミヨシ側から2〜3番目に入った。 20分ほど走って布良沖の水深140メートル付近に到着。ほどなくして合図が出て一斉に仕掛けを投入。 早朝はサバがいるケースが多いため直結仕掛けをセットした人が4名、そしてほかの2名は「この時期に釣れるマサバは脂が乗って絶品」ということであえてブランコ仕掛けを使っている。 釣友の塙くんも家族からサバも持ってきてほしいとリクエストがあったことからブランコ仕掛けでスタート。

 1投目から直結組にはヤリイカが、ブランコ組にはサバがヒット。 直結仕掛けで上がってきたヤリイカはいずれも1〜2点掛けで、どれも下側のツノに掛かっていた。「もうこれで十分」と数尾のマサバを確保した塙くんは、3投目から直結仕掛けにチェンジ。すると、着底して糸フケを取っている間にヤリイカが乗ったのだろう、穂先にクイックイッとアタリが出ていて、いわゆる着乗りで巻き上げを開始。 このとき置き竿にすると、波やウネリで船が上下したときバラシにつながるため、手持ち竿で船の揺れを体全体で吸収するのが直結仕掛けの巻き上げの鉄則だ。「うーん。グイグイとくるこの重さがたまりませんなぁー」とヤリイカの重量感を味わいつつ、胴長30センチと40センチ級を取り込む。

 再投入するたびに乗ってくるのだが、左ミヨシの浜本さんが3点掛けを取り込んだ以外は単発が多かったことから、9時過ぎに白浜沖の160メートルダチへ。 移動後もヤリイカの乗りは順調。サイズは胴長20センチほどの小型も交じるが、8割方は40センチ以上のパラソル級のため釣り応えも十分だ。

ブランコ仕掛けが吉
 写真撮りもあらかた済ませたところで私も釣りに参加。 直結仕掛けで1投目、2投目と単発ながらパラソル級を取り込んだ後、3投目にズンズンと重量感のある手応え。 してやったり、少なくとも3杯は乗ったな……と喜んだのも束の間、隣の塙くんが取り込みで私の道糸に仕掛けを絡ませてしまい、オマツリを外している間に根掛かり、おまけに道糸が100メートルも高切れしてしまった。 しかし、結果的にこのトラブルが私に幸運を呼び込むことになる。 そろそろサバの猛攻も収まっただろうと、次に装着したのはブランコ仕掛け7本ヅノ。 着底を確認して糸フケを取っていると、竿先がグイグイ引き込まれた。直結仕掛けの場合は、しばらくデッドスローで追い乗りを狙って、そのまま巻き上げて取り込む。

 しかし、そこはバラシの心配が少ないブランコ仕掛け。底付近で軽くシャクって誘いを繰り返すとズンズン追い乗りして、竿を持つ手もシビレルほど重くなった。 巻き上げを開始するとギューンキュルキュルと電動リールが悲鳴を上げる。やがて海面にズラズラと連なって浮かび上がってきたのは、あめ色の美しいヤリイカの7点掛け。 パーフェクトの達成に喜び勇んで再投入すると、同じ要領で再びズンズン乗ってきた。これもパーフェクトだったが、取り込みで1杯落としてしまった。 その様子を見ていた船長が、皆にブランコ仕掛けにチェンジするように告げ、ここから爆乗りタイムが始まる。 この調子なら楽に1束超えを達成してしまうのでは? と思ったが、そうは問屋が卸してはくれないのが釣りの常。 あの邪魔者のサバの群れが再び猛威をふるい始め、オマツリが頻繁に発生して急ブレーキ。

 船長はサバの反応を避けて潮回りをしてくれるので、無事に着底してヤリイカは乗るものの、巻き上げ途中の残り50〜80メートル付近でサバがツノを飲み込み、ヤリイカを振り落としてしまう。 そこで、サバの気配があるときは直結仕掛けに、そうでないときはブランコ仕掛けと使い分け、12時を回った時点で58杯をゲット。クーラーに入りきらなくなったので私は竿を畳んだ。 12時半に沖揚がり。釣果は27〜62杯でトップは右ミヨシの酒井さん。 白浜沖のヤリイカの反応の濃さは例年以上なので、今シーズンはロングランに期待できるのではないだろうか。 私はヤリイカを20軒分配ることができ、みんなに大変喜んでいただいた。


南房布良港 良和丸

☎0470・28・2965

▶料金=ヤリイカ乗合一人1万円(氷付き)
▶備考=出船時間は電話確認、無料駐車場あり

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