秋の人気ターゲットを先取り
東京湾奥出船のアマダイ良型交じりでスタート

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アマダイは出船軒数が増える秋〜冬に注目が高まる釣り物だが、東京湾奥羽田の「かみや」ではファンの要望に応えてシーズンを先取りし、8月からリクエスト乗合でライトアマダイ船を出している。 リクエスト乗合を担当する神谷貴之船長によると、東京湾のアマダイは湾内に濁った潮が差し込む春の一時期は食い渋り気味になるものの、基本的にはほぼ周年釣れるとのこと。

 取材した8月14日は富浦〜剣崎沖の水深65〜110メートル前後を狙い、30〜35センチ級主体に45センチオーバーの良型を交えてトップ3尾とまずまず。オニカサゴやオキメバル、キダイ、マトウダイなど多彩なゲストも交じり釣果に華を添えた。 なお同宿のライトアマダイは道糸PE2号以下でオモリは50号。小型電動リール付きの貸し道具も完備されており、釣り方は船長が教えてくれるから気軽に挑戦していただきたい。

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※料金等データは2020年8月のものです。

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アマダイファンに朗報!
東京湾で順調にスタート

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「まったくもって驚いた」というのが正直な感想だ。 アマダイ釣りというと、秋から冬の釣り物と認識していた。激暑の海でそれを狙うことなど、まったくイメージにはなかった。 9月になるとポチポチ狙い始める船も出るが、なんたって8月の中旬。クラクラ〜ッと目まいがしそうな暑さだ。 リクエスト乗合として早々にアマダイ船を出したのは東京湾奥羽田の老舗かみや。 今シーズン、最初にアマダイで出船したのは8月9日だった。保田〜富浦沖を流して船中11尾。40センチ超えは3尾で最大は47センチだったようだ。 僕が出かけた8月14日が今期2回目のアマダイ船。5時過ぎには宿に着いて、右ミヨシ2番に釣り座を構えた。 この日は9日のアマダイ船に乗った常連さんが何人もいて、様子を詳しく聞くこともできた。

 リクエスト乗合を主に担当するのは2代目当主の神谷貴之船長だ。愛称は〝シャチョウ〟で、気さくな人柄が顔に出ている。 リクエスト乗合は、イカ、アジ&タチウオのリレー釣りやテンヤタチウオ、オニカサゴなどなど多彩な釣り物をセッティングする。釣り好きで新しいチャレンジもできるベテラン船長ならではのメニューだ。 アマダイは基本的にオールシーズン狙えるが、ペタッとした春潮の濁りが入った時期だけは食いが悪くなるみたいだと船長は話す。 アマダイの人気はさすがで、僕を含めて15名の釣り人が船に乗り込み、定刻の7時に出船して多摩川を下る。 船長は「剣崎沖まで走ります」とアナウンスして、ナギの夏の海を走った。風もなく朝からチリチリと肌を焼く日差しがつらい陽気だから、走る船が切る風が気持ちいい。フーッ、暑くなりそうだ……。

本命の引き込み
 8時半ごろ剣崎沖の水深110メートルでスタートのアナウンスが出た。 写真撮影をしながら竿を出したが、しばらくして釣れたのは定番ゲストのヒメだった。骨切りしたり、ツミレにするとおいしく食べられると聞いたことはあるが、持ち帰りはしないことにした。 9時ごろ、右胴の間の若い男性と左トモ氏が続けて25センチ超えのアマダイを釣り上げた。大きくないが、巻き上げ途中の突っ込みはアマダイ独特のもので、カメラを手にして見ていても、はっきり本命だと確信できる。

 右胴の間さんは手巻きリールを使っていたが、なかなか大変そうだ。若いからいいけど、僕では無理だな……。 9時半過ぎ、船内あちこちでまずまずの型のオキメバルが釣れる。一荷釣りもある。チョイ高めのタナを狙うとくる、これはうれしいゲストだ。 10時ごろ、もっと沖の本船航路近くへと移動した。リクエスト乗合でウイリー五目釣りをしたときに、デカアマが釣れた実績があるポイントだそうだ。 おおっ、アタリだ! と聞き合わせてもアマダイならではの突っ込みがない。そんな感じでヒメコダイ、トラギスが続いて釣れた。 11時ごろに右トモでタモが入った。デカアマだったが、問題はここからだった。右胴の間の常連さんとオマツリしていて仕掛けがグチャグチャ。アマダイが飲み込んでいるハリがだれのハリなのか判別するのが大変だった。

 ハリが胃袋の中にまでしっかりと入っていてなかなか抜けない。やっと抜けたハリを確認し、右胴の間の渡部さんのものと確定。 このアマダイだが、45・5センチの大型だったからガッツポーズが出た。うらやましいサイズだ。 ちなみに同宿では、45センチ超えのステッカーと50センチ超えのステッカーが用意してあって、釣った人にプレゼントされる。 そのしばらく後のことだ。スーッと誘い下げた僕の竿にクッとアタリ。少しの間を置いて聞き上げるとズン! オーッ! なかなかの引きだ。ただ、途中でもククッと強く引き続けるが、アマダイ特有の突っ込みがない。 タモに入ったのは50センチ級のワニゴチの仲間。ちょっとガッカリだ。この海域はワニゴチ類も多く、右トモ寄りで釣り上げた人もいた。

富浦沖で良型連発
 後が続かないので昼前には富浦沖の水深75メートル付近に移動した。 それにしても暑い。風もなくて船上はフライパンだ。クーラーボックスで冷やしておいた水道水を頭からジャブジャブかけて生き返った。 富浦沖は昔からアマダイの魚影が濃い場所だ。うんと昔、まだアマダイ釣りがメジャーではなかったころに、千葉県在住の本誌APCたちと一緒に狙ったことがある。エンジンをかけてのブン流しだったが、ほっておいてもデカアマが次つぎと竿を絞って驚いたものだ。 12時前に右大ドモ氏が30センチオーバーをゲット。 そのすぐ後、僕も30センチジャストを釣り上げた。決して大きくはないけれど、しっかりとアマダイらしい引きを楽しむことができた。

 後は40センチ超えが竿を絞るのを祈るのみ。 12時過ぎに右ミヨシの常連さんの竿が大きく曲がった。すごい引きだ。なんだろう? と見ていたら、海面に浮いたのは良型のマトウダイ。アマダイ釣りは色いろなゲストが顔を出す。それもこの釣りの魅力の一つだよね。 そのしばらく後のことだ。ほぼ同時に近いヒットで左ミヨシ2番さんが44センチ、3番さんが37センチの本命を釣り上げた。 その後は中〜小型がポツポツと釣れ続いて、僕も25センチの2尾目を追釣。 左トモ2番でお父さんと並んで竿を出していた女の子もアマダイを釣り上げてうれしそうだ。

 14時前には左トモのお父さんが41センチの良型を釣り上げたので写真を撮ったのだが、後でハリを外すと娘さんの仕掛けも飲み込んでいたそうだ。 さて、僕は最後に25センチに満たないポニョ(シャチョウが小さいアマダイをそう呼んでいた)を釣り上げて3尾になったが、25センチ以下はカウントしないのが「かみや」のルールだから記録は2尾。 船全体ではアマダイ14尾が公式記録。ほかにカウントされないポニョが何尾かいた。トップは右トモ氏で3尾だ。 初体験の真夏のアマダイ釣りだが、フムフム釣れるものだなあ、というのが感想だ。これから秋口になると本格的なシーズンに入っていくが、今からハートに火がついてしまったので通い詰めることになりそうだ。


東京湾奥羽田 かみや

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▼料金=リクエスト乗合のライト アマダイ一人1万1000円(エサ付き)、女性・子供割引きあり▼備考=7時出船。ほかライトアジ、マダコ、 タチウオへも出船

 

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