長井出船のヤリイカ模様上向き

間もなく本格シーズン!

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これから迎える冬に向かって人気が高まるヤリイカ。 今シーズンも相模湾〜三浦半島の各所で群れが見られ、ここ三浦半島長井出船がメインで狙っている城ケ島沖でも模様が上向いてきた。シーズン初期とあってムラはあるものの、胴長20〜25センチを中心にいい日はトップ30〜40杯ほどの釣れ具合。 10月中旬の取材日は速潮でポイントが限られトップ11杯と思うように数はのびなかったが、今後シーズンが進めばサイズアップが期待できるうえ、潮具合など条件がそろえば大釣りも望めるだろう。

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※料金等データは2020年10月のものです。

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ゼロテンションに巻き落とし
あの手この手でヤリイカ攻略

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クーラー満杯。ウハウハ気分で帰路についたところでわれに返る。「あ~。帰ったら下処理をしなくてはならない」 そう思って急にくたびれた気分になったことはありませんか? その点、イカはそのままで近所におすそ分けできるので楽ちん。しかも料理のレパートリーも豊富なので非常に喜ばれる。 そこで今回はシーズンインしたヤリイカを釣るべく三浦半島長井漆山港の光三丸に10月15日に出かけてきた。 このところヤリイカの模様はトップ20~30杯ほどで、前日は42杯と好釣果が出ており期待が高まる。 当日は平日にもかかわらず、3人組と5人組のグループを交えて総勢14名が乗船、小雨模様のなか6時15分に出船となった。 現況のメインポイントは城ケ島沖とのこと。20分ほどで城ケ島西沖に到着すると、しばらく潮回りした後に、「水深115メートルです。やって」と関根雄志船長の号令で一斉に仕掛けが投入された。 すると1投目から「右舷で上がったよぉー」と船長の声。駆けつけると3名の方が取り込みの真っ最中。

 2点掛けで取り込んだトモの黒岩さんの写真を撮っていると、右トモ2番の5人グループのリーダー高山さんが巻き上げを開始。 カメラを構えていると白い影がユラユラと海面に姿を現し、胴長20センチと25センチのヤリイカが取り込まれた。 その光景を「いいなぁー」とうらやましそうに見ていた仲間の木村さんにもうれしい乗りが到来。「これ、乗ってますよね?」とヤリイカ初挑戦の木村さんが私に尋ねてきたので、「間違いないですよ!」と答えると「よしっ」と巻き上げ開始。 しかし、5メートルほど巻き上げたところで突然、ギュギュギューンと竿が絞り込まれた後、プッとテンションが消えてしまう。 その様子を操舵室から見ていた船長から「間違いなくマダイの仕業だったね」と言われてぼうぜんとする木村さんだった。

 その後はポツリポツリと単発でヤリイカが乗ってきたのだが、シーズン序盤とあってサイズは胴長15~25センチと小さめ。 そのためイカが乗っているかの見極めが慣れていないと非常に難しく、上げてみたらイカの足だけが付いていたりとか、カンナに墨が付いていたりといった光景が各所で見受けられた。 当日はヤリイカ経験者が少なく、苦戦しているのを見かねた船長が、「違和感を察したら上げてみて。底ばかりではなく、時どき20メートルぐらい巻き上げて落とし直してー!」としきりにアドバイスを飛ばす。 5人グループもヤリイカ経験者が1名しかいなかったので、私も色いろとレクチャーしていたのだが、木村さんはまだ型を見ていなかった。

〝止め〟が肝心!
 彼の釣り方を見ているとシャクリのインターバルが非常に短く、ヤリイカがプラヅノに乗る間が取れていないのだ。 そこで、木村さんの竿をお借りして、「着底を確認したら、すぐに強くシャクらないほうがいいですよ。せっかく寄ってきたヤリイカを散らしてしまいます。ゆっくりと糸フケを取って、ゼロテンションの状態で様子を見る。乗りがなかったら1回シャクって、再びゼロテンション。ここでクイッときたところで合わせを入れれば……」 首尾よくイカが乗ったので電動で巻き上げ、竿を手渡すと木村さんはキョトンとしていたが、上がってきたヤリイカを取り込んでニッコリ。 シャクったときにヤリイカが掛かることもあるが、シャクリはあくまでもプラヅノを踊らせる誘い。しっかり竿を止め、その後に訪れる乗りを察知し、合わせを入れて掛けるのが基本だ。 私のアドバイスでコツをつかんだ木村さんが2杯目を釣り上げ一安心。 右トモの黒岩さんが4杯掛けで取り込み、今日は釣れるぞ! と思いきや、次第に二枚潮となりオマツリが頻発、非常に釣りづらくなってきた。 そこで船長は城ケ島の東沖へと舵を取る。

速潮&二枚潮に苦戦
 水深は110〜150メートルの範囲で、開始直後には右ミヨシ2番の武田さんが3杯掛けで取り込む場面もあったが、次第に潮が速くなり1流し1投の展開に。「投げ遅れた人は1回お休み。上げた人は再投入しないで」と船長も操船に苦労している様子。 11時過ぎ、雨が強く降り始めたことから私は写真撮りをあきらめて釣りに参加したが、しばらくしてあまりの潮の速さから早朝のポイントへと戻ることになった。 二枚潮はまだ収まってはいなかったが、船長はなるべく潮の緩やかなポイントを探しては、投入の合図を送ってくれる。 二枚潮では海中の道糸がSの字になっているので、しっかりシャクらないとツノが踊ってくれない。その点を頭に入れ、底でシャクリを入れた後、ゼロテンション状態をキープし、穂先を凝視しているとクイクイッ。間髪入れずに合わせて胴長20センチのヤリイカを取り込む。 次の流しは、底から3メートルほどシャクリ上げたところで竿先に違和感を感じて合わせるとズシリ。 そして最後の流しは、巻き落として底ダチを取っている最中にクイクイときて25センチ級。ここで13時半の沖揚がりを迎えた。 当日は潮具合が悪くトップ11杯、平均7~8杯と振るわなかったが、ヤリイカの本格シーズンはこれから。 毎年私が釣ったヤリイカを楽しみにしているご近所さんの笑顔のために、再チャレンジせねばなるまい。


三浦半島長井漆山港 光三丸

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1070・1049・6731

▼料金=ヤリイカ乗合一人9500円(氷付き)▼備考=予約乗合。6時集合

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