剣崎沖のコマセダイは
青物交じりで好調キープ

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※料金等データは2020年2月のものです。

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周年コマセダイが楽しめる三浦半島剣崎松輪港出船では、冬からマダイが好調に釣れている。 釣り場は剣崎〜下浦沖、城ケ島沖などの水深40〜60メートル前後と90メートル台の深場を狙い分け、1キロ級主体に2〜3キロ級の良型も交えていい日はトップ5枚以上を釣っている。 ほかにアジやワラサ、カンパチなどの青物も交じって釣果はにぎやか。乗っ込み前哨戦として、ぜひ釣行していただきたい。

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本命+ワラサ&カンパチ
剣崎沖で乗っ込み前哨戦

2月11日早朝。強風が吹き、白波が立つ剣崎沖の海上を、第二十三大松丸は東へと突き進む。その様相はまるで「今日もマダイを釣らせてやる」と船自体が強い意思を持つかのような錯覚すら覚える。 そして7時15分。第二十三大松丸は、出船から約30分かけてようやく下浦沖にたどり着いた。「はい、始めてください。水深は57メートルです。上から42メートルでやってみてください」 鈴木裕喜船長のアナウンスで釣り座に着いた4名は、まばらに仕掛けを下ろす。そして10分後、右ミヨシの鈴木さんが船中1枚目となる30センチ級のマダイを抜き上げた。

「アタリが分かんなかったよ。付けエサをチェックしようと思って巻き上げ始めたら、重みがあったんだ」 そう話しながら苦笑いを浮かべる鈴木さんにカメラを向けていると、左ミヨシの伊豆さんにも同サイズ。続けて鈴木さんが、先ほどよりやや小ぶりな2枚目を釣る。「海中で仕掛けが落ち着くようにしたんだ」と話す鈴木さんは、ハリから約50センチ上にガン玉を付けていた。 さらにその15分後、伊豆さんも2枚目となる30センチクラスを取り込む。「これは落とし込みで食った」と話す伊豆さんの、技ありの1枚だ。

手を変え品を替え…
 ここまで開始から約45分。すでに船中で4枚のマダイが釣れ、今日も好調かと思われた。しかしその後、船上は長らく沈黙する。「何でしょうねえ。シケで底荒れしちゃってるんですかねえ。でも、昨日もシケたけど、普通に釣れたしなあ……」と首をかしげる船長は、下浦沖のいくつかのポイントを丹念に回ってくれた。 私にもアタリはない。いつシャッターチャンスが訪れるか分からないので置き竿ではあるが、様ざまな仕掛けを試してみた。 鈴木さんは、今日のマダイは浮いてこないようだと言っていた。それならばと鈴木さんに倣って、仕掛けにガン玉を装着してみる。

 2メートルの延長ハリスを急造して長さも変えてみた。底荒れの可能性があるならハリを夜光にしてみたらどうかと考え交換した。潮の流れはさほど速いとは感じられないので、2本バリ仕掛けに替えてもみた。 その間も船長は、下浦沖をあきらめ剣崎沖へと移動して、いくつかのポイントを試してみてくれている。 しかし、それでも船上の竿はどれもピクリとも動かない。静かな時間だけが過ぎていく。 正午を過ぎ、困惑気味の表情を浮かべる船長と目が合った。ここで意を決してカメラを仕舞い竿を手にした。 このとき第二十三大松丸が浮かんでいたのは、剣崎沖の水深90メートルのポイント。マダイ釣りとしては深場だ。この深場にいるマダイに、どう付けエサをアピールするかを考える。

 水深が90メートルあれば陽光は届かない。しかし紫外線なら届く。紫外線で発光するケイムラバリならどうか。そう思いつき、ハリを夜光からケイムラ発光に替えた。 船長の指示ダナは、上から78メートル。83メートルまで仕掛けを下ろし、1メートルずつコマセをまいて指示ダナに合わせる。そしてそのまま待った。 60秒くらい待っただろうか、クン! と小気味よい感触が手に伝わってきた。ゆっくりと大きく合わせを入れると仕掛けの先に何かがいる。そのままリールのハンドルを握った。本命かもしれない。いや、そうであってほしい。そう願い、電動を使わずに手で慎重にリールを巻く。

 時折下へ突っ込む引きをかわし、さらにゆっくりとリールを巻く。タモを手に隣に立ってくれている鈴木さんが、「デカそう?」と聞くので、「いや、軽いですね」と余裕の笑みを見せて答えたが、実は心臓はバクバクだ。 コマセカゴをバケツに入れ、仕掛けをたぐる。海面下に見える白い魚体に、徐々に赤が混じって見えてくる。そして鈴木さんがすくい上げてくれたのは、この日の船中最大となる約40センチ、1.2キロのマダイ。操舵室を見上げると、満面の笑みを浮かべた船長が顔を出していた。

青物ラッシュ!
 その直後に左トモの中村さんに約78センチ、5.5キロのカンパチがドーンときた。「カンパチは珍しいですよ」とうれしそうに言う船長に、「このポイントに来たのが正解だったね」と伊豆さんがねぎらいの言葉をかけた。 船長も安堵の表情を浮かべている。

 再び置き竿にしていた私に、すさまじい引き。なんと約81センチ、6キロのワラサだ。この1本が締めくくりとなり、14時の沖揚がりを迎えた。「今日は渋かったですね。シケっていう状況は同じだったと思うんですが、いい人で6枚釣れた昨日や、8枚釣れた一昨日に比べると、今日は潮があまりいってなかったようです」と船長は残念がった。 しかし、最後に船長が選んだポイントで、この日の有終の美を飾ることができた。 釣果はマダイが0〜2枚。剣崎沖では珍しいカンパチとワラサが交じった。

「2月から3月っていうのは、毎年マダイの数釣りが楽しめる時期です。サイズはそんなにデカくはないですけど、2〜3キロクラスなら出ます」 船長が最後にそう話してくれたとおり、今、剣崎沖のマダイは数釣りが楽しめる時期だ。越冬のために身に脂をためているせいか、この時期のマダイは食べても甘みがあって抜群にうまい。 春の乗っ込みシーズンを楽しみにしているマダイフリークに、ひと足早いこの時期のマダイ釣りもおすすめしたい。


三浦半島剣崎松輪港 大松丸

☎046・886・1244

▶料金=マダイ乗合一人9500円(エサ別)
▶備考=3月は6時半出船、無料駐車場あり。ほかヤリイカ、アマダイなどへ出船

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