好みの釣り方で自由満喫
涼を求めて沼津の夜タチ!

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※料金等データは2020年8月のものです。

初秋の涼しい夜風に吹かれて楽しめる沼津の夜タチウオも、日に日に釣況が上向いている。サイズは大小様ざまながら8月中旬の取材日もトップ30本を超えて、いい感触だった。 釣り場は内浦湾の最奥部、淡島周りの水深50〜60メートル。アンカリングして集魚灯でタチウオを寄せて釣るのが当地のスタイルで、夜の帳が降りるにつれてタナも上昇し、20メートル以浅の表層でアタックしてくる。

 静浦港真成丸の高橋判船長に夜タチの道具立てを聞くと、「オモリはノーマルタックルのエサ釣りで80号を基準にしてますが、オモリ40号前後のライトタックル、テンヤタチウオ、サーベルテンヤ、ジギングほか、どうぞお好みの釣り方で楽しんで!」とのこと。オマツリさえしなければフリースタイルで遊べるところも大きな魅力なのである。 タチウオは10月あたりまで湾奥に滞留し、秋が深まると東の千本浜沖へ移動するのが例年のパターン。ただ今年はすでに千本浜方面でも釣れていて、「沼津全域で沸いている感じ」と船長。今後も大いに期待できそうだ。

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今シーズンの魚影は上々!
スローな誘いで夜タチ攻略

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東京湾では、でっかいタチウオが釣れている。マニアにはたまらない状況だが、まだまだ続く残暑に身体が悲鳴をあげている方も多いだろう。というか、自分こそがその一人だ。 でも、大丈夫。熱中症気味でぶっ倒れそうなわれらには、沼津の夜タチがある。事実、酷暑真っ只中だった8月9日の取材も、日が落ちたとたんスーッと涼風が吹き、マスク越しの呼吸がずいぶん楽になった。

呼吸も楽な涼しい夜釣り
 お世話になったのは静浦港の真成丸。船は金洲や石花海遠征もこなす大型船で、気さくで研究熱心な高橋判船長を慕ってリピートするファンも多い。仲乗りのスタッフも常駐してあれこれサポートしてくれるからビギナーも安心して楽しめる。 港集合は15〜16時で、集まり次第出船というスタイル。沖揚がりは22時だ。目指すポイントによって若干早めに出ることもあるので、集合時刻の詳細は必ず電話確認してほしい。 さらに当地の夜タチのいいところは、潮の速さに対応しながらオマツリをかわせば、好みのタックル&仕掛けで自由に楽しんでOKという点。アンカーで船を固定するカカリ釣りだから、陸っぱり釣りに近い感覚で色んな釣り方を試せる。 オモリはノーマルタックルのエサ釣りで80号とのことだが、ライトタックルなら40号以下でもOK。ご当地釣法のサーベルテンヤや特集で取り上げた関西発のタチウオテンヤを試すもよし、なんでもござれのワンダーランドだ。

 お盆休みということもあってか、当日の顔ぶれは色んな仕掛けを持ち込んで夏休みを楽しもうとしている3人家族の藤岡さんグループを始め、カップルや友人同士が多い。夕涼みがてらのユル〜イ雰囲気で、心地いい夜タチで猛暑やコロナ疲れを癒やしたいという思いが、それとなく伝わってくる。 気になるタチウオの食いも日に日に上向いているようで、「サイズは大小色いろだけど、群れはかなりいる。ドラゴンサイズが増える秋から初冬が楽しみですよ」と船長。あれこれ話しながら16時に出船してアンカーを下ろしたポイントは、内浦湾最奥部の淡島周り。水深は53メートルだ。 日が沈むまでは底から宙層までをシャクリ上げてタナを探っていき、まずは左舷ミヨシに並ぶ藤岡ファミリーの息子さんが、ジギングで小ぶりなタチウオをゲット。 同じくジギングのお父さんも同サイズを掛けて、楽しそうに追いかける。よくアタるのは海面下30〜40メートルあたりらしい。

 ジギングでスタートした釣り人は12人中5名いて、100グラム前後の赤金カラーを中心にポツポツとヒット。けれども実のところ、圧倒的に優勢なのはエサ釣りだった。 とくに、海面下10〜20メートルまでタナが上ずった日没前後はエサ釣りにアタリが集中し、指幅4〜5本サイズも浮上。気づけばジギング釣り師は藤岡ファミリーの父子だけになっていて、エサ釣りで奮闘する藤岡夫人のほうが数もサイズも上回っている。 その釣り方のお手本になっていたのが、一緒に乗船していた藤岡さんの友人、牧野さんだ。

ソフト&小刻みなシャクリ
 牧野さんは19時ごろに早ばやと20本に到達。当然こちらとしては「何か秘策が?」と問いかけてみたわけだが、「うーん、実は沼津の夜タチウオは初めてなもんで、コレが決め手というのは語れません。ただ、小さくソフトにシャクリ上げてくるとアタリが出ますね」 意外なコメントに驚いてしまった。ただし東京湾のタチウオは長年楽しんでいるそうだから、アタリを出すパターンを探し当てるのが上手なのだろう。 拝見するとハンドル半回転で小さく1シャクリの操作を、1秒間隔で繰り返している。日没後は海面下10〜20メートルの間を誘って食わせているという。 アタリがきた直後はどうしてますか? と聞くと、「手を止めず、そのままシャクリ続けます。そうすると追いかけてきてハリ掛かりしますね。これもまた東京湾と同じ釣り方なので、とくに新鮮味はないでしょ? すみません……」 謙遜しまくる牧野さんにこちらが恐縮してしまったが、ソフトかつ小刻みなシャクリは沼津の夜タチでよく聞くセオリーに通ずるものがある。

 長年の記者生活で沼津に来るたびに耳にしてきたのは、「激しく速いシャクリは、夜釣りのタチウオには不向き」という話。暗闇の海中で素早く仕掛けを上昇させると、タチウオがエサを見失って追いかけるのを諦めるという。 沼津の夜タチはゆっくりジワジワと仕掛けを上昇させるのがセオリーであり、食い渋ったときは超低速のただ巻きや、タナを決め打ちしてのんびり置き竿で待つ人にアタることもある。 一筋縄ではいかないタチウオ釣りの難しさは昼夜を問わないものの、沼津の夜タチは「焦らず、ゆっくり、じっくりと、エサを見せつける」のがキーワードになるようだ。 そのアタリパターンを素早く見つけた牧野さんにならって、少し私も竿を出してみる。 海面下20メートルからチョン、チョン、チョンとごく小さく誘い上げるうちにガジガジとアタリ。しかし試しに持参したマルイカ竿の穂持が硬すぎるようで、食い込む前にアタリが失せてしまう。

 うーん……と考えた末、アタリがきたらシャクリ上げを停止し、その場で上下に揺すり続けてみるとグーンと強い引き込み。この方法でなんとか2本を掛けたものの、タチウオのエサ釣りは、アタリを弾かない、しなやかなロッド選びも重要と今さらながら痛感させられた。 当日の結果はエサ釣りが9〜37本(トップは牧野さん)、ジギングが5〜6本。サーベルテンヤやタチウオテンヤを試した方もいたけれどパッとせず、テンビン仕掛けのエサ釣りが安定した夜だった。 サイズは指幅3〜4本が多かったけれど、当地のタチウオはこれから初冬にかけてが最盛期。表層でアタックし、大暴れするドラゴンサイズのすさまじい引きが待ち遠しい。


駿河湾沼津静浦港  真成丸

1090・4465・6972

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▼料金=夜タチウオ乗合一人1万円(サンマの切り身エサ、氷付き)。グループ割引など 各種サービスあり。ルアー釣りはエサ代値引き
▼備考=集合時間の詳細は電話確認。船着き場に無料 Pあり

 

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