東京湾のシロギスは冬も好調沖釣り入門にもおすすめ!

 

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東京湾のシロギスがこのところ好調だ。取材した横浜の広島屋では、木更津沖の水深20〜25メートル前後を狙いトップ60〜70 尾前後、いい日は100尾以上の釣果も上がっており、今なら初心者もシロギスの引きを満喫できるはず。 広島屋を始めシロギス乗合を出している船宿はレンタルタックル完備で仕掛けなども購入できるから手ぶらで釣行も可能。釣り方も船長が教えてくれるから、最近のアウトドアブームで釣りを始めた人にもおすすめだ。

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※料金等データは2021年1月のものです。

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食い渋りに効く誘いと仕掛け木更津沖でシロギスと遊ぶ

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止まない雨はない。明けない夜はない。だが、木更津沖には落ちないシロギスがいた。「本当なら、とっくに落ちてる時期なんですけどね。去年も落ちませんでした。やっぱり温暖化の影響なんですかね」 取材日は1月中旬。7時15分に出船した第二広島丸を走らせながら、石井晃船長はそうこぼした。 シロギスが「落ちる」とは、夏に浅場にいたシロギスたちが、冬になり水温低下が著しい浅場から比較的水温が安定している深場に移動することを指す。深場に落ちたシロギスは「落ちギス」と呼ばれ、特定のポイントにシロギスが固まるので数が釣れる。

 つまり、浅場の海水温が下がり切らなければシロギスたちが落ちることはない。「今年に入って深場もやってみたんですけど、やっぱり落ちてなかったですから、シロギスが固まってないんですよ」 船長は、苦い表情を浮かべてそう続けた。 しかし、一週間前の広島屋のシロギス船の釣果はトップで80尾。そうは言っても、やはり木更津沖は東京湾のシロギス釣りのメッカだ。 5人の乗船客の期待を乗せた第二広島丸は、航程約30分でポイントに到着した。「はい、いいですよ。水深は20〜25メートルです。やってみてください」 船長のアナウンスで、私を除く4人のキス仕掛けが次つぎキャストされた。

食わせの間がキモ

 いきなり、左トモの三浦さんがリールを巻き始めた。駆けつけると、キスにしては竿が曲がりすぎている。そして抜き上げられたのは、やはりイシモチだった。 続いて右ミヨシの矢田さん、左ミヨシの丸山さん、そして再び三浦さんにイシモチが釣れる。 この日の前半はイシモチがかなり楽しませてくれたのだが、皆が一様にうれしいような残念なような、複雑な表情を浮かべていた。 そして開始から30分後、右胴の間の小山さんと右トモの五島さんがシロギスを連釣し、矢田さんと三浦さんも本命シロギスを釣り上げた。 イシモチのアタリの合間を縫うようにして、船上のどこかでシロギスがポツリポツリと釣れる。その中でも、ひときわペースよくシロギスを釣っていたのが五島さんだ。

 2本竿を巧みに操る五島さんは、週に1回のペースで広島屋のシロギス船に乗っているという。「今日は誘い続けるよりも、仕掛けを動かしたあとしばらく待ったほうがいいみたいですね。待ってやらないと食ってこないですよ」 そう話しながらも、シロギスのアタリを出し続ける五島さんはこの日の竿頭となるのだが、実は趣味と実益を兼ねているという。 五島さんは、神奈川県藤沢市辻堂で「天ぷら五島」というお店を営んでいて、新鮮なおいしい天ぷらを出したいがために毎週シロギス船に乗っているとのこと。 それにしても、その日の状況を素早く察知して、適した釣法を実践できるのだから、やはりかなりの経験を積んだ上級者なのだとお見受けした。上級者なのだとお見受けした。

エサを漂わせる工夫

 その後、イシモチのアタリが途絶えると、その代わりにイトヒキハゼがうるさいほど釣れるようになる。イトヒキハゼが数釣れるときは、潮が流れないとき。同時にシロギスのアタリも遠のいていった。 私もプルルンと小さなアタリを出すイトヒキハゼに指先を噛か まれながらも、せっせと手返しを繰り返し、なんとかシロギス5尾とイシモチ2尾を釣った。 しかし、やはり潮が流れない。さらに、「3日前にけっこう強い風が吹いたんですけど、あれで水温がいきなり1.2度も下がっちゃったんですよねぇ……」と船長。 海水温が急に変化すると、どんな魚でもその水温に慣れどんな魚でもその水温に慣れるまでは食いが落ちるもの。船長も苦心の操船を繰り返してくれているのだが、こればかりは致し方がない。

 私は五島さんの話を聞いて、テンビン仕掛けをチョイスしていた。そして五島さんが話してくれたとおり、キャストした仕掛けを少し引き寄せてはしばらく待つ釣り方をしていた。しかし、本命のアタリが遠い。そこで、海中を想像してみた。 潮が流れていなければ、おそらくエサのイソメは海底にポトリと落ちているような状態だろう。そしてこの日のシロギスの活性は低いので、エサを探し回って泳ぎ回るようなことはないはず。海底でジッとしているシロギスに、エサのイソメサのイソメをどうやって食わせるか。 一案として、エサのイソメを浮かせたいと考えたとき、バッグの中のアームの先にフロートが付いているテンビンの存在を思い出した。さっそく付け替えてみると、いきなり3投連続でシロギスが釣れた。しかも3投目はダブルだ。

 「思いついたことは、何でもまずはやってみること」という師匠の言葉を思い出した。14時15分に沖揚がり。この日の釣果は14〜23センチのシロギスが4〜29尾と、流れない潮と水温の急降下のダブルパンチを受けてしまった。 しかし、翌日には食いが復調しトップ100尾の好釣果。ちなみにシロギスが落ちなかった昨年1〜2月の広島屋のトップ釣果は100尾超えはコンスタント、最多は236尾だ。 今年も海況さえ整っていれば 木更津沖のシロギスは期待大だ。


東京湾奥横浜広島屋

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▼料金=シロギス乗合一人8500 円 (エサ付き)

▼備考=7時半出船。無料駐車場あり。 ほかライトアジへも出船

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